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◆◆第二百二十二話◆◆◆:厄日日和

第二百二十二話

 屋上、五月も半ば……二人してベンチに座って屋上の汚れたアスファルトに視線を落とした。

「……あたしさ、他校の生徒と競争して負けちゃったんだ」

「それが原因?」

「うん、負けたほうはもう水泳をあきらめるってね……相手はどうでもよさそうだったけどあたしはこれしかないって決めていたからね」

 里香はそういうと足元に転がっていたアスファルトのかけらを掴んで校庭に思いっきり投げ飛ばした。綺麗な弧を描いてそれは蒼空に届くことなく重力に引かれていった。

「……単純明快、不思議な理由じゃなくてそれだけ。これで霧之助の知的好奇心はおさまった?」

「まぁ、知ったからそれはなくなったけどね……今度は別の意欲がわいてきたよ」

「……おせっかい、だいっきらい!」

 それだけいって里香は屋上から出て行ってしまった。やれやれ、嫌われちゃったよ。

「里香~、僕は里香がその程度であきらめる、あきらめのいい女の子だって思ってないからっ!!」

 後ろから叫んでみたのだが……返事は……

「……うっさい!阿呆!!」

 うわ、これは本気で怒ってるかも……



――――――――



「お節介」

「え?」

 放課後。やけにクラスメートたちがニヤニヤしているのが目に付いたが特に理由が思いつかなかった。そんなわけで無視していたのだが早乙女さんの機嫌が悪い。そんなことをいわれたのでどうしたのだろうかみるとどうも、恐い。

「あんたからはお節介のにおいがぷんぷんするわ」

「お節介のにおい?」

 制服を嗅いでもそんなにおいはしない。

「気のせいじゃ……あいたっ!!」

「……ば~か」

 最近は高校生でも電子辞書を持っているのだが早乙女さんは紙の辞書。その夜にも恐ろしい神の一撃が僕の頭に降り注いだのである。

 悶絶していると早乙女さんの姿は消えていたりしたのだった。

「……な、何か悪いことでもしたっけ?」

 今日はきっと厄日だ。朝の占いをちゃんと確認して学校に行くべきだったかな?



――――――――



「……ここがわからない」

「ここはこうして……」

「あの、先輩?」

「何さ?一二三ちゃん?」

 放課後、今日は体育祭の準備がないそうでいつものように図書館にやってきた。勉学部は今日も三人で一生懸命勉強中。夏帆がわからないところがあるということで教えていると一二三ちゃんが恐い顔をしてこっちを見ていたりする。

「………」

「ここ、図書館です」

「……わかってるよ?」

「いちゃつく場所じゃありませんっ!!」

「いちゃついてないけど……?」

「……いちゃいちゃ」

「……今日はもう、一二三は帰りますっ!」

「え?ちょ、ちょっと……」

 とめるまもなく足早に帰ってしまった。

「……どうしたんだろう?」

「……ふらふらしている男、大嫌い」

 そして、その後を夏帆が追いかけていってしまった。

「……」

 え?何?今日は本当に厄日か何か?それとも里香の秘密を聞いちゃったのがまずかった?


雪はアスファルトに積もらず、自転車で目的地を目指す雨月に降り積もりました。道行く人々は見てわらってましたよ。さて、遂に清き一票を投じてくれた方がいらっしゃいました!百合、結が一歩リードです。十二月十八日金曜、十二時二十六分雨月。

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