◆◆第二百七話◆◆◆:文化祭と先生と……
第二百七話
文化祭……見事に自由参加のために生徒たちの姿は少なかった。まじめに来ていたとしてもあまりやる気がなかったりする……。
どうせ、この文化祭でのステージでは学生バンドががんばるだけである。それを友人たちとだらだら話しながらみる行事…だと僕は聞いた。実際、今もうまいのか下手なのか微妙な歌をステージ上で叫びまくっている生徒を見ているのかみていないのかわからないところで生徒たちは椅子に座っていたりする。
そんなことを考えていると視界の端に知り合いが映った。
「あ、間山部長!」
「一二三ちゃん……」
これまで、部活に所属していたことがなかったので(いや、まぁ、後輩はいたけど一人だったからね)部員から慕われる……というより、一二三ちゃんは僕を見つけるときちんと挨拶してくれるのである。それが何処であろうと!男子トイレ手前というデッドラインでも彼女はしっかり挨拶をしてくれるのだ!
「おはようございます!」
「うん、おはよう……一二三ちゃんのところはどのぐらい来てる?」
「え?えーっと、一二三のクラスは結構来てますよ?まじめそうな人が多いようなんで……あそこに固まって座っている人たちがそうです」
「……」
沈黙した僕の気持ちもわかって欲しい。椅子に座ったその連中は全員が何かしらの参考書(受験生が持っているような英単語帳、古文単語帳なども確認できる)を読んでいたりする。
「ねぇ、一二三ちゃん?」
「何ですか?」
「……『勉学部』に入ってくれっていったら入ってくれそうだね」
僕よりも絶対にあいつらのほうが似合っていると思うんだ……そうおもって一二三ちゃんのほうを見ると少しだけ、悲しそうでなにやらぶつぶつ言っている。
「……せ、せっかくいっつも部長と一緒なのに……けど、しょうがないのかな?」
「何?僕がどうかした?」
「いえ……けど、確かにそうですよね。ちょっと聞いてきます」
何かにショックを受けたのか、ふらふらとした足取りで戻っていく。それから、出席番号にきちんと座っていると思われるクラスメートたちに話をし始め……大体、三分程度で全部聞き終わったらしい。
嬉々とした表情で帰ってきた。
「間山部長!残念ながら全員塾があるから部活動には入れないって!」
「そっかぁ……心なしか一二三ちゃんがものすごくうれしそうなんだけど?」
「き、気のせいですっ!」
「ああ、部費で豪遊できるって思ってるみたいだけど残念ながら勉学部の部費は吉野先生が全部管理しちゃってるからね」
「吉野……先生が?」
実は僕たち兄妹だったんだ!といわれたかのようなショックの受け振りである。
「な、何でですか?」
「……これはね、すっごく面倒なことなんだけど……」
「何が面倒なのかしら?間山君?」
きっと、気のせいだろう。今、しゃべろうとしていた人の声がすぐ耳元で聞こえたような気がしないでもない。だが、ここで話の内容を変えるのは人としてどうかと思うんだ。
「……これはね、すっごく、いいことなんだよ?あんな情熱を持って生徒に接している先生はなかなかいないと思うんだ。最近の先生は生徒になめられてばっかりだけどあの先生は違うね!僕からみてみれば若くて、活発で、綺麗で、すっごく……魅力のある先生だからね。生徒たちの間でも人気だし、あの先生が部活の顧問だってことはこの学校にビラをつくって貼ったり、屋上から撒いたり、学校新聞の中央にでかでかと写真を張って……」
「そこまでしてくれなくてもいいわ」
「よ、吉野先生……」
一二三ちゃんが僕に向かって、いや、僕の後ろに向かってそんなことを言う。
「ごめんなさいね、部活の時なんてめったに会えないけどこれでも『勉学部』の顧問をしている吉野楓よ」
一二三ちゃんににっこりと微笑む。トラウマなのか何なのか……びくびくしながら頷いていた。きっと、あの自転車事件のことを思い出していたのだろう。もう四月が終わるというのに可哀想なことだ。
「じゃ、わたしは用事があるからね……間山君、出来るだけ新入生に変なことを教え込まないように!」
「わかっています!」
びしっと敬礼すると吉野先生も敬礼をして去っていった。
「あ、あの、間山部長……まだあのことばれてませんよね?」
「うん、大丈夫だとは思うよ?それよりも僕のクラスで引きこもりが出ちゃったからそっちのほうに時間を割いているから……この前、調査を凍結せざる負えないって言いにきたからさ」
そういうとほっとしたのか胸をなでおろす。
「よ、よかったぁ……けど、吉野先生にはなんだか悪いことをしちゃいましたね」
「そうだね、今度何かお詫びの品を持っていくよ」
「あ!一二三もそのときは呼んでください」
「じゃあ、放課後ちょっとどこかで何か買ってこようか?」
その後は何をプレゼントすればいいのか二人で話し合い……文化祭はこうして幕を閉じたのである。
サブタイトルはつけるのが難しい……どうも、今回も後書きのお時間がやってきました。小説の中身があれならば後書きでがんばるしかない!そう考えている作者雨月です。霧之助を異世界に飛ばしたい気持ちでいっぱいなのですが、そんなのはもう見飽きたって思っているんです!そういった理由で今後も異世界に旅立って魔王を倒すたびに出たりはしないでしょう。無論、夢オチもありませんけどね。やりてぇ、やりてぇけどできねぇよ!世界観崩壊するような馬鹿設定やりたいけどできない!っと、今日話すべきだったことを思い出しました。午前中、自宅のお風呂掃除をしました。一週間前もしたんですけどね、カビが発生していたところを今回は除去しましたが……しつこいですね、なかなか。うおっと!これからちょっと忙しいので今回はここまで!十二月六日日曜、十三時三十五分雨月。