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第二十話◆

第二十話

 うまく表現しにくいのだが、前日何か問題を起こしてしまった相手よりも学校に着くという行為は間違っている気がしてならないために誰よりも早くやってきたつもりだった……そう、つもり。つもりはつもりであり、現実には僕が二番目だった。いや、三番目だった。

「百合さん……」

「おはよ、霧之助」

 そこには宮川姉妹が立っていた。宮川雪のほうは罰の悪そうな顔をしており、僕と目を合わせようとしない。

「……本当にすまなかった。何もかも、最初から最後まで」

「いや、気にしないで」

「そう言うと思った……だけどな、ちゃんとけじめはつけないと駄目だ。雪、霧之助に謝れ」

 促され、ようやくこちらを見る。なるほどな、百合さんとはまた違ってよくよく見ればかわいい子だ。

「……ごめんなさい」

「こいつがこれまでやってきたこと、全部あの飛び級から聞いたから」

 なるほど、過去の話しもすでに聞いていたのか……それならこれ以上僕が何かを話す必要なんてない。

「あのな、霧之助……私はきっと調子に乗っていたんだろうな。こいつ、私に似たのか友達がいないんだよ」

 百合さんが雪の頭に手を置く。居心地悪そうにそうしている宮川雪はぶすっとした顔だ。

「そこでさ、姉が言うのもおかしいんだけどこいつの友達になってくれないか?」

「あのね、百合さん……そんなのあなたが決めることじゃないでしょ」

「…そうだな、悪かった」

 百合さんもばつが悪そうな顔をする。居心地の悪い空気が流れており、仕方がないので僕は一つため息をつくことにした。

「……はぁっ……あのさ、宮川さん」

「何だ?」

「いや、百合さんじゃないよ」

「なんだ、いきなり改まって苗字で呼び出すからびっくりしたぞ」

「勝手にびっくりでもなんでもしていてください……雪ちゃんのほうですよ」

「何?」

 びくっとした調子でこちらを見ている。そして彼女に右手を差し出して僕はこういった。

「よければ友達になってくれない?ほら、かわいい子が友達にいたら自慢になるからさ」



――――――――



「悠、今回はありがと。本当に助かったよ」

「もっとお礼を言って!もっといって!見返り求めないで人なんて助けないわよ♪感謝という最高のお礼、もっともっとあたしに頂戴!」

「悠最高!悠がいなかったら僕は刑務所の壁の中にいた!それか近くの桜の木の下に埋まってた!命の恩人!」

「おーっほっほ!一度でいいからこんな笑い方してみたかったぁ♪」

 ああ、何て面白い子なんだろ?いつも見ていて飽きない楽しい子である。

「で、霧之助はあれからちょっかい出されてない?」

「え?うん、ちょっかいなんて出されてないよ」

 そういった矢先、電話がかかってきた。

「何?またあの冷徹女?勝手に計画変えちゃったりさぁいろいろと大変だったのに!」

ぶつぶつ文句を言っている悠を残して電話に出る。

「あ、雪ちゃん?」

『間山さん、あなたに一つだけ言っていたことを確認したいんです。あれって本心ですか?』

「何?友達になってくれってこと?もちろん嘘じゃないよ」

 そういうと一瞬間があいてから声が聞こえてくる。

『いえ、違います。わたしがかわいいって……そちらのほうです』

「うん、十分かわいいよ」

 そういうとすぐさま電話が切れた。

「何?誰だったの?」

「ん〜友達」

「そう、友達ねぇ……昨日の敵は今日の友……?」

 なんだかじっとこちらを見ている気がするが僕はあいまいに笑うしかできなかった。


宮川編も終わってしまいました。比較的短期で終わってしまいましたがいかがだったでしょうか?シリアス小説とかあまり好きでないんであまり力が出てないとはおもいますが……楽しめていただけたのなら幸いです。あ、そうそう…第十一話の第の部分が消えていましたので訂正しておきました。あとは……できましたら宮川編だけの感想をいただけるとありがたいです。次回、悠子ツンデレ化計画です。

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