◆第百九十一話◆◆
第百九十一話
もし、神様がいたら呪っちゃうかもしれない転校二日目。家が高校の目と鼻の先のためにいつもの時間に起床し、準備を終えてしまうので学校にすっごく早くやってきてしまった。ちなみに、昨日は久しぶりにさびしく一人でカップめんをすすったと伝えておこう。ああ、それと着信がたくさんあったのだが、見知った番号がたくさん(異常な着信数は雪ちゃんからで一分単位)言い訳もなにも出来ない僕が出る資格なんてない。そういうわけでさっさと昨日は寝たのである。
一日経てば何か変わるか?そう思ったんだけど相変わらず転校生放置で……というよりも、僕完全に孤立しちゃってるよ。
挨拶だってね、ふつうにしようとがんばったんだけどどうもこうも、タイミング見逃すし、近寄ろうとすると逃げられるしで押すも引くも出来ませんよ……そんな状況。
まぁ、何事も基本は身近なところからやるべきだろう、そう思って隣の人がやってくるのを待ったさ、結構まじめそうだったから早めに来るかな……そう思ったけど姿を見せなかった。予鈴なったんだけどなぁ……まだ隣の席の人はやってこない。
きーんこーんかーんこーん……
そして、結局朝のHRが始まる時間になってもやってこなかった。一体全体どうかしたのだろうかと思っていると先生が入ってきた。
「今日は野中が休みだ」
ひそひそと、新しいクラスメートたちの声が耳に入ってきた。
「かわいそうにねぇ、野中君……きっとぱしられるって気負いすぎていつものように気持ち悪くなったんでしょうね」
「かわいそ……」
「しっ!気をつけなよ!こっちみられてる!」
「……」
それはなんでしょうか?僕が悪いということなんでしょうか?
鬱屈としたこの気持ちを何かにぶつけたい!屋上から大声で社会が悪いんだぁ!なんて叫びたくなる……とまでは言わないが授業なんて耳に入らず、ぼけーっと過ごした。
結局、先生にも注意されてしまいやれやれ……これは最初から悪かったイメージが先走りすぎちゃってるね。
―――――――
休み時間、どうやら僕はとても悪い不良という話が広まっているらしい。ああ、どうしたらいいのかねぇ……そう思っていると廊下側の窓の向こうに知っている顔があったような気がした。
「……」
もう一度、その人が自分の見知っている人は確認する。
高畑……里香さんだ。
幻覚でもなんでもない。おーいと手を振っているあの人は雪ちゃんのご友人、高畑里香さんではないか。
急いで教室を飛び出して高畑さんの前にやってくる。
「……今、涙が出そうだよ……」
「ふっふっふ、さぁさぁ、もっとあたしの存在に感謝してよ?それと、転校先には知り合いがいるかいないかちゃんと調べておかないとね?雪から電話とかこなかったの?」
ああ、このことを伝えるためにあんな異常な着信数だったのか。ついつい、納得してしまう。
「ごめんねぇ、最近風邪になっちゃったようで昨日まで学校来てなかったんだ」
本当に申し訳なさそうにしていたが僕にとっては知り合いが一人でもいるだけで本当にうれしかった。
「もう変なうわさが広まっちゃってるからね……」
気がついてみたら周りの連中は僕と親しげに話している高畑さんに視線がうつっていたりする。
「おい、あれって二組の高畑ってやつじゃんか」
「どうしたんだろ?呼び出されたのか?」
心配そうにみているようだ……まぁ、心配するのは勝手だが僕が何かするわけでもないので杞憂に終わるだろう。
「ともかく、あたしがいるからには卒業までに友達百人とは言わないまでも数人ぐらいは作れると思ってていいよ?」
「ありがとう……」
地獄に仏とはこのことだ!あの日、遊園地で出会っていなければ僕は酷い目にあっていただろう……
そんなことを考えていた僕の耳に高畑さんの声が入ってくる。
「……それでさ、詳しく話して欲しいことがあるんだ」
「……何で、こうなったかだよね?」
「うん、まだ詳しくみんな知らないっていっていたから……今日の放課後、屋上で待ってるからね」
去っていく後姿を追いかけるもなく、僕は一つため息をついていた。やれやれ、誰にだって苦い経験はあるものだけどそれを吐き出すって結構つらいんだよね。
しかし、理由を話さないで他人の力を借りるなんて傲慢だという気持ちのほうが強い。ともかく、屋上で高畑さんがやってくるのを待つことにしよう。
そんなこんなで百九十一話目です。どうでしょう?愉しめているでしょうか?さて、今回出てきた高畑里香、皆さんは覚えておいででしょうか?来るかなぁと思っていた方、貴方様のご想像通りです。はずしてしまっていた方、ぜひともどういった予想をしていたのか雨月に教えてください。そうですねぇ、たまには煽る形の次回予告とかやってみますかね?……知り合いがいないときに出会った知り合い、高畑里香。今後、霧之助との間にどういった友情を形成していくのか……次回、ハッピーエンドは何処ですか?第百九十二話、屋上の密会……まぁ、こんな感じでいいでしょう。話は変わりますが小説って書くのが難しいですねぇ……批判するとかそういったのは意外と簡単なんですよ。書くほうの労力約半分で出来ると思います。人の小説批判している暇があったら小説かいてますけどね。他の作者様がどういった考えかはわかりませんがやっぱり雨月は感想とか気にしています。ちょっとやりすぎちゃった感が否めないときにはあれはないだろ?ってくるかもしれないとどきどきしてますし、まれに手ごたえを感じて投稿した時も感想を期待したりします……もちろん、感想を書くのにも時間を要してしまうので雨月が読み手だったらちょっとどころか殆ど書きませんけどね。けどま、読んでくれてありがとうという気持ちもありますよ。誰かが笑ってくれればやったかいってのがありますからね。誰も笑ってくれなかったときは自分で失笑しますから大丈夫というどう転んでも誰かが笑うというこの完全設計雨月式……それでは、そろそろ今回は筆をおくことにします。十一月二十三日月曜、二十一時一分雨月。