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◆第百八十九話◆◆

第百八十九話

「はぁ……はぁ、もう充分だろ?君らいったい何がしたいんだよ?」



 昨日の夜から降り始めた雨は土砂降り状態が続いており、川は増水していて雨音よりも激しい音を僕の耳、そしてこの場にいるほかの三人の耳へと運んでいる。



「うっせぇんだよっ!!」



 鼻血が出ている一人が突進、その後右の拳が僕へと向けられる。それを寸でのところで避けて足を引っ掛ける。そしてそのまま彼は橋の欄干へと顔面をぶつけた。



「もう、他の二人だって見てみなよ……君だけだよしつこいのは」

「先輩、もう帰りましょうや」



 もう動けない(精神的にも、肉体的にも)二人の生徒はぼろぼろの姿で寄り添っている。片方は完全に気絶している……僕が背中からアスファルトに叩きつけてしまった所為だ。



「ぜぇ……ぜぇ」



 欄干に顔をぶつけ、頭を切ったらしいその高校生(多分である)はそれでもなお僕に突っ掛かって来る。まるで昔の僕を見ているような気がしてならなかった。



「……ちっくしょう!!」

「くっ…」



 渾身の一撃とでも言うのだろうか?それを橋の欄干に背中を預けた状態で腹に喰らったがあいにくその程度で僕は倒れない。気合だとか根性だとかは言わないけど、わがままとでも言うのだろうか?こんな奴に負けを認めたくない僕のわがまま……そして、にやついたその顔が僕の視界の中に入ったとき頭の中で何かが音をたててもろく、崩れ去ってしまった。



「いい加減にしろよ?くそ野郎がっ!!」



 右腕を掴んでそのまま一本背負いへと移行。もはや振りほどく力も残っていないのか橋の欄干を越えて男子生徒は増水した川の中へと消えていった。



「……」



 自分が今、何をしてしまったのかすぐにわかった。そして、次にするべきことは何かも脊髄反射で身体が反応してくれた。



 しかし、増水した十二月の川に入るなんて馬鹿げた行為だ。自殺行為だと文字通りそのまま捉えられてしまうことだろう……警察に連絡を入れるべきだったのだ……



 時すでに遅し、僕は川の中に飛び込んで一生懸命泳いでいた。すぐさま川の冷たさで皮膚の感覚は消え去っていき、ズボンをはいたまま飛び込んだために足が動かなくなる。途中からおぼれているのかいないのか……よくはわからなかったがただ、何とか相手が着ていた制服を掴み、それを抱きしめるようにしてそのまま流されていき……何かにぶつかった気がしたのだ。ただ、一つ残念なことは……




 そこで僕の意識はなくなったことだろうか?



そう、終わりは突然やってくる。若干唐突感が否めないなって人もいるかもしれませんし、中には何でこんなこといきなりやっちまったんだと思う方もいらっしゃることでしょう。雨月もまぁ、確か二百六十八話ぐらいまではハッピーエンドを考えていた気がします。その後はもう転げ落ちるかのように今回の結果に……覚えている方は覚えているでしょう。次、彼が何かを起こせばそのときは……。では、次回から装いも新たに若干時系列としては進んだ話が展開し始めます。もちろん、そこまでシリアスにするつもりもございませんのでご留意いただけるとうれしいかと思います。それではまた、次回お会いしましょう。十一月二十二日日曜、十二時五十四分雨月。

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