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◆第百八十五話◆◆

第百八十五話

「さぶっ!」

 場所は駅前。今年最初で最後と思われる雪が(いや、そういえばお天気のおねーさんが年末あたりにもう一回ぐらいふるかもしれないと言っていたかもしれないな?)舞っているというのに女性は太もも露出でブーツをはいている。生足がちらちら見えてるけどあれって寒くないのかね?寒さよりもおしゃれ心のほうが強いということなのだろうか?それとも、僕が寒がりなだけで実際はそんなに寒くないということだろうか?

「ほっほっほ……」

 駅前近くをランニングシャツ姿のおっさんが通過していく。白いシャツには汗がしみこんでおり、色が変化している。えーと、今、十二月だよね?雪だって降ってるよ?寒くないのだろうか?走っているから寒くないのかな?

「まま、みて!雪が降ってるぅぅ!!」

「たーくん、明日積もっていたら雪だるま作ろうね」

半ズボンの少年とその親と思われる人が僕の近くを通っていく。どうやら僕が一人で寒がっているだけのようだ。

 ぼけーっとしていたのが悪かったらしい。この馬鹿みたいに寒い中けなげに待っている僕に強襲をかけてきた人物がいた。

「お久しぶりぶりっ!!」

「ぐはぁっ!?」

 それが最初何なのかまったくわからなかったが本人が激突してきたことだと気がついた。

「いたた……冬なのに相変わらず元気だね~……高畑さん」

「冬なんてヤル気と元気と根性で吹き飛ばせ!」

 わっはっはと笑うその姿はまるで夏の武人である。何故、武人なのかは突っ込まないで欲しい。そんなイメージがあっただけだ。

「けど、僕なんかでよかったの?」

「え?何が?」

「雪ちゃんの誕生日プレゼントの参考にしたいから僕を呼んだんだよね?」

「そーだね、そのとおりだよ」

 うんうんと頷いているが首に手を当ててしげしげと僕を眺めている。その目はまるで探偵さん。浮気調査を奥さんから依頼された超敏腕探偵さんである。

「な、何か?」

「挙動不審なのは何か心にやましい気持ちがあるときだよ?」

「やましい気持ちなんてこれっぽっちもありません」

「そっか、それならついてきてよ。いっつも一緒にいるんだから最近の雪の趣味とかわかるよね?」

「どーだろ?まぁ、努力はするよ」

 僕がこうやって高畑さんと駅前で待ちあうようになったわけは二日前にさかのぼる。



―――――――



PLLLLLL


「?」

 ケータイのディスプレイに表示されているのは見たことの無い電話番号だ。一体全体誰だろうかと思いながら四回目のコール音が耳に入ってくる。

「……もしもし?」

『突然ですが問題です!あたしはいったい誰でしょう?』

 元気が受話器から僕の耳に襲い掛かってくるというイメージ映像が脳内で三回ほど再生された。もはや忘れることの出来ない海での出来事。僕らを砂に埋めて下手したら割れたスイカのようにしようとした元気娘の声ではないか。

「高畑さん……だね?」

『正解ですっ!あのさ、突然で悪いけどちょっとお願い聞いてくれない?』

「お願い?」

『うん、雪の誕生日が間近なんだ…それで誕生日プレゼントを買って渡そうと思ってね』

「ふーん?」

『それを手伝って欲しいんだ。雪が言うには一番の友達が間山君だって聞いてるからね?』

「ああ、それならわかったよ」



――――――――



 まぁ、そんなやりとりがあって今こうして僕たち二人はデパートにやってきているのである。

「で、何がいいと思う?」

「プレゼント……だよね?そういわれてもちょっと想像つかないかな。そういえばさ、僕雪ちゃんの誕生日知らないんだけど?」

「え?」

 実は地球は巨大な時限爆弾ですといわれた人のようなそんな顔をする。しかし、そんな顔をするのも一瞬だけでなにやら頭を押さえていた。

「大丈夫?」

「……はぁ、まったくあれから進展ないみたい……ところで、間山君の誕生日を雪は知ってる?」

「いや、教えてないから知らないと思うけど?ちなみに僕は十一月十一日日かな?誰も祝ってくれる人がいないから毎年自分で祝ってるよ……ところで高畑さんは?」

「ああ、あたしは一月一日……珍しいでしょ?子どものころとかケーキとか出てこなかったなぁ……おすしは食べてたけどね」

 きっと、正月と誕生日が一緒くたにされてしまったのだろう。

「って、あたしが霧之助君の誕生日を知ってもどうしようもないっ!!今度雪に教えてあげなよ?きっと来年誕生日祝ってもらえるだろうからさ」

「うん、まぁ、祝ってもらえるなら祝ってもらうけど……それで、雪ちゃんの誕生日はいつ?」

 いっけねぇ、そんな顔をしながら舌を出す。そんな仕草も元気を感じることが出来た。まぁ、短いスカートをはいている時点で僕より元気だろうし、寒い時期に生まれたためなのかは知らないがきっと寒さに強いのだろうな。

「えっと、確か……十二月二十三日?」

「終業式の日だね?その日会う約束?」

「ん~ちょっと違うかな……ま、ともかくプレゼントを選びにいきましょ~」

 腕を引っ張られながら向かった先は至ってファンシーなお店だった。謎の生命体を立体化したようなぬいぐるみがおかれているが女子高生と思われる人たちが結構中にいるところを見ると流行っているのだろう。

「じゃ、どれがいいと思う?」

「え?ここで僕に決めさせるの?」

「当たり前だよ~、そのためにつれてきたんだからさ」

 まぁ、言われて見ればそうである。背後霊じゃないんだし、ここは真剣に考えなければいけないだろう。

「……ごめん、どれを選べば良いのかさっぱりわからないよ。基準とかないかな?」

 助けを求めて後ろを見るも、彼女は首をすくめるだけだった。

「いや、助けを求められてもあたしもこういったものはちょっとわからない」

「……」

「真心さえこもっていれば大丈夫!」

 親指をぐっと僕に向けてくるわけだが……責任を丸投げしてませんかね?ここは……己のフィーリング力が試されると考えて良いだろう。直感に頼ってすばらしい逸材をその手に掴めば……

「じゃ、これ」

 その手に握ったものをまじまじと高畑さんが眺める。

「シマウマだね」

「……白と黒だね」

 それならパンダのほうが女の子は喜ぶかもしれないな。そうおもってパンダのぬいぐるみに手を伸ばそうとするもパンダのぬいぐるみは別の客が手に取っていた。

「……」

 なぁに、パンダ以外の白黒系動物ならまだいるさ。えーっと……いた!バク?

「何これ?かわいいっ!!」

「っと、また逃げられた!」

 ぬいぐるみのくせしてハンターから逃げやがるんだな…ともかく、都合よく最後の一匹たちがレジで生産されて逃げていってしまった。

「……まぁ、あの子も真心のこもったプレゼントなら喜んでくれるよ」

「そうだね、変な動物じゃないからねシマウマは……」

 カラーテレビなのに白黒という運命を背負いし半分白馬のぬいぐるみを高畑さんはもってレジのほうへと向かっていったのだった。

「……」

 ああ、そういえば高畑さんの誕生日って一月一日だったっけ?知っちゃったんだし、まだ、日数はあるけど買っておくことにしよう。


よし、今度小説書くときは『今宵彼女は緋龍を喰らう!』という題名でいきましょう。どっかに記録していないとすぐに忘れてしまいますからね。いつか後書きを読み返したときに気がつけますように。さて、第百九十話からはちょっと、というより全てが変わります。どんな風に変わってしまうのかは一応伏せておきますが……もちろん、予想を本気であてにきてもらって結構です。見事、当ててしまった人は……ここですごいと表彰します。ああ、先に言っておきますが霧之助に特殊能力がつくとかそういったことはありませんし、異世界にはいきません。人類の敵のような人たちが霧之助を襲ってきたりなんて当然ありませんのでご了承ください。人以外の話は結構好きなんですけどなにぶん、そういったものを書くのはうまくかけないもので……。小説を読んで感想が欲しい!なんて思っている方は雨月にどうぞ。素人ですががんばって評価しますんで。それではまた次回、お会いしましょう。十一月十九日木曜、二十一時九分雨月。

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