◆第百八十一話◆◆
第百八十一話
クルックー
クルックルックー
クルクックー
ハトが何羽いるのかわからないがレンガの床をつついている。暇な連中である。中には仲がよさそうに同じ場所をつついている白と黒のクルックーが確認される。
「楽しいね~」
「楽しいな~」
そして、僕の隣にもそんな幸せそうなカップルが二組もいる。ついでにいうならそこかしこにそういった幸せボケした連中が歩いている。ここって間違いなく僕がいるような場所じゃないね。一人じゃ肩身が狭すぎる。
「ねぇ、もう僕帰っていい?」
「あ~?……って霧之助いたのか?」
「……」
今すぐにでもこいつの頭に近くのダストボックスをぶつけてやりたい気分だ。
「洋一郎、何か言ってあげてよ」
――――――――
「洋ちゃん、今日の晩御飯は何が食べたい?」
「ん~……野菜系がいいかな?あ、けどお肉も捨てがたいな」
「そうだね、それじゃあ寒くなってきたからロールキャベツにしようか?」
「うん、ありがとう!ぼく大好きなんだ!」
「じゃあ、あたしとロールキャベツ、どっちが好き?」
「そんなの決まってるじゃないか……」
「洋ちゃん……」
「ロールキャベツ♪」
――――――――
僕の隣に蹴っ飛ばされて洋一郎が力尽きる。殴られなれてるのか知らないがすぐさまこの世に戻ってくる。驚くべき生命力だ……きっと前世はゴキちゃんだったに違いない。
「もうっ!!信じられないっ!!」
「ああっ!!待ってよ美月!」
そういって二人とも去ってしまった。あそこはめったにラブラブならないのに洋一郎は相変わらず空気が読めてないな。あれを本気でやるから感心してしまう。
「お、個別行動か……じゃあな、霧之助。楽しめよ」
「失礼しますね」
「は?」
そして、黄銅、矢田ペアも何処かに行ってしまう。
「もうっ!!信じられないっ!!」
そう言ってみても、ハトが数羽飛んでいくだけであった。
―――――――
今日がどれだけ無駄であり、一日無駄のために使用した金と労力は帰ってきてはくれないのである。ここは割り切った考えが重要であり、彼らは彼らなりに僕が戻ってきたことをうれしく思ってくれていたということで手を打ってあげよう。
事実が白日のもとにさらされたときはきっと『心配してやってたのにそんなものかよ?それなら今度心配した俺たちに何かくれよ!』と騒ぎ立てるだろう。あのことを洋一郎がしゃべらなかっただけでも今回はよしとしようじゃないか。
自分の忍耐力にうぬぼれながらも今日のおかずを決めながら必要最低限の材料を手に取る。
「あれ?先輩じゃないですか」
「名古ちゃんか」
いつものスーパーのためにいつものお客とハイタッチ。周りからは好奇の目で見られているが僕はともかく、名古ちゃんは気にしない。
「今日は珍しくかごなんて持ってるけどおつかい?」
「いえ、今日はあたしが料理を担当するんです!やっと台所に立たせてもらえたんですよ?」
うらやましいでしょうといわれるがいつも僕はそこに立っていたりする。だけどまぁ、ここはのってあげたほうが良いだろう。
「わー、うらやましー」
「心にもないことを言わないでください!」
その後は特に何もなく、一緒にスーパーを出て途中まで送ってあげたのだった。
次の日、学校の図書館で見つけたときが事件の始まりだったのかもしれない。
帰宅途中、警察のあの赤いランプを目撃してびくつき、危うくハンドルを切り損ねて車道に飛び出すところでしたよ………もし、雨月が逃亡犯になってもあっという間につかまってしまうこと間違いありません。悪いことは出来ませんね~……さて、今回の本編終わりから名古編がまた始まりそうな雰囲気を出してきました。もうそろそろ霧之助たちのほうは十二月中旬ですからね。ついでに言っておくならばどうせ三年生になってまた一年生の女の子とよろしくやるんでしょと思っている方の期待を裏切る予定です。じゃあ、帰ってきた悠、悠子を含めたこれまでのメンバーでよろしくやるんでしょ?それも違います。絶対に違うとはいいませんけどね。そろそろ、記念すべき二百話が近づいてきました。今回も誰かのENDを考えなくてはいけません。この小説のエンディングは大体そこらで終わりって感じなんですけどね。本編的な終わりはない予定です。あったとしても曖昧かもしれません。そういうわけでこういった百話目とかでどかんとやるんですよ、どかんと!リクエストがあれば承ります。なくても作者雨月が考えて(もしかしたらこれまでENDやった人がもう一回あるかもしれません)やっぱりやりますので楽しみに待っていてください。IFなんて嫌いだよという方も中にはいらっしゃるでしょう。飛ばして読んでくださって結構です。では、また次回よろしければモニターでお会いしましょう。十一月十七日火曜、二十時三十九分雨月。