◆第百八十話◆◆
第百八十話
期末テスト、やはり二週間の行方不明騒動の所為で点数がいまいちだった。しかしまぁ、このクラスは気持ち悪いぐらい百点が多いね?もはや僕ぐらいだよ百点を採っていないのは……
「いやっはっはっは!残念だったねぇ、霧之助くん!」
「相変わらず猛は元気だねぇ」
「そうさ、これが愛の力って奴だよ!」
愛の力だってさ?これまで逃げまくっていた男がついに愛に目覚めてしまったというわけである。ああ、沈没しないかな、愛の船。
「お前も恋人ぐらい作ったほうが良いぞ?」
「余計なお世話だ」
浮かれているクラス連中を放っておくとしよう。いつものように僕はスーパーに行かねばならないのである。
「ちょっと待てよ。俺の話は終わってないぞ」
肩に手を置かれる。
「やれやれ、今度は何さ?」
「今度の日曜日、駅前公園第二ベンチに集合な」
今日は金曜日だ。つまり、明後日集合ということだろう。面倒だったがあいにく、その日は予定がはいっていない。いや、まぁ、逆に予定が入っている日なんてないんだけどね。それより、第二ベンチって南から数えて二番目だったかな?
「何で?」
「決まってるだろ、お前が無事に戻ってきたからいろいろとつき合わせてやるんだよ」
「……ああ、まぁ、ありがとう」
「お前って相変わらずそういうところが素直だよな」
「そりゃどーも」
礼儀は叩き込まれた。というよりそれを一番知っているのは猛だろうに。ともかく、ご好意を有難く受け取ることにしたのだが…
――――――
「で、これはどういうことかな?」
僕の前には四人、男女二組の『いちゃップル』が立っていた。黄銅猛、矢田瑠璃、東洋一郎……そして美月……幸せ絶頂の方々がなぜかいたのである。相手がいない基本的不幸絶頂期の僕に何か用事でもあるのだろうか?
「そりゃ、俺がお前を呼んだんだから俺らがいるに決まってるだろ?」
「ごめんね、また何かこっちが迷惑かけちゃったみたいでさ」
洋一郎がそんなことを言うがもはや終わったことだ。どうでもいいとまではいかないが洋一郎から謝られることでもないだろう。
「これからどこに僕を連れて行くのさ?」
「遊園地だ」
「はぁ、何で僕が遊園地なんかに……」
「いいからいいから!」
洋一郎に引っ張られるようにして駅のほうへとむかったのだった。
――――――
「霧之助、はい、カメラ」
「こっちもよろしく!」
「……」
二組のカップルの付き添いに与えられた使命とは何か?それは、彼ら、彼女らのラブラブシーンを撮ってあげることである。心霊写真にでもならないだろうか?
「……はい、チーズ」
もちろん、霊が写らないとわかっていて見切れるような意地悪なことはしないさ。きちんと撮ってあげている自分が無性に悲しくなってきた。何が悲しくてカップルたちの相手をしなくてはいけないのか?
いや、相手をしなくてはいけないというのにはちょっと間違いだっただろう。
「もう、猛君の意地悪!」
「ねぇ、もう撮らなくていいの?」
「おいおい、俺だけが悪いのか?」
「おーい、僕の話を聞いてるか~?」
「ん~じゃあ、私もちょっとだけ悪いかな」
「……無視かよ」
相手しなくていい、というより完全に無視されてますね、これは。きっと使い捨てのカメラをぶつけてやっても無視されるのがおちなんだろうな。
「え?ちょっと、ぼくは高いところが駄目なんだって!飛行機の時だって騒いでたでしょ?」
「忘れちゃった!って別にいいじゃない、洋ちゃん!観覧車だよ?」
「助けてくれぇ、誰かぼくを……」
「……」
「俺たちも行くか……じゃあな、霧之助」
「現像お願いしますね」
「…」
そろそろ我慢の限界だったが、僕をおいて観覧車に行く猛たちに臨界点を突破。
「止まっちまえばいいんだよっ!!」
することがなくなった僕はとりあえず近くのベンチに座ることにしたのだった。
昨日、警察車両に止まるよう指示されました。厳重注意とのことです。曲を聴きながら自転車を運転してはいけないのです。皆様も注意してください……。まだ、昨日はいろいろとありましたが、今回はここでやめておきます。十一月十七日九時零分雨月。