◆第百七十五話◆◆
第百七十五話
十一月も終盤を向かえ、寒さは厳しくなる一方。本当に十一月のお尻のほうであと一週間以内に十二月がやってくる。まだあと一ヶ月ほど期間があるというのに……テレビではずっとクリスマスを知らせるCMが流れっぱなしだった。期末だってもう始まる。
「もうクリスマスかぁ」
「……そうだね、クリスマスだね」
「そろそろ……悠子が帰ってくるのかな?」
悠子……という名前が出てきた時点で由美子の顔がいやそうな顔をする。
「そんな顔しちゃ悠子が怒るよ」
「怒らないよ、あの人は……きっと冷えた目で私を見るんじゃない?」
ああ、それはあるかもね。そういえば未だに手紙来るけどきっとお小言ばっかりなんだろうなぁ。訳する気なんてさらっさらだから……こっちに帰ってきたら悠と悠子から絶対に責められるに違いない。
「……僕さ、外国に行きたくなったよ……」
「手紙を出さないのがいけないんじゃないの?」
「そうはいっても読めないし」
「何もお姉ちゃんの手紙の内容を知ってから送る必要なんてないんじゃない?」
「……」
言われて見れば確かにそうだな…こちらから一方的に送りつけてあっちからそれに対する返事が来たとしても総スルー。また一方的な手紙を出すという強引な手段をとればよかったかもしれない。
コタツに突っ伏しながらも今年ももうちょっとで終わりかぁと貧乏神が好みそうなため息を吐き出していた。
「年明けて帰ってくるのかなぁ?」
「そうだと思うよ」
そういうと由美子が少し押し黙った。
「どうかしたの?」
「あ、いや……そうしたら二人暮らしじゃなくなるんだなぁって思ってさ」
「そうだね、多分三人で暮らすんじゃないかな?」
そっかぁ、それじゃ好き勝手出来ないかな……と由美子がため息をはくのを見て僕も同じくため息をついていた。
「そうだろうね、きっと拘束の中に自由はあるんだ!とか悠子だったらいってそうだよ」
「けどさ、もしかしたらお姉ちゃんの性格変わってるかもしれないよ?」
「お、そうだよね?外国にいってるんだから期待できるかも」
―――――――
「へっくち」
「何?風邪?後一ヶ月ちょいで帰れるからって気をぬきすぎじゃない?」
「……あ~きっと誰かが噂してるわ、きっと」
「気のせいでしょ」
「わからないわよ?」
「まず、霧之助じゃないわね……」
「何で?」
「きっとあたしのことを噂しているに違いないわ」
「……今頃お兄さんはあなたのことなんて忘れ去っていると思うわ」
――――――――
「じゃあさ、一緒に写真撮ろうよ?二人暮らしが終わる記念に」
「ん~わかった。それで、何処で撮る?」
厳正な話し合いの結果、由美子の部屋で撮るということになりそれならきちんとした格好で撮ろうと話が進みなぜか学生服で撮ることになった。
僕の腕に自分の腕を絡めてピースサイン。やれやれ、もうちょっと気の利いたポーズは出来ないのかなぁと苦笑混じりに僕もピース。
ともかく、記念にはなった。すぐに現像してくるよと告げて夕飯の買い物プラス、由美子のお使いをすることになったのである。
人が欲しがるものってだいたい金と権力、そして名声ってところですかね?突然何言っているんだろうって思わないでくださいよ。さて、この後書きを読んでくれている読者の方はどうでしょうか?煩悩の塊の雨月は金が欲しいと叫んで天気予報のお姉さんに金を降らしてくれと懇願したい気分です。あと、優しさが欲しいです。『バンダナをつけた人がこういった……次はおれの番だな』優しさ、バファリンの半分が欲しいんですよ?面白くない駄洒落を笑ってあげる優しさ、求めてます。けど、風邪引いたときにバファリンを半分にして飲んだらどうなるんでしょうね?優しさのほうだけだったら……気休め?謎はつきません。今度どなたか風邪を引いたときに実験宜しくお願いいたします。お前がやれよと思う方もいらっしゃるかと思いますが残念ながら雨月はあれですので風邪は引きません。インフルエンザにはかかるかもしれませんけどね。受験生の方がいましたらバファリンの半分を飲むという実験しないようにお願いします。それでは、うがい手洗い忘れずに今日はここまでといたしましょうか?今回はここで筆を止めさせていただきます。十一月十二日木曜、二十時二十二分雨月。