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◆第百六十五話◆◆

第百六十五話

 文化祭の一日目が終了して家に帰ると……結さんが立っていた。

「あ、大丈夫でしたか?」

「体調ですか?ええ、万全ですよ……それで今日はわたくしの家で夕飯を食べませんか?」

「いいんですか?」

「かまいませんよ」

 それならばお言葉に甘えさせていただくとしてさっさと荷物を置いて着替えるために金属製のドアを押し退ける。由美子は今日は帰りが遅くなるらしく、夕飯は僕一人の文だけでいいと結さんに伝えておくことにした。

 なんとなく、久しぶりに入るような気がしないでもない隣人宅。こっちとは違って掃除がきちんとなされており、住人によって変わる物なんだなぁと改めて思い知らされる出来事だ。

「今日はぶりの照り焼きにしますね」

「じゃ、先に席に着かせてもらいます」

 もともと一人暮らしなのでそこまで大きな台は必要ないのだろう……ちょっと大き目のちゃぶ台の下座に座らせていただいてテレビの電源を入れさせてもらった。

 どこも面白い番組はあっておらず、テレビが消えると聞こえてくるのは調理の音が聞こえてくるだけ……

「……」

「……」

 お互い何もしゃべらないので本当に静かだ……外の音もあまり聞こえてこないのは夜になると、ここら一帯が静かになってしまうのが要因として考えられる。つまり、大騒ぎをしてしまえば何処がその元凶だというのがばれてしまうのもある……

 なんだか間が持たないのでおもしろい番組がないというのはわかっていたのだが適当にチャンネルを回してニュース番組へとたどり着いた。それをぼけーっと見ていたがやがて手持ち無沙汰になってきたので手伝うことにしたのだった。

「あの、手伝いましょうか?」

「いえ、座っていてください」

 あっさりと要らない助け舟は港へ帰港。いつでも出港できる用意はできているのだがこれから先も出番がくることはないだろう。

 一言で言うなら暇、それ以上の言葉で言うのなら他人の家で好き勝手できないしなんだか結さんからは話しかけるなオーラが出ているために相手をしてもらえなさそうで……テレビをつけてもニュースしかやってないから暇である。

 ああ、そういえばこんな六畳一間みたいな団地だったかアパートだったかなんだったか忘れたがドラマであったっけなぁ?料理している女性を後ろから抱きしめる奴……今、そんなことを結さんにやってしまったらどうなるであろうか?実践してみたいと思うならば今から遺書を用意しなくてはならないだろう。遺書を用意するための紙と、筆を探さなくてはならない。

 結局、そんなことできないので結さんの後姿をずっとぼけーっと見ていることにした。もう着物ではない私服だが……相変わらず後姿は満点の女性である。もちろん、前から見たって綺麗なのだがその性格が、ねぇ、ちょっと危険かなって思われるし……ただひとつ、言えることはとても頼りになる人だということだろう。



―――――――



「じゃあいただきます!!」

「どうぞ召し上がってください」

 あれから若干の時間が過ぎて夕食となった。誰かが言ったとおり、空腹は最高のスパイスだったかソースだったか……共感できた。腹が減ってりゃ大抵のものはおいしく喰えるとかいったら結さんに非常に失礼且つ、明日の日の目を拝めない可能性が出てくるかもしれない……

「どうですか?」

「おいしいですよ!」

 もしも、そう、あくまでもしも……結さんの手料理がまずかったとしても僕は絶対に笑顔で、冷や汗なんてかかない状態で、首を千切れんばかりに縦に振っておいしいというだろう。

「それはよかったです」

「これなら何杯でもいけそうですよ」

 よく言う何?会話のキャッチボールだったのさ……

「よかった、今日は七人前用意してますから……」

 死刑宣告された気分だった。



――――――――



「……うぇっぷ」

 なぁんて言葉を結さんの家でもらしたら殺される。だが、今彼女はお風呂に入っているため、僕に盗聴器か何かがついていない限り大丈夫であろう。何か話があると結さんがいったので待っているのである。

 彼女の調子が酷く緊張したものだったのでものすごく恐い。得体の知れない恐怖感……でも、それはないだろう。だって結さんがお風呂に入ってくるといっているのだから。切羽詰っている状態ならばお風呂にはいったりはしないだろうし。

「……霧之助さん、お次どうぞ」

「え?」

 風呂上りの結さんは白い着物を着ており、どこから仕入れてきたのかわからないが僕のパジャマを持って差し出していたのだった。


コメディーやってる以上はやっぱり人をちょっとでも笑わせたいんですよ。モニター前で笑っている姿を想像しています。じゃ、手始めに雨月のギャグセンスをお披露目しましょう……あったかいもの、あったかい?今モニターの前で鼻で笑ったあなた、笑ったことには変わりないので雨月の勝ちです。勝ちなんて人の価値観で変わります……最近はめっぽう寒くなってきましたからね。夏にやっていれば大爆笑間違い無しだと思ったんですけど時期が時期だけに……寒いですね。一時期完全に使えなかったネタ……クスリとトランプ集めてスピードやろう……不謹慎ですね。そう思ってるならやめろよ!突っ込んだ方、ありがとうございます。じゃ、最後に即効で思いついたネタを!時計のことなどほっとけい!十一月七日土、二十一時五十分雨月。

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