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◆第百六十四話◆◆

第百六十四話

「…………」

 宮川百合は無言のまま彼の友人から数メートル離れたところを歩いていた。もちろん、彼に話しかけたりはせずに彼の隣にいる見知った……というより自分の先輩をまるで親の敵のようににらみつけていた。

 てっきり妹と一緒にいるとばかり思っていたのだがその考えはやっぱり甘く、現実とは厳しいものであるということを教えられる出来事であった。




 いつも一緒にいるのに、いつも一緒に話しているのにあの男は隣に住んでいるというだけであっちを選んだのだろうか?




 そんな考えが頭によぎるがあの男に限ってそれはないであろうと考え直す。多分、約束をした時期が早かったに違いない。だから、あの男の隣にいるのは一人だけである。もしも、そうもしも、あいつが……霧之助が、自分をはずして両手に花のような状態だったら本当におかしくなっていたかもしれない。つまり、もしもそんな状態になっていたら自分は女とも見られていないことになるのである。大体、初めて会ったときの印象が悪すぎだ……もしも、もしもタイムマシンがあったのならそれに乗って一年と約半年前に戻って見繕ってでも印象をよくしたいが……駄目なものは駄目だろう。

 ネガティブ思考はよくないと思ったが悪いほうへ悪いほうへと行きそうである。

「あれ?姉さんこんなところで何してるの?」

「雪……あ、いや……ちょっとまわる人がいなくて……」

 嘘は言ってない。今でもこうやって二人の行動をじっと監視しており、あわよくばその輪の中に入りたいと思っているのだから。

 これ以上突っ込まれたらなんだか泣きつきそうになってしまうので妹にふってみることにした。

「で、雪はどうしてここに?」

「休憩時間貰って……窓から間山さんの姿が見えたから」

「……そっか」

 もし、妹があいつの隣にいたらどうなっていただろうか?ちょっと想像してやめておく事にした。第一印象は妹のほうが悪かったが、相手にしたら勝ち目がまったくない。今現在だって仲がいいし、ケータイで話をしようと思ったときには常に話中で相手がしかも妹だったということがよくある話だ。この前だって一緒にゲームセンターに……いやいや、あれはきちんと自分もその後行っているのだから引き分けのはずである……

「姉さん?」

「あ~いやいや、なんでもない……ちょっと疲れてて」

「そっか…あまり無理しないでね」

「……う、うん」

「そんなに気になるのならわたしが間山さんたち見てよっか?」

「い、いや……大丈夫だから」

 純粋に心配してくれている妹に罪悪感を覚えながらも、このポジションは譲りたくない宮川百合だった。



―――――――



 時同じくしてこれまた別の場所から観察している一人の少女がいた。

 名古時羽である。

 彼女にとっては意外に意外だが、数人の男子クラスメートからお誘いがあった。

まぁ、可愛いか、可愛くないかという二つの種類に分けるならば前者であるし、まだ(年上を除き)オタクであるということがばれていない。

 誘われて浮かれていたが、窓の端に見知った顔が……しかも、その隣に誰か別の人がいたためにお誘いを全て断って身を隠しながら監視行動を続けているのである。もちろん、彼女のそんな姿をクラスメートたちは見ており、年上に淡い恋心を抱いているクラスメートとして男子たちからもはやあきらめの声があがっていたりする。

「……あ、あれが先約ですか……なるほど確かに……綺麗ですね……」

 ぶつぶついいながら隣の相手を見る。夏の海で見かけたことがあるし話したこともある、印象はちょっと恐そうだったがとりあえずいい人そうだった。何せ、自分の先輩と一緒に歩いていて違和感を周りに与えることなく(若干男のほうが物足りない気がしないでもないが)仲良しのカップルといわれれば納得しそうな光景だ。それなら、自分とあの先輩が一緒にいたらどうなるだろうか?そんな妄想をしてみると……

「……限定品を手に入れる行列が似合いそうですね……まぁ、それはそれでうれしいですけど」

 今度頼んで一緒に並んでもらおうかな……そんなことを考えながら名古時羽は監視を続けるのであった。



――――――――



「あ、由美子ぉ!あんたのお兄さんめっちゃ綺麗な人と歩いてるねっ!!」

「……あれ、隣に住んでる人。別に彼女なんかじゃないから」

「そっかぁ、けどお似合いかも……」

「お似合い?ん~それは……まぁ、一割ぐらいは認めてあげなくもない……」

「由美子が隣にいても違和感ないよね~」

「そ、そうよね!私が隣でもぜんぜん違和感ないっていうよりむしろはまり役なんじゃない?」

「…いや、まぁ、兄妹だからかな~?」

「……」



―――――――――



「はぁ……」

 東結はまた一つため息をついていた。ため息をつくごとに心配そうにこっちを見てくる隣人に笑みを返して大丈夫だと伝えるしかなかった。

 確かに楽しいひと時なのだ、隣人は本当に心の底から楽しそうでまるで子どものよう……こんな自分と一緒にいてくれて楽しそうにしてくれる人が現れるとは思っても見なかった東結も心の底から楽しかった。

 だが、それはそれ、これである。

 今現在、この学校の屋台の隅などには黒スーツの男たちがなにやら無線を飛ばしていたりする。今着ている着物にはなんと盗聴器のようなものまでつけられており隣人との会話は全てその男たちには筒抜けであるし、さらにそれは東家上層部に直接伝わっていたりする。そのため、結はため息をついているのである。

 そういったことが後に隣人の耳に入ることはすでに決定済みなのだが……そのときにこの友好的な関係が終わりを迎えるかもしれない……そんな未来が見えていたりする。隣人も何か思うことでもあるのだろうか?しきりにぼけーっとしていたりする。何を考えているのかよくわからないが、きっと自分のことを心配してくれているのだろう……結は今日の夜に行われるであろうとある作戦のことを思うとため息をつかずにはいられなかった。


最近成績不振ですよ。誰が……いや、雨月が、ですけどね。読者数だってなんだか減ってきているような気が……どこで間違えたんでしょうねぇ……最初は自分が満足のいく小説を書きたいなと思っていただけだったのに今じゃ読者数が気になるばっかりですよ。それがいけないんでしょうか?愚痴ったって仕方がありませんがまぁ、人生山あり谷ありですよ。山ばっかりですけど。自分は全世界で一番不幸だ~とか思えたらどれだけ幸せなことか……ま、とにもかくにも結果がどうであれ過程を重視していきましょう!霧之助の今後はもう、転がり続ける人生なんですよ。東結編やったあとはついに冬休み。そしてまぁ、いろいろと……気分を一新していきたいなと思っております。では、もしも感想いただけるのなら有難く頂戴する作者雨月でした。十一月七日土、八時三十八分。

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