表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
163/283

◆第百六十三話◆◆

第百六十三話

「……よし!」

 その日、宮川百合は気合を入れていた。今日は文化祭本番……本当は演劇をするはずだったのだが紆余曲折があって演劇から映画となりそれが放映されるのである。すでに内容は知っているし、出来上がったものも見せてもらっているためにそれをもう一度見ようとは思わなかった。まぁ、話としては面白いとは思うのだが友人を刺し殺してしまうという末路なのだから後味が悪い。すでにクラスメートたちの手によって様々な(もちろん、学校側にばれないように)宣伝がなされており結構な人が見に来るだろうと思われる。ふと、友人が映画のことで何か言っていたような気がしたのだが思い出せない。

 友人……いや、友人ではなく……恋……親友である。まぁ、ともかくその親友を演劇の中とはいえ、殺してしまうのは非常に心苦しい。



 ともかく、今日は自由なのである。



 今日はその親友と一緒に文化祭をまわろうと思っていた。



 どうせ、彼には彼女だっていないしいつもつるんでいる猛は矢田とか言う彼女だか友達だか曖昧などっちつかずの人物と一緒にまわるということはすでに知っている。

 つまり、二人きりになれるはず……

 そう思って宮川百合は親友へと電話をする。

『あ~……ごめん、先客がいるからさ……』

 電話はそれだけを言って沈黙する。

「嘘……せ、先客……?」

 脳内に何人かの友人たちが浮かぶ。どれもこれも男子生徒ではなく、女子生徒だった……だが、とある一人に思い当たった。

「あ、ああ……どうせ妹にせがまれてるんだろうな」

 うんうん、そうに違いないと自分に言い聞かせる。面倒見がいいからなぁ、私と同じで……宮川百合はそういって自分をごまかしたのだった。



――――――



「え~……と、電話してもいいですよね……友達って言うか先輩後輩ですし……まわってくれる相手なんてほかにいないし」

 名古時羽は自分のケータイ電話の待ち受けを眺めながらそんなことを一人つぶやいていた。彼女は極端に友達が乏しく(彼女は自分がオタクであるということを隠蔽している『隠オタ』である)、事情を知っているものと一緒にまわるぐらいしか思いつかなかったのである。

 ちょっと頼りにはなりづらそうな感じの先輩を頭にうかべながら数少ない電話帳の友人欄から見つけ出してコールボタンを押す。

 数回の呼び出し音がなった後に声が聞こえてくる。

 電話した旨を伝えると申し訳なさそうな声とともにごめんねと言い添えられる。

 電話は切れた。

「……せ、先客……そ、そうですよね……友達と一緒にいっているに違いないし……けどまぁ、あっちで逢えるに違いないでしょうし……案外、自分たちが撮ったっていっていた映画を放映している場所にいるかもしれませんし……」

 まさか断られるなんて思わなかったが、先客がいるということ自体がなんだか殴られた気分に彼女をするのだった。

 何故、こんな気持ちになるのかよくわからなかったがどうせ文化祭で会えると自分を慰めて名古時羽はふらふらとした足取りへ文化祭が行われるであろう高校へ足を運ぶのだった。



――――――――



「お兄ちゃんは今日結さんとまわるんだったよねぇ?」

「うん、そうだよ」

「そっか、友達がちょっと話したいっていってたけど」

「ごめんね、結構前から約束しちゃってるからさ」

「気にしないでよ……まだ文化祭は明日もあるんだからさ」

「そうだったね……今年から二日あるのか……」

 じゃ、いってくるねと残して間山由美子は玄関を出るのだった。すぐ下には友人が待っておりその友人に向かって由美子はため息をついたのだった。

「はぁ、駄目だった」

「えぇ?モデルというよりこんなに可愛い妹の頼み聞いてくれないの?」

「ん~……そんなんじゃないよ。頼みは聞いてくれるんだけど先に約束しちゃった人がいるからそっち優先してるだけだよ」

 可愛いということを否定せずに友達に向かって説明をする。

「ま、私は別にブラコンってわけじゃないからさ」

「本当に~?由美子ってばずっと『お兄ちゃん』の話ばっかしてるじゃん?」

「うっさいなぁ!」

 そんなやり取りをしながら由美子は文化祭がすでに行われているであろう学校へと向かうのだった。



――――――――



「……はぁ」

 宮川雪は一つため息をついていた。場所は彼女のクラスで今現在、彼女は一生懸命釜揚げうどんを作っている途中だった。

「次、釜揚げ準備お願いします」

「……は~い」

 周りから若干恐れられている雪だが、仕事はこなすタイプなので重宝されていた。殆どのクラスメートたちが出し物などを見ることなく一生懸命働いているために自分だけ抜けさせてくれとは頼めなかったし、どうせ一人でまわっても退屈で面白くなかった。姉と一緒にまわるという手もあったのだがなんだか今日はそんな気分になれずにうどんをせっせとゆでている。

 一週間前にとある友人に、強いて言うなら唯一心を開いている心友に一緒にまわらないかと誘ったのだが先客がいるといわれて断られてしまった。秘伝の紙を使おうとも思ったのだがなんだか自分が子どもじみたような気がしていやだったし、困らせるようなことをしたくない相手だった。

「……宮川さん、元気ないですね?」

「わたしは元気ですよ……」

「ちょっと空気をすってきたらどうですか?」

「……そうですね、そうさせてもらいます」

 エプロンなどを取って教室外へと出ることにする。結構繁盛しているようで外には十人ほどの列ができていた。さて、これから何処に行こうかな……そんなことを考えながらふと、窓から校庭を見ると見知った顔を見つけることが出来た。

「ん?……ん、ん?」

 そして、その隣にはこれまた別の……人物も一緒にいたのである。

 なるほど、あれが先客か……

 雪は納得してちょっと様子を見に行くことにしたのだった。

 偶然だかどうだかはわからないが、彼女以外の三人もちょうどその姿を別々の場所で見かけたのだった。


さて、今回の話はどうだったでしょうか?よろしければ感想などをいただければ幸いですが……少々複雑な段階を踏まなければいけないのでお手数かかりますね。雨月は基本的に感想をいただいたらすぐに返しているとは思いますがまぁ、そこは受け取る側との考えの違いもありますのでご了承ください。もはや、誰も後書きなんて読んでいないでしょうからやりたい放題ですよ。中には批判とかしている人もいるかもしれませんが所詮、限界なんてわかっているものなのです。先日、親しくしてもらっている作者の人との話の中で小説家が絶対に超えてはいけない壁を話し合いました。そう、わかる人にはわかりますが著作権に完全に守られているあの存在ですよ。ここでもたとえ名前を出してしまえばどうなるか……あれについて批判してくれなんて絶対にいってはならないあのキャラクター。使用料金をどれだけ取られてしまうか……おそろしい話です。けど、実際後書きなんて誰も読んでないですから……って、いいませんけどね。へたれだといってください。それをちょっと乗せただけで雨月はここから消されること請け合いです。皆様も日常には落とし穴があるということを頭の片隅にでも思いとどめていただけると今回の後書きの意味があったと思われます。ちょっと話の軸がぶれてましたが今回の話、これ単体での感想いただけるとうれしいです。では、また次回。十一月六日金、十九時六分雨月。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ