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◆第百五十三話◆◆

第百五十三話

「ほ~ら、早く私を捕まえて見せて~」

「あはは~まて~」

 僕は今、夢を見ているのだろう……そうでなければこんな状況ありえるわけがない。まだ暑いとはいえ、半そでで浜辺を走ったりしないだろうし。

 僕の前を走っていく後姿、それは宮川百合その人だろう……最近、練習とかでずっといるからこんな夢を見ているに違いない。もちろん、あの劇が原因でこんな感じに……ああ、夢くらい素直に見せてもらえないんだろうか?いちいち冷静に解析して自分の夢に突っ込みを入れている自分が悲しい。

「つかまえたっ!!」

 夢の中の僕はそのまま百合ちゃんの背後から抱きしめる。そんなの実際にやったら花壇に埋められるに違いない……頭から突っ込まれること間違い無しだ。

 しかし、夢は夢であり現実には起こりえないことが起こった。

「……間山さん、あの、何でわたしに抱きついているんですか?」

「うぇ?って雪…ちゃん?」

「その反応は何ですか?そんなにわたしが……嫌ですか?」

「いや、そういうわけじゃ……」

「大体、こんな風に組み敷いて……何をお望みですか?」

「……」

 頬を朱に染めて海のほうへと視線を向ける。

「僕はね、雪ちゃん……」



――――――――



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 目覚まし時計が鳴るより早く、自分の叫び声で目を覚ました。自分の叫び声で目覚めるなんてよほど気持ち悪い夢を見たに違いない。どういった夢だったか忘れてしまったのだが……どんな夢だっただろうか?身体を起こして考えてみるも、思いつかなかった。

「どうしたのっ、お兄ちゃん!」

 扉がばたんと開け放たれ箒を持った由美子がやってきた。

「あ、いや……おはよう」

「おはようって……すごい叫び声が聞こえたけど?」

「……うん、多分恐い夢を見て……叫び声あげちゃったみたいなんだ」

「恐い夢って……子どもじゃないんだから」

 呆れた、そういって由美子は自室へと帰っていった……恐い夢、かぁ……そういった恐いという意味じゃないんだけどうまく伝わらなかったようである。得体の知れない、よくわからないというそういった意味での恐いって意味だったんだけど……ともかく、目が覚めてしまったのはしょうがなかった。どうせ、あと十五分したら目覚ましがなって僕を起こしていたのだから今起きてもさして支障が出るわけでもない。

 早起きは三文の得、そういった人を何故だか恨みつつも布団から這い出して朝食を作ることにしたのだった。



――――――――



「よし、じゃあ今日はこのぐらいにして解散するか」

「おつかれさ~ん」

「……」

 今日も一日授業が終わり、その後放課後練習も終わって帰路へとみんながつき始める。ぼーっと校庭を見ていると誰かに話しかけられた。

「霧之助、なんだかボーっとしてないか?」

「え?う、うん、ちょっとボーっとしてたかも……」

 心配そうにこっちを見ていたのは百合ちゃんだった。最近、何かいいことでもあったのか普段からニコニコしておりよく話す。

「今日一日なんだか様子がおかしい気がしたんだけど……まさか、寝てなかったりするんじゃないんだろうな?」

「いや、ちゃんと寝てたよ。ちょっと今日は悪夢を見たみたいでさ」

「悪夢?どんなのだ?」

「それがさ、思い出せないんだ」

 どんな夢だっただろうか?いまだにさっぱり思い出せなくて思い出すために一日ボーっとしていたのかもしれない。

「ま、今日はゆっくり寝るから……大丈夫だとは思うけどね」

「それなら安心だな……じゃあ帰るか?」

「うん、帰ろうか……」

 教室から廊下へと出る途中、廊下を走ってくる見知った顔があった。

「姉さん、間山さん……はぁ、何とか間に合った……」

「……雪ちゃん?」

「雪、そんなに慌てて…どうかした?」

「あのね、姉さんこれ母さんから朝貰ってて一緒にいっておいでって」

「「?」」

 二人して渡されたものをみると最近オープンしたケーキ屋さんのものだった。そこは結構大きくて中で食べることもできる。男一人ではちょっと入りにくい場所(そういうわけで先日猛と一緒にいったところひそひそと話された)でもある。

「んじゃ、一緒にそこ行こうか?」

「姉さんも一緒にいくよね?」

「う、うん、一応行くけど」

 何か問題でもあるのだろうか?僕と雪ちゃんを交互に見渡してから納得のいかない顔で頷くのであった。


なんだかものすごく恐い夢を見たのにそれが何だったのか思い出せないなんてよくあることです。いや、大体それが本当に恐かったのか、冷静に考えてみれば実はぜんぜん恐くなくてなぜか恐いと思っている夢。それを勘違いとでも言うのでしょうか?さて、言っててわけのわからないことはこのぐらいにして今日は今後の予定について久しぶりに行って見ましょうか……最近、後書き読んでくれている人いるかどうかわかりませんけどね。義務感感じちゃってるんでやらなきゃ気持ち悪いんですよ。今後、文化祭が開始されるまでにもいくつか短い話が入り、文化祭が終わったあと……そうですね、悠子と悠が旅立ってそろそろ一年が経つというわけです。さてさて、これからどうなるのでしょうか?次回もお暇なときに読んでいただけましたら幸いです。十月二十八日水、十五時五分雨月。

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