◆第百三十七話◆◆
第百三十七話
「霧之助~いっくぞぉ!」
「お~」
飛んできたビーチボールをうまく受けて次の人に回す。
「それ」
「わ、わわっ!!」
どうやら雪ちゃんはこういったものは苦手のようで思い切り尻餅をついていた。大丈夫だろうか?
「大丈夫?」
「だ、大丈夫です」
ふと、右肩のあたりに大きくはないがけして小さいとはいえない傷があった。傷、傷かぁ……そういえば小さいころ百合ちゃんが原因で怪我したって言ってたっけ?
「あの、間山さん?」
「え?あ…」
気がついてみれば雪ちゃんが僕の顔を覗き込んでいた。びっくりして慌てて後ろに下がろうとしたのだが見事に自分の足に引っかかって転んでしまった。
「霧之助、何転んでいるんだよ?」
百合ちゃんが小ばかにしたような目でこちらを見ている。
「いや、ちょっと雪ちゃんが転ぶのが珍しいなぁって思って…」
「そうかぁ?雪が転ぶよりも霧之助が転ぶほうが珍しいって思うけどなぁ」
ボールを持ってそんなことを言っている百合ちゃん。他のみんなもそのようでうんうん頷いている。
「そうかなぁ?僕も結構転ぶけど?」
一生懸命嘘をついてみるも誰も信用していないようだった。やれやれ、人望がないのかなぁ……
―――――――
ボールで遊ぶのも飽きたのかそれぞればらばらに遊んでいる。あるものは海岸を二人で歩いていたり、砂に寝そべって埋められていたり、波打ち際できゃはきゃは言っている者に再びスイカを割っているものまで。
僕は砂浜に腰を下ろしてそろそろ沈み始めそうな太陽をボーっと見ていた。日焼け対策をしていたのだが最近地球温暖化が進んでいるようで肌がひりひりする。
家に帰ってのお風呂はきついだろうなぁ、そんなことを考えていると隣に誰かが座った。
「となり、いいですか?」
「え?ああ、いいよ」
それは雪ちゃんだった。僕のほうを見ることも無く、同じようにして太陽を眺めていた。
「……」
「……」
何か言いたい雰囲気を感じることができたのでこちらから切り出すことにした。ここで切り出さなかったらきける話も聞けなくなる、そんな気がしたからだ。
「……どうかしたの?」
「……わたしが転んだとき、霧之助さん傷を見てましたよね?」
「それは……」
嘘をついても仕方がない。僕は素直に認めることにした。
「うん、雪ちゃんの右肩の傷を見てたよ」
「そうですか……傷の話、しましたっけ?」
「詳しくは知らない……」
「聞きますか?」
別にどうって事はない話なのだろうか?
「う~ん、いいや。話してくれなくても」
「そうですか……それは残念です」
そういってこっちに顔を向けるのだった。
「もっとわたしのことを知ってもらおうと思ってましたから」
「そうかな?結構雪ちゃんの事知ってると思うけど?まぁ、百合ちゃんには負けるけどさ」
僕は立ち上がることにした。そろそろ帰り支度を始めたほうがいいだろう。雪ちゃんも僕に続いて立ち上がり、僕の後についてくる。
「……そうですか?わたしのことを知っている……けど、わたしはいつかもっとわたしのことを間山さんに知ってもらいたいって思ってますから……それに、わたしは間山さんのことをあまり知りません」
「そう?」
「ええ、そうです」
それだけ言って雪ちゃんは僕を追い越して走っていってしまった。僕のことを知りたいねぇ……結構僕の事知ってるんじゃない?
「どうかしましたか、霧之助さん?」
「結さん……あの、結さんって僕のことをどれだけ知っていますか?」
しばしの間考え込むような姿のビキニのお姉さん(着やせするタイプだったんですね……)はぽんと手を叩いてこういった。
「そうですね、よく知りませんが今日のパンツがスイカのしましまということぐらいしか知りません」
「……」
ざざ~ん、そんな波の音が僕の耳に入ってくる。
気がつけばもう少しで百四十話ですよ。え?もう飽きた?マンネリ?う、う~ん、この独り相撲的な雰囲気も打破したいところなんですけど雨月はもちろん一人で小説を書いているため寂しくこんな風にしかできないのです。人間って欲深いものです。感想もらえなくなったら完全にふら~ふら、ふら~ふらとなってしまいますから。相変わらず脈絡のないことばっかり言っていますが……まぁ、気にしないでください。前よりも後書きがしょぼくなったなぁとか思っている肩も少なからずいることでしょう。愚痴ってばっかりですから。そんなこの小説もお気に入り登録件数二十件を超えました。純粋にうれしい気持ちといまだにお気に入り登録ってなんだろうか?と悩んでいる感じでもあります。お気に入り登録していただいた方、ありがとうございます。さすがに誰がお気に入り登録したかまではわかりませんので名前を挙げてお礼を言わせていただくのは少々無理というものです。何かしらの方法で(たとえば感想とか感想とか感想とか)名乗っていただけたら幸いだなぁと思っております。では、いつものように感想などがありましたら宜しくお願いします。次回もお暇なときにご一読いただけたらと思います。