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◆第百三十五話◆◆

第百三十五話

 高畑里香という人間がどれほど危険人物かようやく理解できた。本当にやりだしたのである。

「さぁ!みんなでぐるぐるまわして!もっともっともっと!!」

 矢田さんがトップバッターでまわしており、その手に握られているのは鉄パイプだった。

「猛、これは本当に洒落にならない!浮気をした男を女の人が殺しちゃうドラマとか見たことあるけど関係ない人を巻き込むのは非常によくない!」

「待った!まだ浮気してない!つきあってない!愛の告白してないから!」

 一生懸命努力しているが、抜けないものは抜けないのである。突き刺さった剣を引き抜くのは勇者のステータスのようなものだが……生まれて初めて突き刺さった剣の心がわかった気がした。さっさとぬいてほしい。

 とうとうふらふらしながら矢田さんが得物をもってやってきた。その姿がやけに似合っていて……かなり怖かったりする。

「ああ、死ぬなら楽に死にたい」

「おい、まだ望みを捨てるな!霧之助!」

「……」

「おい、どうした?」

 一生懸命脱出を試みている猛。そして、声を出している猛のほうへと近づいていく……かわいそうに声を出したら愛する人のほうへ目隠ししてもいっちゃうに決まってるじゃないか。

「矢田!危ない!危ない!お前がいま振り下ろそうとしているその先に俺がいるから!」

「……」

「霧之助!お前も何か言ってくれよ!」

 女性の力でも鉄パイプを振り下ろされてしまえば……どうなるか判った気がした。緑と黒のストライプの隣でまるで……まるでざくろのようにばっかりと割られた猛の頭。

「おい!お前大丈夫か!?」

「……」

 他人の心配をしている場合じゃなかろうに。矢田さんは振り上げた鉄パイプを無言のまま振り下ろした。



ぱきゃっ!!



「……」

 そして、真っ二つに割れた鉄パイプは先っちょのほうが砂浜にころりと横たわる。

「「え?」」

 僕と猛がぼーっとしながらその光景を見ていると高畑さんがこちらのほうにやってきた。

「安心してよ♪これ、鉄じゃなくてよくできた発泡スチロールだからさ」

「……」

 なるほど、よくよく見てみればそれは本当によくできた(質感、見た目など、どれも五つ星をあげていいものだ)贋作だったのである。なぁんだ、よかったよかった。というより、本当に矢田さんが猛の頭に鉄パイプを振り落とす真似なんてするわけないな。愛する男に天誅を下すことなんてあるわけがないない。

「もちろん、本物もあの中には入っているからスリルはたっぷり味わえるよ?だからさ、もしも……もしも、黄銅君と間山君に恨みを持っている人がいたとしたら……」

 いたとしたら……間違って選んでしまったというおそろしいロシアンルーレット(重さでわかるはずなのに)のせいにする恐れがあるのである。

「本当ですか?」

 本当と書いてマジと読めるご時世……。

「マジです」

 そういわれても僕は大丈夫のはずだ。だって、他人に恨みを買うことなんて……

「霧之助、お前やばいんじゃないのか?」

「え?何が?」

 矢田さんがようやく戻ってくれたようで猛がこちらを見ずに女の子の方を見ながらこういったのだった。

「お前この前百合さんのパンツ見ただろ?あれをうらまれてたら……」

「…」

 人は…パンツで死ぬのだろうか?


前回の後書きで言うことを忘れていたこと……手直しを始めました。第一話、第二話の誤字訂正を終了しました。それと、読み返しておかしいなと思ったところも変えております。今後も時間があるときにそういった作業をしていきたいと思っています。あくまで予定ですけどね。今回で海三回目。若干長い?話になりますがお付き合いください。雨月には海に行ってくらげに指されるというのが毎年やることの一つのような気がしてなりません。あのくらげ、どうにかならないんでしょうか?くらげにさされた日の夢でくらげを食べている夢を見ました。そうめんが入っているような容器にくらげが一匹はいっており、それをスプーンですくって口に運ぶ……そんな夢。海編が終わったら感想のほう宜しくお願いいたします。では今回はこの辺で失礼させてもらいます。

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