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◆第百二十五話◆◆

第百二十五話

 開け放たれた扉の中には三人の人がいた。そのうちの一人が静かに口を開く。

「やぁ、よく来てくれた」

 一人目は神経質そうな印象を受けるからだの調子が悪そうな少し太った人。ぎろりと僕たちのことをにらみつけていた。

 二人目は落ち着いた感じの初老の女性で青い着物が似合っている。柔和そうな感じだ。

 そして、最後の人は悠と洋一郎の結婚式みたいなときに僕の行く手をさえぎったあの人だった。今回は非常に落ち着き払っている。

「パーティーは楽しんでくれているかね?」

「え、あ、はい」

 非常に居心地が悪い。簡単に説明するならばかっとばしたボールが家の窓ガラスをぶちやぶり、ボールを取りにいってつかまって説教を食らいそうになったときにその人の家が燃え始めて逃走、そして後日町で偶然であったみたいな感じ。

「今回君をここに呼んだのは別にあのときの責任を取ってもらうためではない、だからそんなに構えなくても結構だ。まぁ、この前のことを無礼だとわきまえているのならそれに越したことはないがね」

 いつの間にか緊張していたのだろう。いまだ結さんとつながっている手には汗がうっすらと浮かび上がっていた。

 責任を取ってもらうためではないといってもらえたのだが、どうやら近くに立っていた神経質そうなおじさんはそうではないようだ。

「……君があのようなところであんなことさえしなければ……大体、どの面下げて東家のパーティーに出席できると……」

 ふと、僕を完全に隠すように結さんは一歩前へと踏み出した。後姿でどんな表情かわからないがたとえるなら……そう、たとえるなら“頼りがいのある人”に見えて仕方がなかった。

「お言葉ですがおじ様、霧之助さんのおかげでこのパーティーは催されたのですが?それに、貴方が霧之助さんのことをどうこう言う資格などありません。下手をしたら世間から抹殺されていた可能性が高いのをお忘れなく」

「ぐ……」

 結さんと男性の間でしばしの間緊迫した空気が漂う。僕以外の残り二人はどうやらこの件について何もいう気がないようだ。

 そして、結さんの攻撃は休まることがなかった。

「いちいち根に持っているなど臆病者のすることです」

「なにぃ!?私のことを臆病者とののしるのか!?」

「違うというのならば黙っていていただけませんか?今日は貴方とこうやって話をするために来たわけではありませんから」

 恨めしそうに結さんをにらむも、ここからでは結さんの表情がどういったものかまったくわからなかった。怒ったような表情なのか、いつものように落ち着き払っているものなのか……多分、後者だろうな。結さんはこの程度のことで臆する女性ひとじゃないし。

「はっはっは、その程度でやめておけ。お前がかなう相手じゃないぞ」

 それまで一切口を挟まないでいたえらそうなおじさんがそういう。

「し、しかし……」

「うむ、おぬしはもうパーティーのほうに行っていいぞ。私が言いたいことは私がちゃんというからな」

「……わかりました」

 僕のほうを見ることも無く、隣を通って神経質そうな小太りおじさんは去っていったのだった。

「実にお見苦しいところを見せてしまい申し訳ない」

「いえ、気にしてませんから」

「そうか、では改めて東家へようこそ。私の名前は東勇気」

 東勇気、その名前はすでに結さんから聞いている。てっきり近くにいる女性のことも紹介してくれると思っていたのだがまったく触れずに違う話を始めた。

 少しばかり自分の頬に汗が浮かんでいることに気づき、この部屋自体が廊下や先ほどのパーティー会場と違って暑さを感じる。クーラーはどうやら入っていないようで窓自体が開けられていたから……暑さが初夏を感じさせる。

「今日君に来てもらったのは君の妹さんからの頼みなんだ」

「え?」

 予想だにしない一言が東勇気さんの口から出た。

「妹?」

「そうだ、君の妹、間山悠子さんからのお願いなんだ」

「何で悠子が?」

 結さんが静かに振り返り僕にこういった。

「……昨年、悠子さんが交通事故に遇われたのは覚えていますよね?」

「え?うん、それと何の関係が?」

 結さんは懐から手紙を取り出すとそれを僕へと渡す。手紙はどうやら悠子が書いたらしい綺麗な筆記体。

「……」

「これで、わかったかな?」

 英語が読めません……なんていえないのだが結さんはどうやら察してくれたらしい。手紙を僕からひったくってこういった。

「霧之助さんは根に持つようなタイプではありません……そうですね、霧之助さん?」

「え?あ、はい……」

「そうか……それはありがたい」

 心の底からほっとした表情。うまく言葉が見つからないがこれが一番適切な表現だと思えてきた。そして、僕が知りえないところで話は一方的にすすんでいっている。

「私はこれからパーティーのほうで挨拶をしなければならないが、君が私に謝罪を、土下座を求めるというのならば私はこの頭を床につけよう」

「いえ!そういうこととか一切してもらわなくていいですから!挨拶にでもなんにでもどうぞ行って来て下さい!」

「そうか、それは恩に着るよ……では行こうか」

 傍らに立っていた女性を促して東勇気さんたちはこの部屋を後にしたのだった。そして、僕と結さんだけが残される。

 窓から初夏の風が吹いたが、結さんのまとめられた髪がなびくことはなかった。


ここがリニューアルして(どれだけリニューアルをネタで引っ張ってるんだよ!?って突っ込みたい方どうぞ)少したち、気がついてみればこれまでなんの違和感もなかったサブタイトルがおかしなことに!◆の数が足りてない!と思っていることでしょう。今後、徐々に改変されていく予定ですのでお時間のほうを少しだけとらせていただきます。わかっているならなんで今も◆をつけない投稿してんだろう?とも思われるでしょうがご安心ください、これはくせですから。歩き出すときは左足からとかそんなものです。話はいきなり地球温暖化へと変わりますが雨月が住んでいるところではいまだ蚊が我が物顔で部屋を飛行しております。夢だ夢だと思って目が覚めてみると頬を指されていたり、腕には蚊にすわれた後が……血眼になって蚊を探し出しますとも。雨月の恨みはおそろしいのです。とまぁ、このぐらいにしておきましょう。あまりやりすぎるのも人としてどうかと問われますからね。さて、霧之助と結が最近ベストパートナーではないかと錯覚するようになって来たわけです。もちろん、以前様々な企画をうちたてましたが死んでいるようで生きていますのでよろしければそのことについても一言いただけると幸いです。エンディングのほうも受け付けてますから!感想、その他ありましたら宜しくお願いいたします!十月二日金、七時雨月。

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