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◆第百二十二話◆◆

第百二十二話

「……名古……時羽?」

「うん、名古時羽」

 同じ一年だから知っているかなぁと思ったのだがあいにく由美子は知らないようだった。

「もうちょいがんばってみて」

「わかった」

一応千切りキャベツを食べながら考えてみるも頭の中でヒットはしなかったようだ。というより、考えるのも面倒みたいだし。

「ごめん、わからない」

 考えてすらいませんという顔でそういうのはあまりよくないと思う。ちょっとそっけない態度で負け犬の遠吠えみたいなことを残しちゃう人たくさんいるからさ。

「そっか、そうだよねぇ、入学してまだ半年も経ってないからね……」

 一応、兄としてフォローを入れておいてあげよう。

「大体私は学校でクールな自分を演じてるからねぇ……他人と馴れ合うようなことはしないの」

「クールねぇ……」

「あ〜信じてない目!」

「いや、一応は信じてるけどさぁ……なんとなく思ったけど友達いない?」

「失礼な!」

 がちゃんとテーブルを叩くところを見ると一応いるのだろう。

「ごめんごめん!冗談だよ」

「まったくもう……」

 怒る由美子もたまにはいいかもしれない。ちなみに、怒る悠子はもう嫌というほど見てる気がしてならないから見なくていいかも……



―――――――――



 学校へ行くために玄関の扉を開けるとやけに久しぶりな気がしないでもない結さんが立っていた。あちらの高校も衣替えが終わったのだろう。夏服を着ており、結さんには夏服も似合うんだな〜と一人で納得していた。

「あ、おはようございます」

「お早うございます、霧之助さん……今日は早いんですね?」

「ええ、ちょっと美化委員で呼び出されてますから」

「なるほど、委員会があるんですね」

 わかりましたと言ってからこういった。



「実はちょっと大切なお話があるんです」



「大切な……お話?」

「ええ、大切なお話です」

「……」

 大切なお話?ううむ、大切なお話といったら何があるのだろうか?考えるよりも聞いたほうが早いぞと脳内で結論が出される。

「あの、大切なお話って何ですか?」

「大切なお話とは大切なお話、ひいては重要なお話ということにもなりますね」

「ああ、なるほど……」

 って、さっぱりわからない!

「今日の放課後、喫茶なまはげでお待ちしております」

 会釈してそのまま下のほうへと降りていく。喫茶なまはげ……百合ちゃんとよく行く喫茶店でもある。炭酸緑茶、いや、今はもう炭酸麦茶が出てる季節だったかな?大体、あそこ喫茶店じゃなくてファミレスなんだけど…もしかして喫茶店に変わったのかな?



―――――――――



 朝のHR……転校生でも来ないかな〜と思っていると隣の席に座っている百合ちゃんが話しかけてきた。

「なぁなぁ、今日なまはげに行かねぇ?」

「あ〜……行ってもいいけど……というより、行く予定だよ」

 行く予定というより行かなきゃ行けない予定だけどね。

「お、そうかぁ、そりゃよかった……」

 この笑顔が崩壊してしまう呪文を僕は知っている。そして、笑顔を見たいと思っているのに運命とはとても残酷なのです。この笑顔を僕は壊したくない……

「……結さんと一緒に」

 そういうと百合ちゃんの表情が徐々に凍り付いていくのが手に取るようにわかった。いやぁ、あれだよ。僕だって保身に走ってみたいお年頃だからさ。

「あ〜悪い、霧之助……私今日は用事があるんだったわ」

 がんばってこいよといった百合ちゃんの顔がインポッシブルな作戦をさせる上司の顔に見えて仕方がなかった。気のせい……だと僕は信じたい。



――――――――――



 午前中全ての授業が終わり、昼休み。百合ちゃんは購買のほうへと走っていってしまった。どうやら今日はお弁当ではないらしい。

「ねぇ、猛……」

「何だよ?」

「大切な話って何だと思う?」

「大切な話ぃ?」

 変に首をかしげている。

「何のことだ?誰からだ?」

「隣に住んでる他校の生徒……一応知り合いだよ。ほら、文化祭のときに来た人」

「ああ、なるほどねぇ……」

 結さんのことを一発で想像したようだ。記憶力は悪くないほうだと他言している姿がよく見られるが嘘ではないらしい。

「あのお方からの大切な話ねぇ……」

 そして、きっと妄想癖でもあるのだろう。彼の思い出の中で勝手に結さんが美化されて言っているに違いない。逃がした魚は多かった……あれって逃がしたほうが自慢するのにいいのかもしれないねぇ。

「もしかしてさ、告白……とかかな?」

 ほのかな青春・・・・。

「あ〜そりゃないと思うね」

「だろうね、僕もそう思うよ」

 冗談である。あの人が僕に告白することはないだろう……逆がもしもあったとしてもだ。現実とは夢を打ち砕くため、目を覚まさせるための刺激の強いスパイスだろう。

「目的が何なのかわからねぇが取って喰われるってことはねぇだろ」

 そういう猛の目は完全に他人事。まぁ、結さんは頼れるお姉さんみたいな存在だし何かいい話かもしれない。机上の空論ほど仕方のない話はなかろうが猛の言うことはあながち間違っていなかったと思ったのは今日の放課後、喫茶(もはやファミレスなのかどっちなのかわからないところがあるのは本当)なまはげでだった。


先にエンディングを書いた理由、わかりますか?唐突に質問してもわかるわけがありませんよね、すいません。答えはこの小説を雨月がどこまで続けるか、そこに根ざしているからなのです。以前は大団円を!極力円に近づけたい!とか言っていましたがこの状況、みんなが納得するような終わり方が今の段階では見つかっておりません。霧之助ハーレム状態で終わってしまう、または女の子たちの襲撃にあって校庭に吊るされる。きっとどっちかの終わりしかないのかな、と思っているのです。それはそれで、面白そうかもしれませんけどね。二回目のエンディングもどうやら好評だったようでほっとしているところではあります。また、どなたかがエンディングみたい!とかやってくれればやる気が鎌首もたげて作成開始するかも、いや、します。話は変わりますがちょっと前まではファミレスで通っていたあそこが気がついたら、喫茶店だったなんてよくあることでしょうか?最近のところはよくわかりませんね、小奇麗でこざっぱりしているところが喫茶店。がやがやしていて明るい印象を受けるのがファミレスという線引きを雨月がしているためになまはげがどんなところか想像しづらいです。では、感想評価、そのた待っております。九月三十日水、七時雨月。

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