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◆第百二十一話◆◆

第百二十一話

 こほんと一つ咳をして夕暮れ時のスーパーの一角、子どもの聖域であるお菓子売り場で名古時羽はこういった。

「以前言ったとおり、あたしはコレクターなのです!」

「ははぁ、そりゃ前に名古ちゃんから聞いたよ」

「コレクターの仕事はコレクションすることです。だから、お仕事をしてただけなんですよ」

 ああ、なるほど〜……そうなんだ。あんまりかかわらないほうがよさそうな目をしてる……

「お邪魔したね」

 人はできればトラブルという名の不幸を背負い込まないようにえてして逃亡という勇敢な行動をとろうとする生物である。しかし、人生はそんなに甘くない。

「いえ、そういうわけではありませんよ……あの、先輩はこっちの箱とこっちの箱、どっちがいいと思いますか?」

 差し出された箱をまじまじと見るも、両方とも一緒だ。

「一緒じゃない?」

「中身は違いますから……後一種類、シークレットは集めたんですけどこの十番があたらないんですよ」

 そういって箱の表面に書かれている一つを指差す。

「この『パンドラの箱入り娘 でぃすぺあー』なんですよ。他はもうダブってシークレットにいたっては三つも当ててます!」

「ふ〜ん?じゃあ、こっちでいいや」

「こっちですね?先輩を信じますよ?」

 そういってレジのほうへと猛然と突っ込んでいく。やれやれ、何をそんなに暑くなっているのか僕にはよくわからない。

 さっさとここを立ち去ったほうがよさそうである。話しかけたのはこっちだ……何故話しかけてしまったのだろうか?なんとなく話しかけてしまったのが間違いだったのかもしれない。

 とにもかくにも、さっさとここから立ち去ろう。野菜売り場へ逃げようとする僕の腕を名古時羽が掴んでいた。

「先輩!きました!」

「何が?」

「これで全種コンプリートです!先輩って運がいいんですね!尊敬します!」

「……」

「あ!そうだ!是非あたしの家に来てください!」

「いや、僕は……」

「遠慮しないでください!ささっ!案内しますよぉ♪」

 変な迫力に押されてそのままお持ち帰りされてしまう。仕方ない、今日は家にあるもので何か作ろう。



――――――――



「ここが、あたしの家です!」

 僕と名古ちゃんが通っている高校から歩いて十五分程度、そして先ほどまでいたスーパーから約七分で到着する場所にその一軒家はあった。

「……言っちゃ何だけど今にもつぶれそうなお家だね?」

「よく言われます♪けど、中身は新しいんですよ?この前リフォームしましたから!」

「そうなんだ」

 どうぞといわれてそのままなかにはいる。なるほど、玄関から奥のほうは本当に綺麗で塵一つ落ちていない。柱木自体は変わっていないようだが新しい材木たちとよろしくやっているようだ。

「特別にあたしの部屋に案内してあげます」

「いや、別にそこまでしなくても……」

「いいじゃないですか、あたしと先輩の仲なんですから」

 あれ?そんなに仲良かったかなぁ……まぁ、いいだろう。確かに知り合いじゃないというには知りすぎた気がするし。

 案内された部屋は綺麗に整頓されており二つ置かれている棚にはフィギュアがこれまた綺麗に並べられている。

「どうです?すごいでしょ?」

「う〜ん、よくわからないんだけどコレクターの名古ちゃんがそういうのならすごいんだろうね?」

「ええ、すごいんです!あ、これはですね……」

 その後、フィギュア一つ一つに説明が入っていく。もう十体目ぐらいでおなかいっぱいなのだがこうも真剣に説明されてはもういいよとはいえないし……

 困っているとケータイが鳴り出した。僕のだったらどれだけいいだろうか……あいにくそれは僕のではなく名古ちゃんのであった。

「あ、もしもし?え!?BOXで入荷した!?今から行きます!はい!ありがとうございます!!」

 どうやら何処かのお店のようだ……嬉々とした表情で電話を切るとこちらに顔を動かす。

「すみません、ちょっと用事が入ってしまいました」

 僕としてはほっとして頷く。

「いいよいいよ、僕も今日はもう帰るから」

「そうですね、続きはまた今度にしましょう」

「……」

 え?続くの?

「先輩、ケータイを貸してくれませんか?」

「いいけど……はい」

「あたしの番号とアドレス入れておきますから……暇なときに電話してください」

「……アリガトウ」

 素直に喜べないのは何でだろうか?気持ち的にトラブル女神の電話番号をゲットしてしまった気がするのだ……

 名古ちゃんの家の前で別れてから僕のケータイが鳴り出した。相手は由美子。

『お兄ちゃん、おなかすいた』

「あ〜ごめんごめん!今すぐ帰ってくるから!」

 季節が冬だったならばとっくの昔に陽は沈んでいただろうがあいにく六月ごろにそんなに早く沈みはしない。


名古時羽、誰か固定で応援してくれる人いませんかねぇ、いませんねぇ、残念です。あまりにも濃いキャラがたくさん出ていたような気がして何処にでもいそうな人として登場させてみるも見事に濃いキャラとなり、作者の期待を裏切ってしまうキャラに!いや、それはそれでいいんですけどね。今日は何があった〜とかだけじゃ面白くないですし、現実は小説より奇といいますから。そんなこんなで百二十一話。ああ、いつの間にこんなに進んだのだろうかと思い、今日は朝から読み返してみましたとも。第一話から読んでみたという人もいたのですから作者が負けていてはいられません!しかし、あっさり四十四話で撃沈。後書きが長すぎる……。たまには思わせぶりに終わらせてみましょう。霧之助、これから先どうなってしまうのか!?この先、東結ヒロインフラグが!?ってな思わせぶりで……感想評価、ありましたら是非、お願いします。もちろん、ここはこうしたほうがいいというのもお待ちしております。

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