◇第百二十話◇◆
一月十一日月曜、十九時十二分変更、雨月。
第百二十話
霧之助「信じられない高級商品を超低価格でお届けする……」
百合「キリネットジャパン!いや~……遂に私もこの番組に登場する機会がやってきたかぁ………」
霧之助「うん、そうだね」
百合「落ちぶれたヒロインが行き着く終着駅って肩書きあるからな~」
霧之助「いや、ないからね?」
百合「んじゃまぁ、早速一つ目から行ってみようか?」
竹刀:剣道や道場、果ては小説などで見かけたりする竹の刀。見た目はシンプルな造詣をしていますが実は秘密があり、鍔のすぐ下にあるスイッチを押すだけであなたと相手に真の姿をさらけ出します。この竹刀を使えばあなたも今日から百戦錬磨の剣豪に!※注意:この商品は非常に危険なため、十八歳以上、前科のない方にのみ販売いたしております。ご了承ください。
霧之助「……なんだか……とってもデンジャラスな臭いのする一品だね?」
百合「鍔の下ぁ?って、これか?」
ぽちっ♪
―――――――――
霧之助「……ふぅ、さっきは酷い目にあった……」
百合「あ~確かに、あの竹刀があそこまですごいとはな……」
霧之助「次は安全な商品がまわってくることを祈るよ……」
百合「そうだな~、痛い目見るのは霧之助だもんな~」
霧之助「……」
百合「じゃ、次の商品ご登場~」
薔薇の花束(深紅の薔薇):プレゼントに定番の薔薇の花束。男性から女性へ、女性から男性へとしても使える一品で、タキシードやドレスを着て渡されるのが一番かと思われるすばらしいものです。劇の小道具などにも優れており、ばらばらにして、去り際に相手に投げるというきざな男も演出できます。
百合「……一度でいいからあんなの渡されてみたいな……」
霧之助「へ、へぇ……意外と百合さんってそういうのに憧れているんだ?」
百合「む?私がそんなの夢見ちゃいけないって?」
霧之助「そういうわけじゃ……」
百合「霧之助……ばらばらにしてやろうか?」
霧之助「……うん、滑ったと思う」
―――――――――
霧之助「や~やっぱり、最後がまわってくるの早いな~」
百合「そうだな?まぁ、最後まで全力でやらせてもらうけど」
霧之助「じゃあ、最後の商品お願いしますっ!!」
百合「最後ぐらいまともな奴よこせよ~?」
謎の御札:好きな男の子の写真に貼るだけで貼った人以外の女子と係わり合いがなくなる一品!藁人形に思いを託すよりも、だまされたと思ってこの御札を使ってみたらどうでしょうか?今なら、御札が二枚ついてくる超お得キャンペーン中!
百合「よし、早速買ってみるか……」
霧之助「ええっ?百合さんこれ買うの?めちゃくちゃ胡散臭いよ?」
百合「使ってみないとわからないだろ?よし、えっと……霧之助の写真に貼ってみるか……完了」
霧之助「別にどうってことないけど?」
百合「そんなすぐに効力は……」
PLLLLLL
霧之助「あ、電話だ」
雪『あ、もしもし間山さん?今度また一緒に図書館行きましょう?じゃ、失礼します』
霧之助「……」
百合「……ほぉ、やっぱり……効力なんて魚の糞以下みたいだな?」
霧之助「あの、百合さん?すっごく……その、すっごく、おそろしい顔をしておりますよ?」
百合「くくく……今日から向こう一ヶ月はずっと私が夢の中に登場するぐらいうれしいことをしてやろうかっ!!」
その後、MC二人は何処かへ消えてしまった。
一月十一日月曜、十九時十二分変更、雨月。