◆第百十八話◆◆
第百十八話
はげることのない緑の山々、空がいつもよりも近く感じる場所、清流はとどまることを知らず悠久の時を刻んできたのだろう。
荷物を置いて二年全員が駐車場に再び集まったのを点呼によって確認し終える。そして、東先生が拡声器をつかって生徒たちへと指示を出し始めた。
「熊はいないそうだから気兼ねなくゴミを拾うように!ああ、サボった奴はもちろんただで済むと思うなよ?」
やたら殺気を押し殺したような声で生徒たちに脅しをかけてくる。まぁ、普通にやっていれば文句はないだろう。大体、ここには……
「あまりゴミがあるようには見えないよな〜……霧之助、そう思わないか?」
「そうだよね、確かにあまりないような……」
そんな私語をしているとそれから自由行動。夕方までずっと、四時間ばっかり。余談だが四時間の長時間ゴミ拾いは人生初である。
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「金目のものとか落ちてないかな?」
「そりゃありえないよ」
「徳川の埋蔵金とか出ないかな?」
基本的にクラス単位で割り振られた場所を散策することになる。順路どおりにたどっていれば一周してきて三時間三十分程度で戻ってこれるらしい。まぁ、ハイキングみたいなものだそうだ。
「あ、タイヤが落ちてる」
「これは袋に入らないし……」
「これに乗っけろ」
ついてきていた先生が押していたリヤカーをクラスメートに渡す。
「え?こんなものまで?」
「ああ、道に落ちてる空き缶とかそんなレベルで考えてると今日と明日は地獄を見るぞ?」
そういえば……去年はエコで高校の清潔感を出したってうわさを聞いたような……。
誰もがげんなりとしていたが嫌だとはいえないためにタイヤをリヤカーに乗せる。
「これにのせれないものはどうするんですか?」
「後でもう一回このクラスの美化委員を連れて戻ってくる」
「……」
美化委員って誰だったかな?……って、僕だ!仕事なんて全然ないから忘れてた。
その後、謎のオイルの入ったドラム缶、緑色で全身塗られているペ○ちゃん人形などが発見されて一周して戻ってきたころには駐車場に結構な量のゴミがおかれていた。
疲労困憊といった調子で地べたにお尻を置いて生徒たちは口々に言うのだった。
「あ〜……なんで俺たちこんなことしてるんだろ?」
「あれだろ?ほら、ポイ捨てする連中がいるからこんな目にあうんだよ……」
「……確かにそりゃそうだよな……このイライラ、ポイ捨てした奴にぶつけよう」
一理あるかもしれない。百合ちゃんにいたっては目つきがやばかった。
「何で車が捨ててあるんだ!?ポイ捨てなんて気軽にできねぇだろっ!!ポイ捨て禁止!ゴミは自分で持ち帰れ!」
元気である。僕は疲れてもう駄目だ。
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空腹は最高のスパイスだと誰かが言った。そしてそれは間違ってはいないはずだ。言っては何だが見た目は非常にあれできっと平常時だったらしょんぼりとなっていたはずだろう……しかし、今日は疲れていて料理がものすごく、おいしく感じられたのだ!
そして、疲労というものと一番相性がいいのは風呂……そう僕は思う。疲労時に湯船につかるのと平常時に湯船につかるのではそのすばらしさがぜんぜん違うのである。
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「今日は疲れたな〜」
「そ〜だね〜」
部屋に戻った僕たち……さて、ここでどんな想像をしたのだろうか?七人、または八人程度が入れる場所だと想像したかもしれないがここでは違う。一クラスの男子すべてが一室に収まっている。もちろん広さは大広間を二つに分けた程度のものだが……。
時間的にはまだ結構早い……しかし、他にやることがなかった。
ケータイをいじろうにもアンテナが立っていない。トランプをこの人数でやるのには多すぎる。
それ以前に、疲れておりふかふかの布団と友達になったものの寝息が聞こえ始めてくる。
「こういうのって最初に寝た人絶対何かされるのに……」
「そんなもんだが……今日はさすがに俺も疲れた」
猛が布団にダイブ。真似て僕もダイブする。
あぁ、ふかふか……ふかふかだよぉ………ぐがぁ……
乙女心があるんならきっと男心もあるのでしょう。聞いた事のない言葉ですけどね。いきなり何をいいだすんだ?と首をかしげる人もいるかもしれません。特に他意はありませんのであしからず。先日、買ってきた小説を全て読み終え(五巻と九巻持ってるの忘れて二冊目かってもうた…)一言。ああ、こんな小説書いてみたい!モチベーションの向上につながってみたものの結局三十分程度で挫折。自分にはむりだぁ……そんな結末に。自分が熱血性格はしていないことが判明いたしました。さて、こんなゴミ拾いの旅行とは別にきちんと修学旅行が霧之助の通っている高校にはあったりします。いずれその話も書くときがやってくるでしょうがそれまで読んでくれる人、何人いるんでしょう……ま、まぁ、雨月が変な方向につっぱしらなければ大丈夫でしょうから…では、感想評価、その他ありましたらよろしくお願いします。九月二十八日月、八時二十五分雨月。