◆第百十三話◆◆
第百十三話
夕飯の準備をしていると……いや、正確に言うならもう終わってるんだけどね。夕飯をテーブルに並べていると由美子が帰ってきた。
「お帰り」
「ただいま……あのさ、聞きたいことがあるんだけど?」
「何?」
忙しいので箸を並べながら聞くことにする。いや、こういうのはちゃんと聞いておかないと後々ぐれてしまうと何かの本で見た気がする。
「どうしたの?」
「あのさ、率直に聞くけど悠子と私、どっちのほうがいい?」
「………」
そんな質問をされた。
「着替えてくるから、その間に結論出して」
それだけ言い残して由美子は自室へと消えていった。さて、どちらのほうがいいだろうか?というより、何の“いい”?頭が“いい”ほうならば言わずとしてこの場にはいない裕子のほうだがスタイルが“いい”ほうは間違いなくモデルをやっている由美子のほうだ。
「で、答えはどっち?」
部屋から出てきた由美子に僕は首をかしげるしかなかった。
「何が“いい”のか基準がわからないよ」
「え?」
「つまり、もうちょっと具体的に決めてもらわないとわからないって」
「お兄ちゃんにとってどっちがいいか」
「……?」
「後は独断で決めてね♪」
まったく、調子のいい妹である。独断って……僕が勝手に決めていいのだろうか?
「保留」
「はぁ?」
「由美子のことよくわからないから」
「ちゃん付けじゃない!」
「ちゃんつける要素なんて何もないよ。そういうわけで今日の夕飯はもう準備してあるから」
「そういうわけって文法間違ってる!」
「嫌なら食べなくたっていいけど?おっかしいなぁ……由美子の好物は春巻きだって聞いたんだけど……違う?」
「あ〜はいはい、わかりましたよ」
ぶつくさ文句を言って自分の席へと座る。やれやれ、ちょっと前までは悠子と違って扱いやすいと思ったけど下手したらそれ以上だ。
料理をぱくつく妹の妹を見ながらそう思ったのだった。
――――――――
「ああ、由美子……さっきの答えはちゃんといつか出すから」
「え?ああ、うん」
風呂上りの由美子にそういうと何を思ったのかテレビと僕の間に陣取った。
「何?」
「どう?」
ポーズを決めて僕に見せる。
「どうって何が?」
「何とも思わないの?」
「別に……」
由美子が立っている所為で残念ながら先ほどの映像クイズの答えがわからずじまいだった。
「もう!有名モデル間山由美子ってお兄ちゃんも知ってるでしょ?」
「知ってるよ」
「じゃあ何か言う言葉はないの?」
「裏じゃ何を考えてるかわからない子」
「うぐぐ……お兄ちゃんって悠子に対して優しくない?」
「んにゃ、そういうわけでもないよ?今度悠子に会って聞いてみたら?」
自室へとしぶしぶ引き上げていく由美子に背中に一言。
「まぁ、かっこよかったとは思うよ」
「……」
パタン、と扉は閉まり僕だけ残されたのだった。
ストック分を全て投稿し終えてひやひやしている作者、雨月です。あ〜……宮川エンドを書くべきかなぁ〜なんて思いながらぼさっとしていたら……見事にやってしまいました。小心者のため、常に余裕を持っていないと心臓に負担が……。いや、宮川エンドの前に悠子エンドを……うんぬん。百話ごとにエンドを書いていたら全員の文書き終えたら千話超えてしまうのですよ……そんなことさすがにできません。エンドはやるべきかやらざるべきか……悩むところです。エンドやる前にこの小説自体が皆様のお暇つぶしに一役買っているのか少々疑問ではありますけどね。残念ながらやくたってないよといわれないよう努力はしたほうが、いや、するべきなんでしょうけどね。次回は雪の友人が現れます。もちろん、一筋縄でいくようなお友達ではありません。