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◆第百十二話◆◆

第百十二話

 遅刻した放課後はつらいのである。教室の窓掃除をしなければいけない……。

「間山さん、何してるんですか?」

「窓拭き、何に見えたの?」

「窓をはずして二階から飛び降りようと考えていると思いました」

 そりゃまたデンジャラスプレイを考えるね、雪ちゃんも……いや、この子はそういえばあったころはさらに過激な自作自演っ娘だったっけ?いまや懐かしい記憶の一片だ。

「で、何か僕に用?」

「ええ、ついにこの券を使うときがやってきたようです」

 そういって差し出されたのはいつぞや渡したあの券だった。覚えている人などいるだろうか?僕だってもはや忘れていた代物である。下手したら洗脳マシーンよりも性質の悪い第一級危険物。テストで負けて相手の言うこと絶対服従……そんなものだったかな?

 提示された券をみて僕は首をかしげた。

「って、なんだかランクアップしてない?」

 券にかかれている文字は『間山霧之助パシリ券 〜高校生だったらいつでも使用可能〜』というものである。これ、完璧に作ったやつだよねぇ?公文書偽造の可能性大だ。

「してません、どうぞ間山さんの記憶を詳しく思い出してください」

 ぐぐぐと肩をつかまれる。ものすんごく、痛い。はっきり言うが単純な力比べでは負ける。情けないような気がしないでもない……だって、見事に負けているんだから。大体、腕力にものをいわせるというのならこの券、いらないんじゃないかな?

「……それでどうしたの?」

「じ、実は……」

 少しの間黙りこくったのだが、なにやらケータイを操作して僕に手渡した。

「?………『じゃあ、今度彼氏連れてきてよ!』……」

 察しがついた。目で合図するとこっくりと頷かれる。



「……友達が来るその日だけでいいから、お願いです!彼氏のふりをして下さい」



「別れたっていう言い訳は通用しないの?」

 一縷の希望はあの夕焼けに染まる茜色に羽ばたき、この願いを天空へ……

「残念ながらしません」

 見事に天空は門前払い。

 それは残念だ、本当に……。

「今度の日曜日です!」

「わ、わかったよ……ちゃんと頭に入れておくね」

「ありがとうございます!」

 そういうと僕の隣に立って窓を拭き始めた。

「あれ?手伝ってくれるの?」

 訊ねてみると雪ちゃんは窓の外を向いたまま顔を赤くしていったのだった。



「……彼氏が窓拭きをしているのに一緒に窓を拭かないのは彼女として名が折れます」



 いや、折れないと思う……よ?



――――――――



 週末の予定も決まり、今晩のおかずの予定も決まった。スーパーで買い物をしているとお菓子売り場で食玩の箱を二つ持っている知り合いを発見した。

「……こちらのほうが重いと言う事はやはり、これが当たり目……ですかねぇ?」

 なにやらぶつぶつと独り言を言っている。周りには小学生たちが同じように食玩の箱を持って親の元へと向かい交渉を始めていた。ネゴシエーターがたくさんいる場所、それがスーパーだ。

 さて、この知り合いに話しかけるべきだろうか?少しの間だけ迷ったが近づいて話しかけることにする。

「おーい、名古ちゃん?」

「ひゃい!?」

 びくりと肩を震わせて食玩の箱を慌ててもとの場所に戻す。そして、こっちを見た。

「せせせせせせ先輩っ!?何してるんですか、こんなところでっ!!」

「何って……夕飯の買い物だよ。名古ちゃんこそ何してるの?」

「下の名前で呼んでくれて結構ですよ。先輩後輩の中じゃないですか」

「じゃあ、後輩、何してたの?」

「あ〜、う〜、その、誰にも言いません?」

「言いません」

 眼鏡の上目遣いって結構どきっとするポイントが高いと思う。バカなことを考えながら頷いた。どうせ人に言うほどの秘密でもないだろう。



「実は食玩の箱の中に爆弾があるんです」



 そんな言葉をもしも彼女が言ったのなら警察には連絡するけどね。

「実はあたし、コレクターなんですよ……この食玩の」

 ほらね、所詮はこの程度。日常のいっぺんに違いない平和な回答である。

「ああ、そうなんだ……じゃ、僕帰るから」

「絶対に!絶対に言わないでくださいよ?」

「うんうん、約束するよ」

 絶対ですよ!と人目をはばからずに騒ぎ立てる後輩を尻目に僕はさっさとレジへと避難したのだった。


見事にミスって後書き、これで二回目となっております。ああ、よく注意して投稿するべきだったぁ……そして、自爆剤と起爆剤の話をしようとがんばっていたのですが消えちゃいました。自爆剤って多分自分で埋めた地雷を自分で踏むような感じです。この小説にも今現在、つつかれると痛い自爆剤が最低一箇所あったりします。しかしまぁ、さっさと言い訳を考えねばなりません。言い訳はこのぐらいにして本編に触れましょう。今回、霧之助になにやら面白い依頼がやってきました。この依頼、当然受けることになるのですが…はてはどうなることやら。では、次回もお暇なときにご一読いただくとうれしいと思っております。感想、評価その他ありましたらよろしくお願いしますね。九月二十五日金、八時三十四分雨月。

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