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◆第百十一話◆◆

第百十一話

 人生うまくいかないことなんて多々ある。そりゃまぁ、たまにはよくいくこともあるけど絶対に気をつけておかないといけないのだ。気を緩めたとき、人は有頂天になって自ら破滅の道を爆走しかねない。手のひらでお猿さんのように遊ぶ可能性が高いのである。

「……あのさ、モデル目指すのか役者目指すのかどっちかにしたら?」

「ちぇ、人よさそうって思ったけど案外うまくいかないねぇ〜」

 そんな落胆ぶりが伺えるコメントをしてきた。結さんはきっととっくの昔に気がついていただろう。

「じゃ、その素直な気持ちのままでさっきの話の続きをしてよ」

「同情、しないんじゃなかったの?」

「誰もするとは言ってないから」

「わかった、仕事で疲れてたときにあいつに会った。絞るだけ絞ってやろうって思ってたんだけどね…………でも、あいつがあんなやつだって本当に知らなかった……だからあなたに感謝しているってのは本当よ、信じて」

「信じてもらってどうするの?」

「それは……」

 口ごもる彼女に僕は続けることにする。綺麗にまとめることができるなんてさらっさら思ってもいないし、それが元で人間関係にひびが入ってしまっても僕は一向に構わない。そんなのもう慣れっこだから。

「モデルの仕事をやめた理由はどうしてかな?差支えがなければ教えて欲しいんだけど?」

「……もう私の時代じゃないって思ったからかな?」

 そういった答えが返ってきた。よく意味がわからない、そういうわけで質問する。

「何でそう思うの?」

「私とキャラがかぶっててもっと可愛い子が入ってきてるから。それに、もうモデルの間山由美子は卒業して普通の間山由美子になりたいから」

「ああ、そう」

「何?自分で聞いておきながら……」

「じゃあ、一年、いや、半年ぐらい前にあったときのあれも演技だったんだ?」

「……初対面じゃいい印象を与えないと、ね……」

 聞いていてバカらしくなってきた。

「そこ、どいて。もう上がるから」

「あのさ、そんな私に……どんな印象受けてる?」

 消え入りそうな声が聞こえてくるも僕が応えてあげる言葉はこれだけだった。

「どうもこうも、僕の妹、という印象しか受けてないよ」

「え……?」

 よく意味がわかりません。そんな感じの空気があちらのほうで漂っていた。熱気のこもった浴室とはきっと違うだろう。なにせこちらには言葉を言った本人がいるのだから。

「それってどういうこと?」

「いつか教えてあげる」

 脱衣所にいる由美子ちゃんに僕はもう一度そこからどくようにと指示を出したのだった。



――――――――



「おはよう」

「お早う」

 悠子と違って由美子ちゃんは朝に強いらしく普通におきてくる。その目もしっかりと開け放たれており強い光は僕に向けられている。

「どうかした?」

「……昨日のあれ、答えは何?」

「言葉通りでとってもらえれば結構だよ……さ、朝食はできてるから」

 さっさとテーブルについて一人だけいただきます。遅れて座った由美子ちゃんも両手を合わせていただきますをしたのだった。

「だから、昨日のあれの答えって何?言葉通りじゃわかんない!」

「僕の妹ってこと。妹って言うのはね?戸籍上兄、もしくは姉の下にいる性別女性の……」

「そんなのわかってる!!」

 テーブルをガチャンと言わせてこっちを見ている。やれやれ、困った妹だ。姉のほうもある意味困ったちゃんだったが……

「私は、私のことが大切か大切じゃないかって聞いてるの!!」

「おかしなことを言うねぇ……」

 味噌汁をすすりながらご飯をいただく。この組み合わせはまぁまぁ好きだ。

「おかしなことって……」

 若干落胆したような表情をする。どうやら勘違いをしているようだ。手間のかかる子の方が可愛いと誰かはいったが、まぁ、やはり手間のかかる人は説明に文字数ばかり増えて困る。

「……あのね、君の事をどうでもいいって思うってのならこうやって料理は作らない、あの事だって無視してる。君がどうなろうと関係ないってね………」

 黙りこんだ由美子ちゃんに……いや、もう由美子でいいや。自分の妹にちゃんづけすることがどれだけ間違っていることか悠子と一緒に生活していてわかったような気がしたから。

 さっさと食事をして僕は先に学校に行くことにする。しかし、由美子の食事はまだ終わっていない。食器は家に帰ってきてから洗おうかとも思ったのだがそれではなんだか不潔すぎる気がしたからだ。

「何?」

「食器をまとめて洗おうと思ってるから待ってるだけだよ」

 そういうとどう思ったのか彼女の動きがとろくなる。

 その日、僕は遅刻したのだった。


今回、ぞろ目ですねぇ111ってな具合に。いろいろな意味でぞろ目はすばらしいものです。本日雨月は初めてハイブリッド車(詳しくないので違うかもしれません)を見ました。静かですねぇ、あれ。音なんて殆どしませんし音楽聴いてるかケータイいじってたら後ろからつけられて誘拐されてもおかしくないんじゃないかと……うんぬん。ともかく、音が出ないのはいいことですが(一時期騒音おばさんなんていたような…)危険です。皆さんも気をつけて道は渡りましょう。さて、由美子の話をちゃんとかけてよかったかなぁと思ってはいます。これから先の予定としては宮川の話を再び書くつもりです。では次回もお暇なときによろしくどうぞー。

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