◆第百九話◆◆
第百九話
「先輩、あたしの名前は名古時羽っていいます!」
「あ〜うん、わかった」
「……あれ?あたしのことなんだか避けてません?」
「いや、避けてないよ?喫茶店につれてきてくれたことは素直にうれしいけどさ……ちょっと居づらい」
周りには今時の女の子がこれでもかというほど座っており、男子は僕一人だ。店員さんも女性のみのために男子禁制といっても間違いじゃないはずである。ちょっと居づらいどころか今すぐ奇声を上げて逃げ出したいぐらいあるし。
「甘いもの嫌いですか?」
「いや、好きだけどさ……」
「じゃあいいじゃないですか」
甘いものをおごってやるのだから目を瞑れといっているのだろうか?ううむ、下級生は扱いづらいぞ……
「先輩の話、一時間程度聞かせてください」
「……一時間も話すなんて全然できないよ」
「ええっ!うっそだぁ!」
こりゃまたオーバーリアクションである。というより、一時間もこんなところいたら今晩のおかずを買いに行く時間がなくなってしまう。早々に切り上げなくては。
どうしたもんだろうかと悩んでみるもため息一つぐらいしか出てこない。頼んだパフェが来たって思い浮かばない。
「先輩の名前って間山霧之助っていうんですよね?」
「そ〜ですよ?それが何か?」
もはやここまでくれば自暴自棄もいいところである。がつがつパフェを食べている僕を誰も注目していたりはしないのだが。
「あのモデルの間山由美子さんのお兄さんですよねぇ?」
「うん、そうだよ」
その割には似てないですねといわれた気がしたがそりゃそうだ。血がつながっていないのだから仕方がない。
「それがどうかしたの?」
「いえ、こういうのをお兄さんに言うの失礼かもしれませんけどあの人の笑顔って嘘っぽいんですよ」
「………」
それを言われていつだったか似た様なことをまったく別の人から聞いた気がした。はて、あれは誰だったのかな?……ああ、思い出した、結さんだ。結さんは以前由美子ちゃんの笑顔を『余所行きの笑顔』といったのだ。
そういえば結さんが謝りに来て出ていったときにもなんだか違和感を覚えた……それに、一年前由美子ちゃんにあったときと今とでもぜんぜん違う気がしてならない。
「ああ、なるほどぉ」
「どうかしたんですか?」
「いや、君のおかげで心につっかえていた違和感が消えたよ」
「?」
「今日は話せてよかったよ」
「あ、そうですかぁ……それはよかったです」
にこっと笑ったその顔は……まぁ、可愛いと思わなかったこともなかったような……と、ともかく、一瞬だけでも可愛いなと思ってしまった自分を反省!
今回で109ですね……別に他意はありませんよ。次回で記念すべき百十話。そろそろ、というより現段階でストック分がなくなっておりこれは緊急にがんばらねばと思っているところなのです。さて、いきなりですが小説書くのに一番何が必要なんでしょうか?首をついついしかめてしまいます。結局自己満足で書くしかありません……そんな結論に至ってしまいます。けど、誰かをちょっとでも笑わせればそれでもいいかな?なぁんて思うときもありますよ。人生山あり谷ありだと誰かはいいましたがどうも最近下ってばっかりのような気がしてなりません。ん?下ってばっかりって楽なほう……ですよね?上るよりも下るほうが楽なんですが……山って当たり目のことなんでしょうかねぇ?まじめに考えていると混乱してきそうです。どうも、ことわざでさえ人それぞれのようですね。十人十色というやつでしょう。適当にお茶を濁しつつ、今回はこれで切り上げましょう。では、また次回!




