◆第百八話◆◆
第百八話
「いやぁ、財布を拾っていただきありがとうございます」
「……いやいや、人として当然のことをしたまでだよ……」
「お礼といっては何ですが、今日の放課後何かおごって差し上げます」
「……丁寧に遠慮しておきたいと思う所存でございます……」
「まぁ、お礼は人として受けておくのが礼儀だぞ」
熱血スポーツ教師のクラスでそんなさらし者みたいなことがあった。ああ、素直に着服しておけばよかった……今となっては後の祭りである。
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人は時として約束を破りたい、八つ裂きにしたいと思うときがある。五時間目と六時間目の間の休み時間、そこであの子がやってきたのである。教室に入ってこられる前に急いで廊下に出る。申し訳なさそうな顔をしているのだった。どうかしたのだろうか?
「あの、実は今日一年生が五時間目で終わってしまいました」
「あ、ああ……そうなんだ」
「けど、図書館で待ってますから!」
「う、うん……」
両手をぶんぶん振って図書館へと向かっていくのを見送り、教室へ戻る。そこにはうらみのこもった視線がたくさんあった。
「よろしくやってるようじゃねぇか?」
「いい気なもんだな、彼女がいねぇやつはよ〜」
つばは飛んでこなかったが殺気が怖かった。なんとなくだが、今ここに百合ちゃんがいたらいろいろと問題が起こっていたかもしれない。いなくてよかった、本当に。
「あ、百合さん!聞いてください!間山のやろうが!」
「ん?何だ?」
「チェストォぉぉぉ!!!」
「ぐっはぁ!!」
危ない危ない、お口の軽い人は気をつけようね?チクリは友好関係に傷をつけちゃうもとになっちゃうから。
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約束は約束である。くくってたばねることこそ約束である。行くの行かないの悶々していたが結局図書館にやってきた僕はさっさと用事を済ませるために約束人を探す。
「ああ、いたいた……?」
「……」
ライトノベルのところにいたのだがなにやら一生懸命読んでいて気がついていないようだった。帰っちゃおうか?とも思ったのだがここまで来たのにそれは駄目だろう。自分が悔やむことをやると後に後悔するのである。後から悔やむから後悔、先人はいい言葉を見つけたなぁと感心する振りをしてみる。
「もしもし?」
「ひゃい?」
そんな声が返ってきた。そして慌ててそれまで読んでいたライトノベルを元の場所へと返した。
「読んでませんよ?」
「いや、普通に読んでたじゃん?」
「気のせいですよ」
「?」
よくはわからなかったのだがそのことに関してはおいておくとしよう。
「学校、終わったから」
「そうですか、それなら行きましょう!いい店知ってますから!」
さぁ!早く!と引っ張られる。うーん、そんなにさっきのライトノベル問題でもあったのだろうか?
よし、次からは由美子の話でいこう!といったのは前回の後書きで……はい、どうやら言ってないようですねぇ。残念です。しかし、一応今回のメインヒロインである由美子を軸に話を進めていきたいと思っています!そうですね、大体中間試験ぐらいまで。では、次もお暇なときにご一読ください。