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第一話◆

不定期連載です。毎週月曜日に更新とかそんな高等テクニック持ち合わせていません。面白かったら幸いなんですけど……そこのところどうなんでしょうね?首を傾げてちゃ何も始まりませんから気合を入れてがんばらせてもらいます。たまには意趣がえってのもいいかもしれないですし、別にハッピーエンドにならなくたって……こ、こほん。できましたら続けて読んで頂けるとありがたいです。

第一話

 母が父と別れて一ヵ月後、そのときまだ僕は中学三年生で少しだけ両親の離婚に対して疑問を抱いていたのだがすぐに新しいお父さんができるといわれて正直辟易した。

 考えても見てほしいが、母にとっては運命の人(PART2)であるのだがその子供である僕にとっては見知らぬおじさんに違いない。

 だから僕は母が新しく父となる人とあわせる機会をことごとく拒んだ。あちらにも連れ子がいるといってきたのだがそんなことを言われてもしょうがない。今更そいつらと兄妹となったところでいびられるだけだ。あちらには二人の連れ子がいてこっちは一人。

 遊園地、レストラン、健康ランド……ほかにもさまざまなところに僕を連れて行こうとしたのだがそのたびに僕は本屋や友人の家、はたまた登山などをしてキャンセルしまくった。ドタキャンをしたことがないことだけはほめて欲しい。

 高校受験を控えていて明日がいざ本番という日になって僕は母親に呼び出された。

「霧之助、実は今度の四月からみんなでダーリンの家に住むってことになったのよ」

 ダーリンなどといつから呼ぶようになったのだと突っ込みたかったがそれより気になる言葉が出ていることに気づく。

「はぁ!?そんなの聞いてないよ!」

「だから今こうして言っているのよ」

「ああ、納得……」

 してるばあいじゃないぞ、僕!しっかりするんだ!このままではこれまでやってきたことが水の泡に代わってしまい、なんとな〜く、ぬるい家族の一員として生活をせねばならんのだ!いずれはじき出される運命ならばいっそのことこっちから出て行ってやる!……なんていえたらかっこいいものだが無謀なことをするほど僕も子どもではない。

「あのさ、前々から言おうと思ってたんだけど……僕は高校受験するんだから、いつまでも両親と一緒にすむわけにはいかないよ!甘えたくないんだ!しっかりしたいんだ!この際一人暮らしをやってみたいんだ!」

 そんな高い志を持っているわけじゃなくてあちらの家族が住んでいる家に住みたくないのといびられるに違いないからぜってぇ、行きたくねぇというめちゃくちゃ子供みたいな志だ。

 だが、母は僕の言葉を信用し、涙まで流し始めた。罪悪感が心を支配していく。

「霧之助……成長したのね、そうね、高校生になったら新しく部屋を借りてそこで生活するといいわ」

「うん、ありがとう」

 ほっと一息つく。これがばれたとき、僕は母さんに何をされるかわかったものではない。



――――――――



 そして、僕が今現在の父である人が借りたアパートの一室。一人で住むには十分な広さで僕は満足していたのだが……手荷物を持ってきてぎょっとした。

「あ、え?君なんでいるの?」

 そこには便底眼鏡をかけている一人の少女が突っ立っていたのだ。ついと眼鏡を上げてからどうでもよさそうにため息をついた。

「別に、ここは私の家でもあるから。それにお兄さんとは一緒の学校だし」

「一緒の学校って……君……」

「君じゃないわ、わたしの名前は悠子、間山悠子よお兄さん」

 眼鏡から覗く冷徹そうな瞳が僕を捉え、有無を言わさず頷かせた。

「君、僕より年下……」

「君じゃない、悠子、悠子よお兄さん」

 何べんも言わせるな愚図!という視線がものすごく痛い。この子、ナチュラルに人を寄せ付けないよう気がしてならないんだけど?

「そ、そうか、そうか悠子ちゃんなのか……けどさ、悠子ちゃんは僕より年下だよねぇ?」

 ぽりぽりと指で自分の頬を掻きながらちらりと悠子ちゃん……ええい!年下の青い娘にちゃん付けなんて馬鹿らしい!こっちじゃ悠子で十分だ!

「そうよ、けど飛び級」

「日本には飛び級なんてシステムは……」

「例外中の例外」

「そんなことありえな……」

 ため息をつき、馬鹿じゃないのかこの人は?そんな視線を投げかけてくる。うわ、ひでぇ妹だ。血はつながってねぇが一応家族だろ?……って僕が言っても説得力ないけどね。

「だから、例外中の例外。正直言って高校なんて行かなくたっていいんだけどね。どうしても父さんが行けって言うし、母さんだって行ったほうがいいって推薦してきたわ」

「……母さんね……」

 あの母さんのことを頭に思い浮かべるがさっさと取り消す。

「まぁ、いいや。今日からよろしく」

 差し出した右手をちらりとも見ずに代わりに僕に背中を見せる。ちっさな背だが知的な感じをにおわせ、さらっさらの黒髪を風に漂わせた。やたら絵になる妹である。

「勘違いしないで、あんたみたいな愚図の塊と一緒に生活させられるこっちの身にもなって欲しいわ。何が今日からよろしくよ……馬鹿じゃないの?」

「………」

 もっとなじって♪……なぁんて言うとでも思ったか!そしてこの程度では僕の心はぜぇったいに折れない!タンスの角で小指を打ってもポーカーフェイスができるぐらいだ。心の中じゃ煮えくり返っても表情には出さないのが僕のポリシー。あっちが干渉してこないというのならこちらもそれを返すだけさ♪


 こうして、僕と妹のとっても不安な生活は始まったのだった。


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