表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夜迷言

物語

作者: Qoo

物語は言わば、異世界である。


どこかに存在する異世界の出来事の一部を切り取ったもの、それが物語という形を成している。


我々は本を読む、映画を見る、声を聞くといった様々な方法を用いて異世界に入り込み、その一部を覗き見ることができる。


覗き見ることができるだけなのである。


我々はその世界の展開に手出し口出しは一切出来ない。白雪姫からリンゴを取り上げることも、赤ずきんに狼の存在を知らせることも叶わない。


望む展開にしたいのなら方法はひとつ。


覗き見を止めることのみ。

すなわち物語を途中で終わらせることのみである。


物語は観測者を得て初めてその世界を現す。

つまりは読者ないし視聴者が観測を止めてしまえば、その世界はそこで終わる。


本を閉じる。テレビを消す。目を閉じる。耳を塞ぐ。たったそれだけでいい。


それだけで白雪姫は毒リンゴを受け取らずに済む。赤ずきんだって狼に食べられることはない。

結末を知っていないと出来ないが、物語を無理矢理ハッピーエンドに持っていける。


では、物語を終わらせたくない場合はどうするか。


物語には終着点がある。

「ここまでで終わり」というポイントが明確に定められている。


それでもまだ異世界にしがみついていたい。そう思うこともあるだろう。

しかし、残念ながらそれは出来ないのだ。


納得のいく結末じゃなくても、ハッピーエンドじゃなくても、めでたしめでたしの言葉とエンドロールを合図にその世界から吐き出されてしまう。覗き窓は決してその続きを映すことは無い。


なんとも残酷なシステムである。


──私が今これを書いているこの世界もそうなのだろうか。一体どこの誰に覗き見られているのというのか。私は登場人物として立派な振る舞いが出来ているだろうか。


...ひょっとしたら物語のキャラクター達も、観測者に気づいているのかもしれない。




〈出演〉

Qoo


〈スタッフ〉

Qoo


〈制作〉

自宅


〈監督〉

Qoo

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ