子犬
子犬ちゃんと仲良くなりもう1年が過ぎた。
本人には言っていないけど、
私は佐藤くんは子犬のようなので、
子犬ちゃんと心の中で呼んでいた。
仕事だけの関係で、
プライベートで会ったことは1度も無かった。
そんなある日。
上司がなかなか予約の取れない、
人気レストランを予約したのに、
急用で行けないので、
2人で行って来て感想を教えて欲しいと言われた。
「えっ!今日?それも2人で行くんですか?」
「いいだろ!お前たち仲がいいから2人でデートでもしてこい!
きちんと感想は聞かせろよ!」
子犬ちゃんは「はい!わかりました」としっぽを振っていた。
私も人気のレストランに行けるのは嬉しかった。
もちろん予定も無いし・・・
私は家に帰ってシャワーを浴びて、
ビシッと決めてレストランに向かった。
子犬ちゃんもいつものデニムにTシャツではなく、
ワイシャツにネクタイでビシッと決めていた。
「持田さん、キレイです。いつもと違いますね!」
「佐藤くんも決まってるよ、七五三見たい!」
「えっ?それ悪口じゃないですか!」
「うそうそ、かっこいいよ!さっ中に入ろう!」
私たちはお店に入り、コース料理を食べた。
私達はお互い味の感想を話して、
参考になる料理は写真を撮ってメモをした。
「人気なのがわかるね!
お店の雰囲気もいいし、料理もおいしい。
佐藤くん今度は彼女の来たら?」
「彼女なんていませんよ!」
「そうなの?」
本当か嘘かはわからないけど、
こんなかわいい子犬ちゃん、
あっちの女にしっぽふりふり、
こっちの女にしっぽふりふりしていそうで、
私の苦手なタイプ。
でも目の前でおいしそうにご飯を食べる子犬ちゃんをみていると、
母性本能をくすぐられない女はいないだろう!
まったく罪な子犬ちゃんだ!
つづく