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普通の女子

作者: 京本葉一

 七月三日。

 天の川のほとりでは、織姫さまがアップを始めているころでしょう。


 たとえ夜空が熱く物語ろうとも、私の心は冷えています。今年も半分が過ぎたのに彼氏がいないのです。異性と高めあう恋の熱も、愛のぬくもりも知らぬままに、青春を浪費しているのです。


 異性を意識しはじめたころから努力を積み重ねてきたのに、クールビューティーな女になれば将来性のあるイケメン男子の1ダースや2ダースは余裕とおもったのに、ぜんぜんモテません。かっこいいとか人形のようだとか冷血そうだとか斬られそうだとか、それなりの関心をもたれるものの、それだけで終わってしまいます。


 私がモテないのは論理的にありえないと信じてきましたが、事実は残酷です。異性は隙だらけの女に近づき、私には同性しか寄ってきません。


 六月を終えて、JK生活も半分を終えて、ようやく気づきました。


 どれだけ他人を呪っても状況は変わらない。

 他人を呪うような人間が、幸せになれる道理はない。


 大事なのは自分を変えること。


 そう、これまでのキャラを変えればいいのです。クールビューティーな女をやめてしまえば、私にモテない要素など欠片も見当たりません。普通の女子に彼氏がいるのです。普通の女子になった私ならば恋人の3ダースは余裕でしょう。

 そう、私がモテないはずはないのです。

 今年も高校生活も、まだ半分も残っているではありませんか。

 焦ることはなにもないのです。


 まずは愛刀をたずさえて、学内の竹林に出向きましょう。


 うまくキャラを変えられるように、今年は、短冊に願いごとを書いてみようかとおもいます。美しく飾りつけて、一年に一夜しか肌を許しあえない、織姫さまの特別な夜を祝いたいとおもいます。

 今年は穏やかに過ごせるでしょう。

 天の川の氾濫を願っていた、かつての私とはちがうのですから。

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