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TS青年(少女)の異世界旅行  作者: ネル
第一章 出会い
2/6

爺さんだれ?

ステータスは適当だ…!文句を受け付ける気はねぇ…!インフレ…?そんなもの知らねぇなぁ…!

「のうルナよ…この子はエルフで合っているかな?」


「はいマーク様、エルフ特有の魔力の色なのでエルフで間違いはないかと…ただ…。」


「ただ…魔力量が多いだけか…?」


「はい。ここまでの魔力量を持っているのは只者では無いでしょう。それに私が言うのもなんですが、こんな所にエルフがいるのもおかしいです。」


「ふむ、確かにエルフがこんな所に、なおかつ一人でいるというのはおかしいのう。とりあえずワシの家に運び様子を見よう。置いていったらどうなってしまうか分からんからのう…。」


そんな会話を残し二人の人影は気を失っている銀髪のエルフを抱え、文字通り姿を消した。

「んん…あれ、もう朝か…。」


日の光が目に入り、自然と目が覚める。これ程気持ちのいい朝の迎え方はあるだろうか。


「いつの間に寝てたんだ…というか、いつベットに入ったんだっけ…?ん?あれ?ここ…どこだ…?」


目が覚めたばかりで軽く夢心地だった脳がすぐに活動を再開した。なぜなら室内の風景が自分の知るもの、高校生活に入り一人暮らしを始めてから長い間生活してきた空間とは全くの別物だったからである。


「いや…えっ!ここ俺の部屋じゃない!?一体何がおきてんだ…?…夢の中ってことか…?」


そう思いながら自分の中にある最後の記憶を引っ張り出そうとする。


(あ…そうか…パソコンに謎の表示がでてきて、神さまに会って、転生したんだったか…。っ!てことはもしかして今の俺って…!)


そんなことを考え自分の姿を確認しようとし周りを見渡す。するとすぐそこに全身を写せる大きな鏡があった。すぐに鏡の前に移動して自らの姿を確認する。


(うわぁ…ほんとに姿が変わってる…自分の姿なのに見惚れちまうぜこれは…。)


自分の姿に夢中になり、全身を隅なく見ようとすると


「おっ、起きていたか。お嬢さんや、どこか身体に変な所などはないかね?一応調べては見たのだか精神に起因するものは難しくてのう。完璧ではないのじゃ。」


背の高い老人が部屋に入るなりそんな質問を投げかけてきた。


「変なところ?そんなものは無いけど…。ところであんた誰だ?ここは何処なんだ?調べたって言ったがそれはどんなことをしたんだ?」


「待て待て落ち着け、一度にそんなに質問するでない。まずワシの名はマーク・ロドリゲス、人間の魔道士じゃ。そしてここはワシの屋敷。調べたのは主に体の健康状態じゃよ。…ワシからも一つ質問じゃ、お主は一体何者なのじゃ?お主の持つ魔力量は普通のエルフのものではない、何故そんなに力を持っているのか聞いてもよいかのう?」


マークは最初こそ優しい老人の様な雰囲気をして話していたが、最後の質問をした時は全くの別人の様に空気を、顔を、眼を変えた。その変貌ぶりに陣、いやイヴも緊張した空気を持たざるを得なかった。


(っ!なんだこの爺さん…本当に人間か?バケモンみたいな圧を感じる…。)


「…俺がこの力を持っているのには理由、いや原因みたいなものがある。でもそれを話すのには少しあんたへの信頼が少ない。だから今は話せない。」


「ふむ…それはお主が男のような話し方をするのも同じ原因だと考えていいかな?」


「っ!あ、ああ。」


「…男のような話し方、いや気配、人格そのものが男のモノのように感じられる。そして魔力量の大きさ…人には話せない原因…。なるほどそういう事だったのか…。お主、異世界からの転生者では無いかな?」


「なっ!どうして…!」


「答えは簡単じゃ…お主の他にも転生者がおるからのう。そういった転生者は魔力量の大きさ、姿と人格の違和感、人には話せない秘密、そういった共通点があったんじゃよ。だから分かったと言うわけじゃ。」


ふっとマークの出していた圧力が失われる。


「すまなかったのう。異常な力を持っておったからつい警戒してしまったわい。だが、転生者だというなら話は別じゃ。見たところまだ転生してきたばかりのように見えるしのう。お主、名は何というのじゃ?」


「…イヴだ。…いいのかそんな簡単に警戒を解いて。騙されているという可能性を考えないのか?」


「イヴか、良い名じゃのう。ワシのことはマークと呼ぶと良い。それと相手が嘘をついていれば分かる。その程度のこともできないようならワシは今ここにはいないだろうからのう。それに、本当に騙しているやつはそんなことは言わんしのう。」


信頼しても良いと判断されたのか、マークから好意的な空気を感じたイヴはマークのことを信頼しようと思った。


「そうか、なら話しておこうかな。俺は異世界から転生してきた元人間だ。転生するときに神さまと話してこんな姿になってるが元は男だ。能力については俺もあまり分かってない。ただ、チート級な能力だとは聞いてる。」


「そうか、ならスキル鑑定をしても良いかの?人のスキルなんかを鑑定する魔道具があるんじゃが、全てのスキルを強制的に判明させられるから同意が必要なんじゃ。どうじゃ?やってみるかの?」


そう言うとマークは手元に一枚の大きな紙を出した。


「これが鑑定書のページという魔道具じゃ。これに手を当てればレベル、ステータス、スキルなんかが分かるぞ。」


一枚の紙切れを差し出しながらそんなことをマークは補足した。その紙切れ、鑑定書のページを受け取り手を当てると、紙が薄っすらと輝き文字が浮かび上がってきた。


〈イヴ エルフ lv1〉

スキル:『魔法式創造』『魔法式保存』

HP.800

MP.2000 

力.15

耐久.11

素早さ.18

精神.20

魔力.30

運.100


「魔法式創造…?字面的にオリジナルの魔法でも作れるのか…?なぁ、マークはどう思うんだ…?」


鑑定結果を見てイヴがそう呟く。だが、マークはその呟きに反応せず鑑定結果を見て固まっていた。


「な…レベルが1でこんなに魔力が高いのか…!MPの多さも異常値じゃ…。これはとんでもない子が現れたものじゃのう…。」


「なぁ、マーク?どうしたんだ?」


マークの驚きように不安を感じ、マークに問いかける。


「あ、ああ…すまんのう。こんな化け物じみたステータスを見るのは久々でのう…。魔法式創造と魔法式保存か…こんなスキルは見たことがないのじゃ。すまんのう。」


驚きから我に返ったマークは申し訳なさそうにしつつもスキルについて考える。


(魔法式創造、新しく魔法を創れるすきるかのう。膨大なMPに今までにない新しい魔法…この子を表に出してはいけないのう。)


「そうか…つまり俺のオリジナルスキルって感じか。ならとりあえず試してみるか。どこか魔法を使ってもいい空間とかあったりしないか?」


「こっちに訓練所があるのじゃ。ついてくるが良い。」


そう言って部屋から出たマークの後ろをついていくと、広い部屋に着いた。


「ここが訓練所、大規模魔法陣でも使わなければ大体は壊れたところから修復されるから、好きなだけ暴れて良いぞ。」


「分かった。それじゃあ、いろいろ実験してみようかね…。でも、その前にマーク、この世界の魔法を見せて欲しいんだが良いか?一番弱いのでも良いから頼みたい。」


「うむ、それじゃあ基本四属性の魔法を見せてやろうかのう。」


マークはそんなことを言うと、部屋にいくつか存在する人型の的に向かって手を前に突き出した。


炎弾(ファイヤーショット)


ボッと掌に火が出現し的に向かって飛んでいく。火が当たった所に小さな焦げが出来ていたがそれもすぐに無くなり元のきれいな状態に戻っていた。


流水(アクアフォール)


次は的より少し上の地点に水が出現し流れ落ちた。水は的を濡らしただけで終わり、的も濡れたまま変化はない。ダメージが無いということだろう。


突風(ウィンドブロウ)


今度は強い風が吹き濡れたままの的を乾かした。その際、的が倒れるが風が止まった後、元の位置に戻っていた。


土壁(アースウォール)


的の周囲の地面が伸び的を覆い始める。的をドーム状に覆ったところで地面が動きを止めた。


「こんな感じじゃな。基本四属性は火、水、風、土の四属性の事じゃ。他にも属性はあるがとりあえずはこんなものじゃろ。普通は魔法を使う際に詠唱があるんじゃが、ワシはスキルのおかげで詠唱をせずに魔法を使える。どうじゃ?参考になったかのう?」


最後に使った魔法を再度使い、地面を戻しながらマークはそう問いかける。イヴはマークの使った魔法を見て考えていた。


「ありがとう。とりあえずは魔法の方向性は決まった。後はスキルの使い方を理解すれば良いんだけど。スキルの使い方に個人差なんかはあるのか?」


「スキルには二種類あって、常時発生型と状況発生型があるのじゃが、常時発生型はその名の通り常に使われているから使うという意志は必要ないぞ。状況発生型はスキルを使える状況になった時、本人が使おうと思えば使えるというのが基本じゃ。これ以外は基本的にはないのじゃ。」


「なるほど、ありがとう。なら、使えるな。」


イヴはそう言うとさっきのマークのように手を的に向かって突き出した。

次回、主人公のチートぶりが分かります(予定

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