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第三話

急展開で御免なさい……

でもこのまま進めたら異世界ファンタジーになってしまいそうなので……

彼ーー『冷酷の魔王』と呼ばれた青年・グランは転生魔導を創り、青春を経験する為にその魔導を使用した。



転生先は人間同士の争いが少なく、魔導や魔物などは空想上のものとされている比較的平和な世界、その名も


日本。


彼ーーグランは『叉山紅蓮(さやまぐれん)』という新たな名を授けられた。



前世では親はおろか近隣の住人に迄嫌われていた彼は最初こそ肉親にすら笑顔を見せなかったが、十五になった今ではすっかり魔王の陰など無く、ごく普通の少年の心を持った若者に成長した。

ただ彼には魔王だった時の名残、魔導の力が未だにその身に宿っていた。

けれど彼は『使わなければ良いだけ』と割り切り、魔導の力を封印した。



今、彼は高校の入学式の真っ最中。

彼は余裕綽々といった表情で用意されていたパイプ椅子に腰掛けている。

その姿は『冷酷の魔王』と呼ばれ恐れられていた時よりも普通らしくなっている。


(これから俺の高校生活、青春の1ページが開かれる!)


彼はその表情に見合わず、内心では青春の代名詞(?)である高校生活に胸踊らせていた。


校長の長い話が終わり、生徒達が教室に戻る。

ある者は『校長の話長過ぎだろ』と、また一部の者は『この後近くのカフェ寄ろうよ!』などと口々に話している。


そんな中、彼は誰とも喋らずに列の後ろを黙って歩いている。

その理由は単純、彼は女子が苦手なのだ。

青春をするという気持ちは何処へ行ってしまったのか、そんなため息を吐きたくなる。


(何で部下は平気だったのにクラスの女子になった途端に喋りにくくなるんだ!)


彼は心の中で叫んだ。

そう、彼は部下の女性ならば平気に話すことが出来た。

けれどクラスの女子になった途端に脈拍数が多くなり、辿々しい喋り方になる。


彼はそんな情けない自分にため息を吐いた。


魔王の威厳は何処へやら。


結局彼は教室に戻った後にも話し掛けられること無く帰宅することになった。






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