挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
僕らの四国戦記〜一夏の大戦〜 作者:けいたうろす
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

3/3

3.異世界への兆し

翠恋の後を歩いていると程なく、二人の男の姿が視界に入った。一緒に祭りに行く約束をしていた他のメンバーだった。

「おーい銀次!朱也!龍斗連れて来たよ〜!」
翠恋がそう言うと二人の男うちの一人がこちらに向かって駆け寄ってきた。

「おー。やっと来たか龍斗。待ちくたびれたぜ。俺腹減っちまったから早く屋台行こうぜ。」
駆け寄って来たのは銀次の方だ。左側の頬に十字傷、銀髪の髪に後ろ側にドクロのマークがあるスカジャンを着て、指にはリングをはめ、ダボダボの長いズボンを履いて、高価そうな時計をつけている。真夏にも関わらず何とも暑そうな格好だ。

暑そうな格好だが、彼の格好にはいくつか事情がある。
まず、彼は元々札付きの悪だったのだが、そんな彼がなぜ高校に入学出来たのか。なぜ龍斗達と一緒にいるのか。それは徐々に物語の中で紐解いていく事にしよう 。

「龍斗ってば、制服で来たの?もしかしてあの本読んでて時間忘れてたんでしょ。本読むと時間忘れちゃう気持ちはわかるけどね。」
待ちきれなさそうな銀次に続いて、もう一人。朱也の方も駆け寄ってきてそう言った。
赤い髪に眼鏡を掛けており、細々とした女性のような見た目だ。チェック柄のワイシャツにネクタイ、カーキ色の半ズボンに白いスニーカーと銀次とは真逆の控えめな格好をしている。
彼は大人しい性格で、高校に学年トップ成績で入学したが、弱々しい見た目のせいかイジメにあっていた。そんな彼を龍斗達が助け、一緒にいるようになった。真面目で大人しく争いごとが嫌いな彼だが、弓道では全国大会に出ていて、チェスの大会でも好成績を収めている。人は見かけによらぬものだ。

制服で来てしまった自分を恥ずかしく思いつつも
「悪かったよ。お詫びに何か奢るからみんな行こう。」と言った。
龍斗がそう言うと間髪入れず翠恋達が
「はーい!私りんご飴!!!」
「俺はたこ焼きで!」
「じゃあ、僕はかき氷で...。」
やったね!っと三人は浮かれ気分だ。
奢って貰えることに対する全力の喜び。実に高校生らしい光景だ。

駅から少し離れた場所に"青龍神社"と呼ばれる神社があり、駅前からその神社までが祭りの会場だ。
神社までは二キロほどだろうか。ずらずらと屋台が続いていて、会場は人々でごった返している。
屋台を楽しみ、神輿を担いで歩く人々やパフォーマンスをみて、"青龍神社"でお参りをして、巫女さんの演武を見て、花火で締める。毎回恒例の行事だ。
屋台街を四人で歩き、金魚すくいをしたり射的をしたり綿菓子をかぶりついたりと楽しんでいた。この祭りは三年に一度だけ。四人で回るのは初めてであり、時間はあっという間に過ぎた。
一通り楽しむと、神社に着き、お参りをして階段に座り込んだ。
「なぁ、俺と朱也は巫女さんの演舞見るの今日が初めてなんだけどよ、やっぱり可愛いのか?巫女さん。朱也も気になるだろ?」
銀次が聞いてきた。
「巫女さんが可愛い人かとかは気にしていないけど、演舞を見るのは初めてだから楽しみだなあ。」
朱也がそう呟いた。
龍斗と翠恋は演武を見た事があるのだが、銀次と朱谷は初めて見るようだ。

「凄く綺麗な人ばかりだよ。毎年四、五人居るけど、全員綺麗。」
それを聞いた銀次は「マジか!!」とテンションが上がった。

演舞まではまだ時間がある。このまま座って待とう。そう思った矢先だった。
龍斗は、異様な光景を目にした。そう、駅で見たあの得体の知れない"者"を見た時と同じ"者"だ。よく見ると、神社から少し離れた右横にある蔵の方にあの得体の知れない"者"が向かって行くではないか。
そこには、青龍玉と言われる大切な水晶が祀られており、神主以外は原則立ち入り禁止の場所のはず。誰も気づいていないのか、龍斗以外の者には見えていないのか分からないが誰一人止めようとしない。

「ちょっとごめん。すぐ戻るから!」
入ってはいけない場所である事を教えてようと思い、三人にそう言い残して蔵の方に走り出した。

「ちょ、ちょっと、どこ行くのよ龍斗。蔵の方は立ち入り禁止だよー!」
翠恋が追いかけようとしたが流石の彼女も草履に浴衣では追いつけるはずもなく、佇んでいた。

得体の知れない"者"はかなりの速さで歩いている。走っているはずの龍斗だったがなかなか追いつけない。
完全に神社の方を離れ、人はいない。
鴉が鳴いている暗い蔵の扉の前であの"者"が動きを止めた。
それを見た龍斗は全力で駆け寄り、息を切らしながら声をかけた。

「はぁ...はぁ...。すみません。ここは立ち入り禁止なんですよ。演舞なら神社で行われますよ。だから、戻りましょう。」
何か怪しいと思いながらもそう声をかけたが、反応がない。
もしかして本当に外国人か。英語なんか話せないよ。と思いつつ言葉を続けようとした瞬間だった。

得体の知れないあの"者"が手を合わた直後、勢いよく地面に手をついた。
眩い閃光が走り、龍斗は目をつぶった。
閃光が収まり、目を開けると信じられない光景が目に飛び込んだ。
飛び立とうとしていた鴉の動きが止まっている。
なんだこれは。何が起きた?
疑問を感じた。だがそれは考えたところでわかるはずもない。

「一体これはなんなんだ!貴方は何者なんだ!」
語気を荒げてそう問いただすと

「フフフ。来ると思っていたぞ。貴様が蒼宮龍斗だな?目が合ったあの時に確信できたぞ。我の姿は他の者には見えぬはずだからな。誘き出させて貰った。今はこの世界の時間を止めさせてもらっている。さて、単刀直入に言おう。我の目的は貴様の始末と貴様が所有している本の処分だ」

何を言っているのか意味がよくわからない。頭の中ではそう思いながらも体ではヤバイと感じ、落ちていた太い木の枝を手に取り構えた。

「始末とか時間を止めたとか一体どういうことだ!!本とは、あの本のことか!?」
本当は逃げ出したい気持ちとは裏腹に、見過ごすわけにはいかない。と思ったのだが、体は恐怖心で震えている。

「説明する必要はない。大人しく死んでくれればすべて終わる。さて、場所を変えようか。」

そう言い終えると、あの"者"と自分の姿が一瞬にしてある場所に移動した。
龍斗自身、その場所はよく知る馴染みの場所だ。それは、龍斗の部屋。
どんなカラクリかはわからないが、一瞬で龍斗の部屋に移動したのだ。

「ここは....僕の部屋!?なんで?さっきまで蔵の前にいたのに。」
何故かわからず移動した事に戸惑っている龍斗の背後に、あの"者"がいた。
存在に気づいた龍斗は逃げようとしたが、首を掴まれ、壁に叩きつけられた。
意識を失いかけた龍斗をすかさずもう一度叩きつけ、意識をはっきりさせ、今、自分の置かれている状況を理解させた。

「さて、このまま殺してもいいのだが、殺す前に聞こう。あの本はどこにある。あれがあると我にとって都合が悪いのだ。さあ、答えろ!」
龍斗の首をつかんでいる手を外そうと抵抗するが、凄い力だ。ビクともしない。

「あ..の本がなん....なんだ?どう...して僕を....」
苦しそうに話す龍斗だが、既に意識を失いかけていた。
薄れゆく意識の中で、あの"者"が言った。

「即答せぬならよい!貴様を殺して探すだけだ。この部屋のどこかにあるのは分かるからな!これで我の目的は達成される。さぁ、死にゆくがよい!」
さらに強く龍斗の首を絞めながら言った。
龍斗にはもう抵抗する力はない。
意識を失いかけ、死を覚悟したその時だった。
頭の中に声が流れ込んで来た。

「龍斗。今、貴方に死なれては困ります。 貴方をこちらの世界に飛ばします。詳しい事は後程説明致します。今はこの危機を脱しましょう。
では、いきます!異世界瞬間移動ディメンション・テレポート!」

そう言い終えた次の瞬間、完全に意識を失っていた龍斗の姿が輝きだした。
あの"者"は思わず目を塞いだが、首をつかんでいた手の感触が無いことに気付いた。先程まで感じていた本の気配も。

「奴が消えた...!?まさか、調和神の仕業か!!
くそう....。追いかけねば。」
そう言うとあの"者"は何処からか杖を取り出して地面に突き立てた。
すると、魔法陣のようなものが現れ、真っ二つに分かれて、あの"者"はその中に入っていった。

果たして、龍斗はどこに消えたのか。あの"者"とは何者なのか?

評価や感想は作者の原動力となります。
読了後の評価にご協力をお願いします。 ⇒評価システムについて

文法・文章評価


物語(ストーリー)評価
※評価するにはログインしてください。
― 感想を書く ―

1項目の入力から送信できます。
感想を書く場合の注意事項をご確認ください。

名前:

▼良い点
▼気になる点
▼一言
お薦めレビューを書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ