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僕らの四国戦記〜一夏の大戦〜 作者:けいたうろす
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1.始まりの本



「この本、何度読んでも面白いなぁ」

布団で横になりながら一人、何度も何度も読み返したであろうボロボロの本を読みながら呟いた。

午前中は夏休みの登校日で学校に行き、帰ってから着替えもせずその本を読んでいた。

その本には作者は記されておらず、いつどこで買ったかも覚えていない。

高校入学前日に部屋を整理している時に偶然見つけたものだった。

見つけた時、捨てようか一瞬迷ったが、何故だか分からないが読んでみる気になった。本なんて全然読まないのに。

初めはなんとなく読んでいた本だったが、かなりに分厚いにも関らず、読み進めて行くうちに夢中になり、三日かからずに読み終えてしまった。いつしかその本が大切な物だと感じるようになっていた。

今では一日中読める時間があれば、一日で読み終えてしまうほどだ。
今日もまた、そんな分厚く大切な本を読み終えてしまった。
本を読み終え、あ!っと、大切な用事を思い出し時計を見た。

「あー!もうこんな時間!今日は大事な約束があったんだった!やばい!」

そう。今日は友人と夏祭りに行く約束をしていたのだ。本を読み進めているうちに時間を忘れ夢中になってしまっていたのだ。

「ギリギリだけど飛ばせば間に合うか。」
時計を見ながら思い、制服のまま貴重品と自転車の鍵を持ち、慌てて部屋を後にし、階段を駆け下りた。
階段を駆け下り、玄関に向かう中、途中に、ある部屋に寄った。

そこは、父の部屋。
六畳一間、障子や畳のある和風な部屋で、凄く綺麗に片付けてある。
部屋の壁には、数々の賞状が飾ってあり、和風な部屋には似合わないトロフィーやメダルで部屋が埋まっている。
父は剣道の名手で、数々の大会を制し、剣道をやっているものならば名を知らぬ者はいない程の選手だった

厳しくも優しく、誇らしいそんな父親だったが、五年前のある日から行方が分からなくなっていた。
一体何が原因なのか、今何処にいるのか、生きているのか死んでいるのか。
真相は分からないが、家族全員で生きていると信じ、いつ帰って来てもいい様に毎日食事も用意し、部屋も綺麗にしている。

「父さん、友達と祭りに行ってくるよ。遅くならないように帰ってくるから、父さんも早く帰ってきなよ。
また稽古つけて欲しいんだから。」
父親の姿のない部屋だが、正座をして、礼をして、外出する時は必ず挨拶をしてから行くようにしている。
朝起きた時や寝る前、学校に行くときも、遊びに行くときも、稽古に行く時も。
いつか父親が帰って来ると信じて。

「あら、龍斗。またお父さんに挨拶してるの?今日は約束してるんじゃなかったかしら?行かなくていいの?」

部屋の入り口から母の声がした。
挨拶に夢中になっていた所に母の声がし、ふと我に返って、慌てて部屋を出て、玄関に向いながら母に手を振りながら言った。

「うん。行ってくるよ。遅くなりそうな時は連絡するから。もし父さんが帰ってきたら連絡してね!」

そう言い終えると、靴を履き、家を後にした。
祭りから帰って来たら父さんは帰って来てるかな?と
いつものことながら期待していた。
しかし、僕はこの時、あんなことに巻き込まれるなんて思ってもいなかったんだ。





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