-見えない影-
5人はどこに食べに行くかと悩んでいたが、当然車で学校に遊びにきた都瑠以外、学生である4人は自転車だったこともあり、近くのファミレスに行くこととなった。
車で先にファミレスに到着した都瑠は、席を確保し待つこと数分後、4人は息を切らし何故か言い合いをしながら中へと入ってきた。
麻尋「小夜が大道君にちょっかいかけながら自転車漕いでるから着くの遅くなったじゃない!」
流嘉「今日は、大道を弄りたい気分だったんだから仕方ない。」
麻尋と流嘉が言い合いをしてる横で1年生2人は苦笑いを浮かべていた。それを静かに見ながら止めに行こうかどうしようかと悩んでいた都瑠を麻尋が発見し、急いで席の方へと向かった。
麻尋「先輩!遅くなってごめんなさい!」
都瑠「大丈夫だよ!さあ、みんな席に座って座って!」
麻尋と都瑠が2人で横に座り、その向かい側に優仁と誠之と流嘉の3人が横に座った。しかし、男子高校生が3人並ぶと狭いのか、1番端に座った流嘉が椅子に半分しか座れていなかった。
都瑠「小夜君、ちゃんと座れてなさそうだけど大丈夫?こっちに座るかい?」
流嘉「!!!………はっ…」
麻尋「先輩大丈夫ですよ!小夜はこう見えてそういう風に座るの慣れてますから!」
都瑠「え!?そうなの?じゃあ、余計なこと言っちゃったね!ごめんね?」
流嘉「!?……イエ、ダイジョウブデス…………ボソッ…麻尋後で覚えてろよ…」
各々メニュー表を見て注文をし、料理が運ばれてくるまで学校の授業や先生たちのこと、テストのこととかを話して盛り上がり、料理を食べ終えてからも少しだけ今度は部活のことを話はじめていた。楽しく会話をする時間は早く過ぎるもので、気がつけば9時を回ろうとしていた。
都瑠「もう、9時なのね…みんなもこれ以上遅くなったら親御さんに怒られると思うから帰りましょうか?」
4人「はーい!!」
各々が食べた食器等を重ねたり、端の方に寄せたりしていると、都瑠の耳に雑音のような何かが突然聞こえてきた。
『………都瑠…覚え……てる……か?………』
麻尋「先輩?大丈夫ですか?」
都瑠「…え!?…麻尋ちゃん…」
麻尋「どうかしましたか?お顔真っ青ですし、冷や汗までかいてるみたいですけど…体調悪いですか?…」
麻尋の言うように都瑠の顔は真っ青で、冷や汗も見てとれるほどであった。麻尋が都瑠を気にしていると他の3人も都瑠の方へ視線を移し、様子を見ていた。
都瑠「…えっと…体調悪くはないんだけど、たぶん仕事の疲れが出たのと、久しぶりにワイワイしたからだと思うから、気にしないで!!さあ、お会計して帰りましょう!今日は私が奢ってあげるね!」
麻尋「えぇ!?そんな、だめですよ!先輩に奢ってもらうなんて!」
そう言う麻尋を余所に都瑠はそうそうにお会計を済ませ外へと出ていった。4人は奢ってもらったことにお礼を言い、各々家へと帰って行った。
それを見送ってから都瑠も自分の車へと乗り込み、運転しながら先程のことを思い出していた。
都瑠「さっきのはなんだったんだろう…雑音?でも、確かに言葉が聞こえてきたんだけどな……やっぱり疲れてるのか…早く帰ろう」
そんなことを考えながら運転している都瑠の車を後ろから見つめている影が……
?「都瑠…やっと、見つけたのに……覚えてないのか………」