無能サマナーから有能サマナーになっちゃいました!!
昔この世界には魔王が存在していた。魔王はこの世界を征服しようと次々と人間の住む場所を襲った。
そんな絶望と暗黒で人々が暮らす世界に一つの希望の光が現れた。その光を人々は勇者と呼び、勇者達は魔王を討伐した。
魔王勇者たちによって討伐され平和な時代となった。
しかし、現在もモンスター達は存在する。そのモンスターを討伐するため人々は冒険者ギルドを設立し冒険者達は命をかけて戦う。
そんな冒険者ギルドに一人の少女がいた。
少女の名はロッテ。
職業はサマナー。
サマナーとは使役したモンスター・精霊・悪魔・神など召還して戦わせる職業。一人で何役もこなすパーティーには欠かせない存在。強いサマナーになるとより使役するスキルが上がり強力な召還ができる。
使役するスキルには個人差があるが、大体は精霊までを使役すること出来る。そこからはさらに経験を積み才能がある者は神まで使役できるという。しかし、悪魔は無理だとされていた。しかし召還は出来る。
神と悪魔の違いは、悪魔は使役ではなく『取引』という形で『契約』するのだが、これは神と同じだが、代償がまったく違う。神は代償を取ることはなくその人の生き様を見て判断し契約または使役できる。一方悪魔は己の力を使うのを許可する代わりに『代償』を頂く。代償は悪魔によって違うがそのどれでもが命に関わるものらしい。しかも召還する度にその代償は払い続けなければならない。悪魔を召還するサマナーはみな寿命が短命だった。誰も悪魔を使役できる人がいなかった。
・・・だが、そんな中で唯一悪魔を使役したサマナーがいた。
そのサマナーは魔王を討伐に参戦し、魔王を仕留めた英雄にもなっている。
その名は大召還士ロザリー。
強力な召還で魔王を圧倒し強大な一撃を与え、魔王の討伐に大きく貢献した女性である。サマナーになっている者は皆彼女のようになりたいと願い彼女の故郷ラナの町に巡礼する人々で街は賑わっている。そのラナの町にロッテはいた。
「ン~・・・」
ロッテは冒険者ギルドで張り出されているクエストを眺めながら唸っていた。
白と赤が彩るフードの中か見える赤い髪とまだ年齢も若く幼さが残る顔だが可愛らしく後数年すれば美人にある素質を十分用いている。・・・が、残念ながら体系は未来がないとも言えるほど駄目だった。マニアックな人なら受けは間違いないが・・・一言で言うとロリである。
そして、ロッテの首元には1つの星の形をしたネックレスが着けられていた。
「やっぱり星1つじゃろくなクエストがないよ~・・・」
うな垂れながら自分の星を見つめた。
冒険者にはランクというものが存在しそのランクは星1~10とされている。星が多い冒険者ほどクエストを受注できる範囲が広くなり仕事が増え稼ぎがよくなる。
クエストにはモンスターの討伐もあるが、捕獲・採取・護衛・採掘など様々ある。そのどれにも難易度があり星の数でそれは記されている。
ロッテは星1つなので受注できるクエストにはとても限りがある。そして、悩んだ末ロッテは一枚の張られた紙を取り受付に持っていった。
「このクエストの受注お願いします」
受け付け女性に渡した紙の内容はこう書いてあった。
『ラットラビットを10羽討伐。難易度:☆ 報酬:銀貨1銅貨50(雄の場合、角を獲得したなら追加報酬有り)』
「ラットラビットの討伐クエストですね。・・・はい受注完了しました。気をつけていってらしゃいませ」
受付の女性のいつも通りの明るい声を聞きロッテは街を出た。
草原をしばらく歩くとラットラビットのいる区域に到着した。
ラットラビットは大人しいモンスターで人を襲うことはなく草原や森に多く生息している。そんな大人しいモンスターだが、繁殖期と冬眠前の時期になると栄養をつけるために街や村などの畑を度々荒らすので毎回掲示板に掲示されている。
「よし!今日も生きる為に頑張るぞ!!」
のどかで平穏で誰もいない場所で気合を入れしっかりと念入りに準備体操をし、ラットラビットの群れに突撃する。
ラットラビットはロッテの姿を見ると逃走を開始し一斉に逃げ出すも脚はそれほど早くないので徐々にその距離は縮まっていき、遂にはロッテが追いついた。
「そ~~~れっ!!」
「キュ~・・・」
勢いよく持っているロッドを振り下ろしラットラビットは可愛らしい声で鳴き倒される。そして、ロッテはそのままどんどん走り追いついていったラットラビットを倒していった。
暫くするとクエストの討伐数になり戦闘を終了した。
「えっと・・・今回は雄が4羽っと。・・・その角貰っていくね」
倒した雄のラットラビットの頭に生えている角をダガーで切り取り小袋に入れた。他のラットラビットも倒した証拠を提示するため一部切り取り袋に入れ溜め息を漏らす。
「・・・・・・はやく私も召還出来るようになりたいな・・・。そしたらもっと星が上がってPTにも誘われてお金もたくさんはいるのに・・・・・・、どうして私には使役が出来ないんだろ・・・・・・。酒場やギルドでは『無能サマナー』ってあだ名までついちゃってるし・・・・・・どうしてなのかな・・・」
本来のサマナーの戦い方は使役したモンスターを召還し戦わせ自身は後方に下がるのが戦い方の基本なのに対しロッテはまるで違う。ロッテは自分からモンスターに突撃し己の持つ武器で仕留める。そこには召還の『しょ』の字も存在していない。なぜこんな戦い方をするのか・・・。それは、彼女には召還するのに必要な『使役が一体もいない』からだ。彼女は毎晩、魔方陣から呼び寄せたモンスターに『説得』というスキルを使って使役しようと奮闘しているがことごとく失敗している。召還に出てくるモンスターはランダムで強いのが出るときもあれば弱いのが出る時もある。だけど、その全てのモンスターが彼女の説得を断る。それには理由があった。彼女の姿がモンスター達にとっては『生理的に受け付けない』らしい。これはサマナーを辞めるべきと言われているのと同じ。だけど、彼女はそれでもサマナーを続けている。いつか自分の事を受け入れてくれるモンスターが現れる事を信じて、朝はクエストをこなす冒険者で夕方からは泊めてもらっている酒場の手伝いをしながら・・・。
「まだ時間はあるし、使えそうな野草を積んでいこうかな。・・・こんな戦い方だから生傷も絶えないし・・・・・・」
ロッテは近くの森に入り傷に効く野草を摘み、袋に入れていく。大きくない袋だったが、人の手が入っていない森にはたくさんの野草が生えているのですぐに一杯になった。
「よっと・・・ふぅ・・・。これでしばらく大丈夫だね。さってと。そろそろギルドに報告しに行かないと酒場の手伝いに間に合わなくなる」
「ラットラビット10羽の討伐クエスト完了しました」
ロッテはギルドに戻ると受付に行き完了報告を告げにいった。
「はい。お疲れ様でした。では完了証明の提示をお願いします」
「この袋に入ってます。それとこっちの袋には雄の角が4本あります」
「承りました。では中身の確認と報酬の手配を致しますのであちらの席で少々お待ちください」
言われたとおり近くの椅子に座り待っていると
「やあ、君ってサマナーだよね」
一人の男戦士が声をかけてきた。
「あ、はい。そうです(わぁ~・・・星3つの人だ)」
「今俺たちのPTサマナーを募集してるんだけど、よかったら君入らない?まだ星1だし他のPTから誘われてないよね?」
Ptの勧誘・・・嬉しいけど私召還が出来ないから使い物にならないし・・・。
「えっと・・・私サマナーですけど・・・そのお誘い・・・」
「おい。お前誰を入れようとしてるんだよ」
断ろうとしたところ、戦士のPTらしい仲間の男格闘家の人が止めに入ってきた。
「え?この子サマナーだから俺たちのPTに誘おうと思ったんだけど?」
「お前知らないのか?こいつの事」
「何かあるのか?」
「・・・・・・」
「こいつサマナーなのに召還が出来ないんだぜ。『無能サマナー』って有名なんだよ」
「!?」
体が勝手にビクついてしまった・・・。
「え!?まさかこの子がそうなのか!てっきりあれは嘘か年寄りのサマナーだと思ってたぜ。・・・そうかこの子が無能サマナーなのか・・・」
戦士は興味心身にロッテに近づき顔を覗き込むように見る。
「・・・・・・あ、あの・・・」
「ねえ君」
「は、はい」
「どうして召還も出来ないのにサマナーなんてやってるの?無意味でしょ」
「・・・・・・」
「使えない職をやって楽しい?一人でずっといて寂しくないの?」
「・・・・・・・・・」
「おい少し言いすぎだぞお前」
「え?別にいいじゃん。使えない奴に使えないって言って何が悪いんだよ。誰も迷惑しないだろ。むしろこうして教えてやった方がこいつの為になるだろ?間違ってるか?」
「・・・いや、間違ってはいないけどよ・・・」
「ロッデさん。お待たせしました。3番受付にお越し下さい」
あ、私の名前呼ばれた。行かなくちゃ・・・。
「すみません。呼ばれたので失礼します」
その場から逃げるように立ち去った。
「・・・へぇ~名前ロッテちゃんか・・・」
「では報酬の銀貨1枚と銅貨50枚です。それと追加報酬で角1本に付き銅貨25枚ですので合計4本で銀貨1枚になります。お確かめ下さい」
「・・・・・・はいちゃんとあります」
「では、お疲れ様でした。またのお越しをお待ちしてます」
銀貨2枚と銅貨50枚を巾着袋に入れギルドを出てその先にある酒場に早足で入った。
「あら、おかえりなさいロッデちゃん♪」
屈強なハゲの大男が女性口調で出迎えてくれた。
私はマイクさんのいつも通りの姿と声を聞いて安心した。
「ただいまです。マイクさん」
「よかったわ今日も無事帰ってきてくれて。私、ロッテちゃんがいないと心配で・・・」
マイクはロッテを丸太のように太い腕で優しく抱きしめた。
「マ・・・マイクさん・・・くる・・しい・・・です」
「あら!ごめんなさい!!大丈夫!!」
マイクは優しくしていたつもりだったが、まだ少女であるロッテにはその抱擁はとても苦しかった。
「だ、大丈夫・・です・・・ケホ・・・」
「ごめんなさいね。・・・それでロッテちゃん。何かあったの?」
「・・・え?」
不意の言葉に私は一瞬驚いたがすぐに
「何もないですよ。いつもどおりです!」
元気良く言ったが
「ふふ・・・。相変わらずウソが下手ね」
すぐに見破られてしまいました・・・。
「私は外見は男だけど心は女よ。大人の女には一目見ただけでいつもと違うくらいわかるわよ」
「マイクさん・・・」
男なのに・・・。
「今失礼なこと考えたでしょ」
「え!?いや・・・その・・・ゴメンナサイ」
マイクさんには隠し事は無理ですね~・・・。
マイクさんは私が冒険者になったばかりの時にこの街で出会った人。ろくにクエストも完了出来なくて無一文のまま路頭に迷ってたときに声をかけてくれてこの酒場に居候させてくれた恩人で今も色々とお世話になっている人です。
「まぁいいわ。開店まで時間があるからこっちにきて話してみなさい」
マイクさんは私を奥の席に案内して話を聞いてくれた。
「・・・そう。そんなことがあったのね・・・」
「・・・・・・私やっぱりサマナー向いてないみたいです。召還も未だにできないですし・・・」
「サマナー辞めるの?」
「・・・・・・辞めたく・・・ないです」
「なら頑張って続けなさい」
「・・・でも・・・」
「ロッテちゃん。私はずっとあなたの頑張りを一番近くで見てきたと思ってるわ。その努力は決して無駄じゃない。今はまだ召還は出来なくてもきっと出来る日がくるわ。あなたがその信念を捨てない限り絶対夢は叶うわ。だから他の人に何を言われようと挫けちゃダメ」
「・・・マイクさん・・・」
「それにね。私にはわかるの。近い内にロッテちゃんには大事な仲間が出来るって。あなたのことをちゃ~んと見てくれる仲間が出来るって・・・。だから諦めずに頑張りなさい。女は根性よ!」
「・・・ありがとう。・・・マイクさん・・・」
「いいのよ。また挫けそうになったら私に話しなさい。いつでも聞いてあげる。ロッテちゃんが話したくない時でも無理やり聞いちゃうんだからね♪」
「はい。ありがとうございます」
「・・・それにしてもまだそんな事を言う子がいるのね。・・・困ったわね~。・・・お姉さんのお願いが今一つ広まってないのね残念だわ~」
「あの、マイクさんお願いって何ですか?」
「ん?ロッテちゃんは知らなくていいことよ~。気にしちゃダ・メよ」
ウインクをしてにこやかに微笑むマイクさんが少し怖かったのでそれ以上聞くのは止めとこう・・・。
「さってとそろそろ開店の時間ね。ロッテちゃんも早く着替えて準備してちょうだいね。今日も頑張るわよーファイオーーー!!!」
「いらっしゃいませ~!!」
日も落ち辺りが暗くなり始めた頃この店は始まる。
酒場『乙女』
毎夜冒険者や労働で疲れた大人達が一時の休息と英気を養う場として賑わうこの酒場でロッテは手伝いをしている。可愛らしいエプロンを身につけ来店してくるお客様に笑顔を振りまき席に案内する。
「三名様ですね!こちらの席にどうぞ~!!」
「お!ロッテちゃん。今日も張り切ってるね!」
屈強なおじさん三人がロッテに笑顔を向け豪快に笑う。この人達はマイクさんの昔からの友人でここのお店の常連さん。いつも私に暖かい笑顔をくれて元気を与えてくれる。・・・・・・たまにお尻を触られるのが少し嫌だけど「これも大人の女性に対する礼儀なんだよ」って言ってその後マイクさんに怒られてます。
「それでどうだい?召還は出来るようになったのか?」
席につきメニューを見ながら話しかける。
「それが・・・まだ・・・」
「そうか・・・。まぁ諦めずに頑張りなよ!俺達は応援してるからな!!なぁお前ら!!」
「ああ!挫けず頑張れよ!!」
「俺たちはロッテちゃんが大好きだからな!!」
「・・・皆さん。ありがとうございます!頑張ります!」
「いい返事だね~!よし今日は奮発してやるぜ!ビール3つとリザードの唐揚げ大盛りに山菜のサラダと豆のスープにチーズを丸まる1つくれ!」
「はい!少し待っててくださいね。マイクさん注文でーす!!」
カウンターからロッテの元気な声は店の調理室まで聞こえ、そこで調理をしているピンクのエプロンを着用しているマッチョでムキムキで黒光りしている体と光る頭の大男が声を上げた。
「は~い。注文いいわよ~♪あ、ロッテちゃん。これ2番テーブルにお・ね・が・い」
そう言ってカウンターに出来た料理を優しくおいてウインクをした。
マイクさんはこの店の店主で、見た目は怖そうに見えるけどとても優しくて気遣いが出来て頼れるおとk・・・女です。従業員の皆は「女将」や「姉さん」って呼んでいるけど私はどうにも呼びづらくてマイクさんって呼んでます。ちなみに、マイクさんは元は冒険者だったらしく腕も相当だったらしいけど、資金を貯めて昔からの夢だった飲食店を設立して冒険者を辞め今にいたるらしい。マイクさんの強さを知る人はここにくる常連の人達だけらしいけど皆が言うには『決してマイクを怒らすな』って口挿んで言う。私はまだマイクさんの怒った姿を見たことがないけど、そんなに恐ろしいのかな?
「はい2番テーブルですね!あ、あとこれ注文票です」
「わかったわ。愛情込めて作るわね」
「はい。お願いします!」
マイクさんは注文票の紙を受け取り鼻歌を歌いながら調理室へと戻っていった。
私も2番テーブルのお客様に料理を運びに向かった。
「お待たせしましたー!ご注文の暴れ牛の骨付き肉とトードの卵にスープです」
「やっときたな。遅いぞ無能サマナー」
「・・・あ、あなたたちは・・・」
さっきギルドでクエスト完了報告してた時に話しかけてきた冒険者の人達だ。
「奇遇だね。まさかここで働いてるなんて・・・。やっぱり星1じゃ稼ぎも悪いから掛け持ちしないと生活出来ないんだ」
「・・・・・・」
「え?何々知り合いなの?」
「実はこの子サマナーなのに召還が出来ない無能サマナーなんだぜ」
「え!?マジ!あの話本当だったの!!?マジ信じらんねー!!」
「それサマナーの意味ないじゃん!辞めろよ!!」
「だよな。存在価値無しだよな!」
「おい。お前ら言いすぎだぞ!」
あの人ギルドで私を庇おうとした人だ・・・。
「え?事実言って何が悪いんだよ」
「そうだぜ。元々はお前が俺に教えたんだからな。こうなる事わかってただろ」
「それは・・・・・・」
「ねぇねぇロッテちゃん。本当に召還出来ないの?ちょっとやって見せてよ」
「・・・すみません。今お仕事中・・・なんで・・・」
「えーいいじゃん。お客を楽しませろよーーー!!」
「そうだぜ。楽しませろよ!」
「早く早く!」
「お前らいい加減に――――――!!」
「ちょっとお客さん?」
「あ?なんだ・・・・・・よ」
戦士が言葉を詰まらせた。その理由はすぐにわかった。明るい室内なのに私の姿が暗くなったからだ。そんな大きな影が現れるのは一人しかいない。
「・・・マイクさん・・・」
「うちの従業員を苛めるのはダメよ。・・・お代はいいから今すぐ帰りなさい」
他のお客さんが気がつないように優しく静かに圧をかけた声でその人達を黙らせた。酔いが一気にさめるのが見てわかった。
「・・・それが客に言う態度かよ」
だけど戦士の人だけは酔いがさめてもその声を聞いても引かなかった。
「あら。ここはあなたたち坊やが来るにはまだ早いお店よ。もう少し男磨いてから来なさい。・・・まぁそんな連中と一緒にいるようじゃあ一生磨けそうにはないけどね」
「俺の仲間を侮辱するのかてめぇ」
「仲間には見えないわね」
「なんだと!」
「本当の仲間ってのはね仲間内だけじゃなくて他の人の気持ちもわかって考える人達の事を言うのよ。身内だけで仲良くしているとその内痛い目みるわよ」
「・・・図体がでかいからって調子に乗るなよオカマが」
「なら試してみる?図体のでかいオカマが調子に乗らないように・・・」
戦士は勢いよく立ち上がったせいで椅子が大きな音をたて倒れた。それにより、周りの客も異変に気がつき青ざめた顔で
「ヤバイ・・・姉さんが怒ってる・・・・・・」
その言葉は賑やかで騒音だった室内に聞こえるはずもないのに一斉に静まり返った。そしてその場で硬直する人、テーブルの下に隠れる人、お祈りもしてる人など皆がおかしなことをしでかした。
そんな中で私は今もっともマイクさんの近くにいます・・・。
マイクさんが怒った姿を見た事はないけど、体の中からものすごい退避命令が出ています。でも怖くて動けません・・・。私の為に怒ってくれているのにとても複雑な気分です・・・。
「オカマ店主が、この店経営出来なくしてやってもいいんだぞ?」
「それは困るわ~。ここは皆の憩いの場なのよ。それだけは阻止しなきゃね」
「なら・・・やってみろよ!!!」
戦士は大剣を手に取り勢いよく店のテーブルに向かって振りかざした。
「・・・・・・なっ!!?」
「言ったでしょ。それだけは『阻止』しなきゃって」
私の目に飛び込んだこうけいに思わず夢かと感じてしまいました・・・。戦士の人が両手で持っている大剣をマイクさんは指二本で受け止めているんですから・・・。
「ぬ・・・抜けねぇ!!」
「当たり前よ。あなたみたいなヒヨッコ冒険者と違うんだから。はい返すわ」
止めていた二本の指を離した。
「どう?もうわかったでしょ。早く帰りなさい。これがお姉さんの優しい最後の言葉よ」
「気持ち悪いんだよその言葉遣い!!おい援護魔法掛けろ!!」
仲間の魔法使いに指示をするもマイクに脅え動揺してしまっている。それを見てさらに戦士は怒り魔法使いを怒鳴り無理やり攻撃上昇と速度上昇の魔法を掛けさせた。さらにそこから戦士自身が覚えているスキル『バーサーカー』を発動させ更に攻撃と速度を大幅に上昇させた。
「これでも食らいやがれ!!」
戦士は大剣を天に掲げ一気に振り下ろした。速度が大幅に上昇した振り下ろしは目に見えないほどになっていた。
「マイクさん!!」
思わず叫んでしまった私にマイクさんは優しい笑みを浮かべ不安をかき消してくれた。
「フンッ!!!」
男らしい声を漏らし振り下ろされた大剣を丸太のように太い腕で受け止めた。
「・・・・・・・・・」
戦士は絶句し表情が固まっていた。自身の最大限の力で振り下ろした斬撃を防具も付けてもいない腕一本で止められたことに。・・・更に
―――ピシピシ―――
大剣から音が聞こえ見てみると、刃にヒビが入っていることに気がついた。そのヒビは徐々に広がっていき最後は折れてしまった。
「・・・ウソでしょ・・・」
どうしてマイクさん腕が斬れなくて逆に大剣が折れてるの・・・信じられない。マイクさんって何者・・・。
「さぁどうするの?武器が折れちゃったけどまだやるのかしら?」
「・・・・・・・・・」
戦士は完全に戦意を喪失していた。もう騒動は起こらないことを感じ取った周りは徐々に賑やかさを取り戻し楽しみ始めた。
「メリーちゃん。お客様のお帰りよ。扉開けてチョウダイ」
「は~い」
「・・・そこのあなた達」
『は・・・はい!!!』
「その坊やを担いであげてね♪歩けそうにないみたいだから。お・ね・が・い・ね★」
『はい~~~~~!!!』
仲間達は戦士を担ぎ店を一目散に出て行った。一人を除いて。
「・・・あの・・・」
格闘家の人がマイクさん声をかけた。
「何かしら?」
「すみませんでした。俺の仲間達が失礼なこと言って・・・」
「・・・それは私に言うことじゃないでしょ。ね、ロッテちゃん」
マイクさんは一歩引き私が前に出るような感じにしてくれた。
「そうでしたね。・・・ロッテさん。先ほどの無礼な発言申し訳ありません。謝って済むことではないとわかっている。だけど謝らせてほしい。すまなかった・・・俺があの時失言をしなければこうならなかった・・・。全ては俺の責任だ」
深々と頭を下げた。
「ロッテちゃんどうするの?」
「・・・・・・」
確かにこの人が言わなかったらこんな事にはならなかったと思う。けどあの状況じゃあ仕方なかったしそれを恨むのはどうかと思う。それにこの人はずっと私を守ろうとしてくれていたし、こうやって謝ってくれてる。
「頭を上げてください」
「・・・・・・」
格闘家はゆっくりと頭を上げた。その瞳にはまだ罪悪感で満ちているように見える。
だから私はその気持ちを消すように
「今度来店する時は予約して下さいね。マイクさんのスペシャル料理と私もとっておきの料理を作って待ってますから!!」
『・・・・・・・・・』
「・・・あれ?私なにか変なこと言いましたか?」
どうしてマイクさんもこの人も驚いてるの?私おかしな事言ってないよね・・・。お願いだからどちらか話してください。
「ふふ・・・。さすがロッテちゃんね」
「マイクさん・・・」
その何ともいえない雰囲気だった空間にマイクは優しく笑いロッテの頭を大きな手で撫でて恥ずかしがるロッテ。
「そういうことだから、今度来る時は連絡しなさい。貴方達に私のとっておきの手料理をご馳走して骨抜きにし・て・あ・げ・る♪」
「私も頑張ります!!」
「・・・・・・ああ。必ずまた来るよ。皆と共に。ありがとう・・・」
「・・・はい!!」
格闘家の瞳はもう濁ってなく綺麗な瞳をしていた。
「ロッテちゃん。いい女になってきたわね」
「ほんとですか!?」
「ええ・・・。まだ体は幼いけど中身は十分いい女よ」
自分の体を見ると確かに幼い部分が多々あることを再確認し。
「嬉しいようで悲しい気分になりました・・・」
「大丈夫よあと2、3年もすれば立派なレディになるわよ。私を見てみなさい。いい女でしょ?」
そう言ってマイクは自分の筋肉を見てくれんとばかりにロッテに向けて色々なポーズをとる。
「そ、そうですね・・・」
マイクさんはいい人なんだけど少し暑苦しいです・・・。筋肉がピクピク動いてなんか気持ちが悪いです。
「今失礼な事思わなかったかしら?」
「全然思ってないです!」
「・・・。まぁいいわ。さぁお店に戻りましょ。お客さんに迷惑かけちゃったからサービスしないとね☆さぁ皆!今日は私のスペシャルな料理をご馳走してあげるわ!!」
店の中に入るとマイクは大声で告げ客は皆歓喜した。
「そ・し・て。私の踊りも見せてあ・げ・る」
店のお客は皆悲観の声を心の中で叫んだ。
店の営業時間が終わり、片付けもすんで皆が家に帰っていくの見送る。
「じゃあロッテちゃん。私も帰るけどしっかりと戸締りして寝るのよ。もし何かあったらすぐに私の所へ来なさい」
「はい。わかりました」
「いいお返事ね。それじゃあお休み」
「お休みなさいマイクさん」
マイクさんも帰り静まり返るお店の中にはロッテ一人だけとなった。ロッテは二階に上がり借りている部屋に入った。
「今日も頑張って召喚するぞ!エイエイオー!!」
部屋の床には大きな魔方陣が書かれていてロッテはその前に立ち召喚の儀式を唱えモンスターを償還していった。
「ダメです・・・全然ダメです・・・」
召喚してから大分経ち月が天辺にまで昇っていた。
「やっぱり私には才能がないのかな・・・。召喚されたモンスターは尽く使役を拒否するし・・・。モンスターに好かれない性質なのにサマナー目指すのは無理なのかな」
考えが甘かったんだね。いつかはこの性質なんて関係なく使役者になってくるモンスターが来てくれると思って頑張ってたけど、もう2年にもなるのに一向に使役者が出来ない。・・・冒険者諦めようかな・・・。
「ってそんなこと考えちゃダメダメ!!マイクさんも言ってたし皆も応援してくれてるんだから!!」
自分の頬を両手でパチンと叩き気合を入れなおした。そして、魔方陣に書かれている呪文を見直す。
「そういえば呪文を変えたら別の場所のモンスターが召喚されるんだよね。今の召喚魔法だともうだいたいのモンスターがでたと思うから・・・やってみようかな。もしかしたら私でも使役できるモンスターが来るかもしれないし。・・・よし!」
ロッテは召喚魔法に書かれている呪文の一部を書き直し始めた。
「・・・・・・っと。こんなもんかな?」
呪文を書き直したロッテは再度召喚魔法の前に立ち召喚を行った。
魔方陣から眩い光が出る。
そしてその中からモンスター召喚された。
「・・・誰ですか。私の休息の時間を邪魔する方は・・・」
魔方陣から現れたのは紅茶の入ったティーカップを片手に優雅に座っている執事の服を着た人型のモンスター。そのモンスターは今まで見た事がないほど綺麗な顔立ちとスタイルをしている男性で、背中に黒い羽が生え頭に禍々しい角が二本生えていた。
「・・・・・・・・・うそ・・・」
まさかこれって・・・悪魔・・・。それも超がつくほどの高位な悪魔だ・・・。
「・・・そこのお嬢さん」
赤い瞳がロッテを見つめる。
「ひゃ・・・ひゃい!」
驚きのあまり声が裏返ってしまった。
「あなたが私を呼んだのかな?」
「そ、そうでしゅ!!」
「・・・私の名はアスモデウスと申します」
「・・・アスモ・・・デウス・・・」
そのモンスターから名前を聞いてさらに驚いた。
アスモデウスって確かあの大召還ロザリー様が使役していた悪魔だよね・・・。そんな、魔方陣の文字を少し適当にいじっただけで現れるなんて・・・。どうしよう、どうしたらいいんだろう!!?
「まさかこんな可愛らしいお嬢さんに呼ばれるとは・・・。あれ以来誰にも呼ばれないない為に細工を施したかいがありました・・・」
アスモデウスは魔方陣に書かれている呪文を見た。
「なるほど・・・。ここの文字を変えたのですか。お嬢さんこれは意図的にしたのですか?」
「い、いえ。たまたま何となくいじったらどうなるかと思ってやっただけです」
「・・・なるほど。まぐれで私をよんでしまったと・・・」
「・・・すみません・・・」
「謝る事はないですよ。それで私に用があるのではないのですか?」
「・・・えっと・・・・・・」
「どうしました?そんなに臆しなくいいんですよ。さぁ言ってみなさい」
「は、はい!・・・では、言わせていただきます。・・・・・・私の使役者になって下さい!!」
「よろk・・・・・・コホン。お嬢さん名前を教えてもらってもいいかな?」
「あ、自己紹介がまだでしたね。私ロッテと言います」
「ロッテ・・・いい名前です」
「ありがとうございます!」
「ではロッテ。私の返答前に一つ質問です」
「な、何でしょうか・・・」
「私が使役者になると言ったらロッテは喜ぶかな?」
「それはもちろんです!」
「悪魔の私なのにですか?」
「はい!!」
「悪魔を使役したサマナーがどうなるか知っていますか?」
「・・・知っています」
「それでも私がほしいのですか?」
「ほしいです!!」
「・・・・・・・・・わかりました」
「ありがとうございます!!」
「パンツを見せて下さい」
「・・・・・・・・・・・・へ?」
「パンツを見せて下さい」
「・・・・・・パンツってあの・・・パンツですか・・・?」
「そのパンツを見せて下さい」
「・・・・・・わかりました」
私はタンスの中にあるパンツを取り出そうとしたら
「違います。ロッテが『今』穿いているパンツを見せてほしいんです」
「・・・私の今穿いているパンツ・・・ですか・・・」
「そうです」
「そんなの無理です!!」
「どうしてもですか?」
「どうしてもです!」
「・・・・・・そうですか。残念だですが諦めましょう」
「そうして下さい」
「では契約は破棄ということで・・・」
「え?契約って・・・」
「私とロッテを結ぶ為に必要なものです。これがないと私は使役者になれません。残念です・・・」
「ちょ・・・ちょっと待ってください!!」
「・・・何です?」
「何なんですかそのふざけた契約内容は!!」
「・・・私もそう思います」
「だったら・・・」
「前の契約者の性で契約内容を変えられてしまったのです・・・」
「・・・それってロザリー様ですか?」
「そう!あのばb・・・ゴホン。ロザリーは私の力が悪用されないように契約を変えてしまったのです。その性で私はどれだけ辛い目にあったか・・・。だから呼ばれないように細工までしてたのです・・・」
「そうだったんですね・・・。お気の毒に」
「お気遣いありがとうございます。それでどうしますか?契約を結びますか?」
「・・・・・・・・・」
「・・・やはり無理、ですよね・・・。では私は戻らせてもらいます。少しの間でしたが、楽しかったですよ。ロッテ・・・」
魔方陣が光だしアスモデウスがのまれる寸前にロッテは意を決した。
「・・・・・・ま、待ってください!!」
「まだ何か御用が?」
「・・・・・・私のパンツ見てたら使役者になってくれるんですよね?」
「・・・・・・ええ。それが私の契約内容ですから。・・・本当によろしいので?後悔はないのですか?」
「あ、ありません。・・・では・・・・・・いきます!」
ロッテはスカートの裾を掴みゆっくりと上げ始めた。
「さて、今日はこの茶葉にしましょうか」
魔界に住む七大悪魔の一柱のアスモデウスは優雅に午後の休息をとっていた。テーブルの上にはアスモデウス自身が作ったケーキが置かれている。
「いただく前にまずは紅茶の味を楽しみますか・・・」
紅茶の入ったティーカップを取り一口啜ろうとした瞬間
「・・・・・・これは」
自身の周りが突然魔方陣で光りだした。
「まさか・・・召還魔法?」
ありえない・・・。あの時を切欠に私は召還魔法に対して細工をして特定条件でないと呼ばれないようにしていたのに・・・。
「ん?・・・特定・・・条件・・・?・・・・・・ッハ!?」
アスモデウスは何かを思い出し肩を振るわせた。
「そうか・・・。その時がきたのか・・・!!」
光はアスモデウスを包み込み召喚士の元へと移動した。
「・・・誰ですか。私の休息の時間を邪魔する方は・・・」
・・・決まった。完璧です。文句の付け所がない登場の仕方。
さて、私を召還した召還士は一体どんな人なのでしょうね・・・。
・・・・・・ほう。年は14,15才くらいですかね。少々熟れていますが食べ物でもそのくらいが一番おいしいのがありますし私としてもそれがベストです。それにあの幼さが残っている顔が素晴らしい。スタイルは・・・・・・なるほどなるほど。希少価値ですね。私好みです。・・・満点です!
「・・・・・・・・・うそ・・・」
予想通り驚いてくれてますね。その表情・・・大変素敵です・・・。ああ・・・心が満たされる・・・。
「・・・そこのお嬢さん」
「ひゃ・・・ひゃい!」
・・・・・・カワイイ。天使のようだ・・・いや、天使そのものですね。
「あなたが私を呼んだのかな?」
「そ、そうでしゅ!!」
「・・・私の名はアスモデウスと申します」
「・・・アスモ・・・デウス・・・」
その反応の仕方は私を知っているようですね。まぁそれもそうでしょうね。魔王を倒したのは私ですし・・・。あのババアの元で・・・。
「まさかこんな可愛らしいお嬢さんに呼ばれるとは・・・。あれ以来誰にも呼ばれないない為に細工を施したかいがありました・・・」
アスモデウスは魔方陣に書かれている呪文を見た。
「なるほど・・・。ここの文字を変えたのですか。お嬢さんこれは意図的にしたのですか?」
「い、いえ。たまたま何となくいじったらどうなるかと思ってやっただけです」
「・・・なるほど。まぐれで私をよんでしまったと・・・」
「・・・すみません・・・」
「謝る事はないですよ。それで私に用があるのではないのですか?」
さあ!はやく言って下さい!!
「・・・えっと・・・・・・」
「どうしました?そんなに臆しなくいいんですよ。さぁ言ってみなさい」
はやくはやくはやく!!
「は、はい!・・・では、言わせていただきます。・・・・・・私の使役者になって下さい!!」
キターーーーーーーーーーー!!!
「よろk・・・・・・コホン。お嬢さん名前を教えてもらってもいいかな?」
待て落ち着くんだ自分。今ここで了承するのはおしい。もう少しもったいぶってからの方がいい。・・・それにあれをやってくれるかどうか試してみたいですし・・・。
「あ、自己紹介がまだでしたね。私ロッテと言います」
「ロッテ・・・いい名前です」
ロッテたんカワイイよハアハア・・・。
「ありがとうございます!」
「ではロッテ。私の返答前に一つ質問です」
「な、何でしょうか・・・」
「私が使役者になると言ったらロッテは喜ぶかな?」
「それはもちろんです!」
中々の好感度ですね私。
「悪魔の私なのにですか?」
「はい!!」
そんなに目を輝かせて言うなんて感激です。
「悪魔を使役したサマナーがどうなるか知っていますか?」
「・・・知っています」
「それでも私がほしいのですか?」
「ほしいです!!」
・・・・・・もう死んでもいい・・・・・・。
「・・・・・・・・・わかりました」
私に対する敵意・嫌悪感はなし。好感度良し。悪魔を気にしない。スタイル良し。顔とても良し!文句の付け所なし!!・・・・・・それでは最後にあれをやりますか・・・。これが通るかはわかりませんが、これまでの感じだと絶対にいける!頑張れ私!!・・・言うぞ・・・・・・言うんだ私。長年の夢を叶える為に!!!
「ありがとうございます!!」
「パンツを見せて下さい」
言ったーーーーーーーーーー!!!
「・・・・・・・・・・・・へ?」
「パンツを見せて下さい」
二回目だとさすがに羞恥心もなくなりますね。それに何かに開放されたこの感じ、癖になりそうです。
「・・・・・・パンツってあの・・・パンツですか・・・?」
「そのパンツを見せて下さい」
「・・・・・・わかりました」
キタキタキターーーーーー!!!この時の為に私はずっとずーっと待ってました。さぁ!そのスカートの中にある楽園を見せてください。・・・・・・おや?なぜタンスの方に・・・。まさか、タンスの中のパンツを見せようと・・・。駄目です!それでは駄目なのです!!
「違います。ロッテが『今』穿いているパンツを見せてほしいんです」
「・・・私の今穿いているパンツ・・・ですか・・・」
「そうです」
「そんなの無理です!!」
「どうしてもですか?」
「どうしてもです!」
いけると思ったのですが・・・。だけど諦めたわけではありません。ここは押してだけなら引いてみましょう。この最強のカードを使って。
「・・・・・・そうですか。残念だですが諦めましょう」
「そうして下さい」
「では契約は破棄ということで・・・」
「え?契約って・・・」
「私とロッテを結ぶ為に必要なものです。これがないと私は使役者になれません。残念です・・・」
さあどうしますか?ロッテさん。最高峰の悪魔の私をみすみす逃しますか?それとも・・・。
「ちょ・・・ちょっと待ってください!!」
やはりほしいようですね。
「・・・何です?」
「何なんですかそのふざけた契約内容は!!」
確かにこの契約内容はふざけています。ですが、私はふざけていません。けど、その主を伝えると確実に私は変態扱いをされてしまいます・・・。なのでここはあれに罪を擦り付けることにしましょう。どうせもういないのですし私は悪魔なので・・・。
「・・・私もそう思います」
「だったら・・・」
「前の契約者の性で契約内容を変えられてしまったのです・・・」
「・・・それってロザリー様ですか?」
「そう!あのばb・・・ゴホン。ロザリーは私の力が悪用されないように契約を変えてしまったのです。その性で私はどれだけ辛い目にあったか・・・。だから呼ばれないように細工までしてたのです・・・」
我ながらいい誤魔化し方をしました。それにあれには散々こき使われましたからいい仕返しになります。せいぜいあの世で文句を言っているがいい。それに英雄になって称えられているようですが本来それは私のものだったのに、魔王といわれていたあれを倒した本人ですし。・・・まぁそんなものには興味ないのでどうでもいいんですが・・・。
「そうだったんですね・・・。お気の毒に」
「お気遣いありがとうございます。それでどうしますか?契約を結びますか?」
「・・・・・・・・・」
もう一押しですかね。
「・・・やはり無理、ですよね・・・。では私は戻らせてもらいます。少しの間でしたが、楽しかったですよ。ロッテ・・・」
魔方陣が光だしアスモデウスがのまれる寸前にロッテは意を決した。
「・・・・・・ま、待ってください!!」
「まだ何か御用が?」
キタ!釣れました!!
「・・・・・・私のパンツ見てたら使役者になってくれるんですよね?」
ふぉおおおおおおーーーーーーー!!!
「・・・・・・ええ。それが私の契約内容ですから。・・・本当によろしいので?後悔はないのですか?」
「あ、ありません。・・・では・・・・・・いきます!」
ロッテはスカートの裾を掴みゆっくりと上げ始めた。
「では約束通りにこの身この心全ては我が主の物です。如何様にも御使い下さい」
「そ、そんなに畏まらないで下さい」
「・・・お嫌いですか?」
「嫌いというか・・・馴れてないので。それにあんな事をしてそんな態度を取られるととても複雑です」
自分がやった行為を思い返し赤面する。
「な、なので普通に接してください。お願いしますから」
「・・・わかりました。ではロッテと呼ばせてもらいます。いいでしょうか?」
「はい。こちらこそお願いしますねアスモさん。・・・・・・いいかげん鼻血止めてください」
「おっと。これは失礼・・・。それで私はどうしたらいいですか?」
「どうしたらとは?」
「この姿で常にいるか姿を変えているか呼ばれるまで戻っているかです」
その姿で四六時中いられるのは何かと困し呼ぶのもアスモさんの時間帯を考えないといけないよね。そうすると・・・。
「姿を変えてもらってもいいですか」
「畏まりました」
アスモデウスは鴉の姿に変化した。
「これで宜しいですか?」
「わぁ~カワイイです」
「喜んでもらえて光栄です」
可愛いって言われてしまいました。ヒャッホイ!・・・と浮かれてばかりではいられませんね。理想の主を手に入れたんですか何がなんとしても守らねばなりません。
「先に言っておきます。この姿の時は戦闘に参加は出来ませんので、御呼びの際は召還魔法を使用してください」
「わかりました。頼りにしていますねアスモさん」
「・・・・・・お任せ下さい。それともう一つ。使役者を手に入れたサマナーはその使役者に応じて能力が上がりますので。私の場合は他の使役と段違いですのでお気をつけ下さい」
「どれくらい違うんですか?」
「それは相性によって人それぞれですので何とも言えません」
「そうですか・・・」
見た感じはどこも変わってないし大丈夫だよね・・・。
「夜ももう大分更けてきましたね。ロッテもお疲れでしょうから詳しい話は明日にしましょう」
「はい。わかりました」
ロッテは寝巻きに着替えようと服に手をかけた。
「・・・・・・」
「・・・アスモさん」
「何でしょう」
「少し部屋を出てもらえますか」
「・・・おっとこれは失礼しました」
さすがに気づかれますか・・・今後は気配を消しましょう。
ロッテの着替えが終わり再び部屋にアスモは入ると明かりのついているランブの火を消した。
「ではお休みなさいロッテ」
「アスモさんもお休みなさい」
暗くなった部屋の中、ベットに入るロッテは嬉しそうにしていた。
やっと念願の使役者を手に入れることが出来ました!それも最強のモンスターです!・・・パンツを見せたのは恥ずかしかったけど明日からの私はもう無能サナマーではなくなります。バリバリクエストを完了させて星を増やしてPTに加入したり仲間が出来てマイクさんや皆さんに恩返しをしていって楽しい冒険者生活を送れるんです!!早く明日にならないかな・・・。
そう思いながら徐々に意識が遠のき深い眠りについていった。
この作品の投稿ペースは大体15000~20000字書き終えたら投稿していこうと思いますので不定期になります。また私自身非常に書くのが遅いのでご了承ください。また誤字脱字のチェックはしていますが、読んで見つけた場合は指摘してもらえるとありがたいです。また、この作品についての感想・アドバイスも聞きたいので気軽にメッセージを送ってくれると嬉しいです。