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ばいばい、ひろくん

作者: 西山久美子

私の通っていた小学校には、ひろくんという怪談があった


小学生だった私は暗い校舎が怖かった

学校に飛び交ういろんな怪談

いろいろあったけど、一番怖かったのがひろくんだった


学校には、二階建ての小校舎、本体の校舎、古い木造校舎、体育館、そして小さい2階建ての普段使わない木造の校舎があった

その小さな校舎にひろくんがいる

一階は2教室、2階は一教室しかなく奥が倉庫になってるらしい 昔はかまぼこ校舎と言われたかまぼこ型の校舎の跡地に立つ小さな校舎

一階は授業で使った事があったけど、2階は掃除でしか入ったことがない

そしてその2階の窓際に立っている

窓から生徒を見ているって、そう、言われている


暗い教室、掃除の一班6人だけの部屋 広くて他には誰もいない階段 どれもこれも怖かった

帰りはみんな走るように去って行った


でも、ひろくんの怪談を知ってる人は一握りだった


ひろくんは昔の生徒で、まだそこの校舎がかまぼこ校舎と呼ばれてた頃死んだ男の子

体が弱く、学校も休みがちで気が弱かった

そんなんだから、三人の男子に虐められて、そして自殺をした…

許さないという走り書きと、丸い鏡が置かれていて、ひろくんを虐めていた男子は一人ずつ、通学路の丸いミラーのあるところで事故に遭った

ひろくんは昼間は学校にいてみんなを見ていて、通学路のミラーから出てきて事故に遭わせるんだって

そんな怪談


私はその小さな校舎では、いつもひろくんの影におびえていた

だって、時々人の気配がするんだもの

涙が出るほど怖かった



その後、ひろくんの怪談は先生が作った話だと聞いた

イジメをする子はひろくんに足を引っ張られるよって脅かしの話だったみたい

じゃあ、あの気配は?

私の気のせいだったのかな

それでも私のなかに怖さはまだ残っている


夕暮れの街の中、小学校の脇を通った時 もう怖がりから卒業しようと小さく声を出した

「ばいばい、ひろくん」

キュッと胸が痛んで振り返った

誰もいない校庭

寂しく思いつつ前を向いた時

『まぁだだよ』

校庭から男の子の声がした




ひろくんの怪談は実際に小学生の時聞いた あんどうくん という話を使っています 細かいところは忘れてしまい、大筋ですが

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― 新着の感想 ―
[一言] イジメを無くすために先生が作った話…。 実はひろくんの事を隠すためにそういう事にしたのかも知れませんね。 「まぁだだよ」 マジでゾクッとしました。
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