爺、森に召喚される~無茶振りもいい加減にしてくれんかのぅ?~
ここはどこじゃ?
ワシ・・・天川白春は見慣れない森の中に居た。
目の前には大きな鬼がおる。
はて?先程まで縁側で茶を啜っていた筈なんじゃが?
『ゴァアアアアアアアアア!!』
どうしたものかと悩んでいると鬼が咆哮を上げて襲い掛かってくるではないか。
「た、助けて!!」
後ろから少女の悲痛な叫びが聞こえた。
ふむ・・・。
自分の2倍以上の巨躯の鬼が拳を振り下ろす。
狙いは自分だと耄碌して無ければ誰でも分かる軌道じゃった。
「はぁ・・・。なんちゅう老後じゃ。」
振り下ろされた拳の手の甲を軽く回すように叩く。
回し受けと言われる技術で老人の腕力でも十分に暴漢から身を守れる術技は、寸分違わず手の甲の部分に触れ、拳の軌道を横にずらす。
地を砕くように打ち込まれた拳に引っ張られるように体勢を崩した鬼は眼に驚愕を貼り付けた。
自分より小さな矮躯の老人に自慢の拳が通用しなかった事で驚いたのだろう。
大きな隙を晒した鬼のデカイ面に老いぼれの手が張り付く。
そして引っ掻くように両目を抉った。
鬼が声にならぬ絶叫を上げる。
顔を手で押さえて蹲る鬼に対してワシは考える。
そして結論が出された。
「これワシに殺す手段が無いのう?」
そうしてカカカと嗤う。
天川 白春81歳 異世界での最初の戦いである。
作者「って事で始まってしまいました思いつき作品、果たして完結できるのでしょうか!?」
白春「御主・・・。完結できると思うとるのか?」
作者「全然?」