静香な万希葉
お盆になると水着はかなり安値で販売するようになるが、駅ビルのテナント店舗には可愛い系や華やか系など、アイテムが多数残っていた。経営は大丈夫だろうか。
「で、お前らなんでこんなところにいる?」
「なに、迷惑だって言うの? 修学旅行のとき飛行機で面倒みてあげたのに」
「アタシらは萌香に海水浴に誘われたから来たんだ!」
「誘われたから来たとかいう距離じゃないだろ。だが俺は海には入りたくないから萌香の遊び相手が来てくれてちょうど良かった」
「ありがとよ静香な万希葉~。勇が狼だからヘルプミーしたんだよぉ」
「おい待てなんだそれ。冗談でも公共の場で言うな」
「冗談?」
「あんたたち、もしかして……」
「勇は欲張りだなぁ! 今夜はアタシとどうだ?」
「おい待て待て。なんで強姦したみたいな流れになってるんだ。周囲の視線が痛いだろ」
だが、最後まではしていないとはいえ手を出したのは事実。正直に吐露したらこれはこれで面倒だ。特に水菜にバレた場合に。
俺という生き物はとんでもないことをしているんだなと、頭から血の気が引いてきた。
若気の至りとは恐ろしいものだ。スッキリしている今、自分のしてきたことを至極冷静に捉えられる。水菜を追いかけながら別の二人の女とあれやこれやと。
なんということだ。萌香のおかげで思考能力が正常になって己を見詰め直してみたら、自分が最低男だと発覚してしまった。
お読みいただき誠にありがとうございます!
2月中旬にインフルエンザを発症したため更新が3月にずれ込み恐縮です。




