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さつこいNEXT!  作者: おじぃ
日常編
4/57

神はテレビ塔から民を見守る

 うほうほるんるん麗ちゃんと手を繋いでスキップ1分! 俺たちは札幌に住んでいながら、いや、いるからこそ滅多に登らないテレビ塔に登った。


「はい、チーズにゃん♪」


「にゃーにゃにゃにょーいっ!」


 パシャッとフラッシュが眩しいぜ!


 展望台に上がる前に、係の姉ちゃんに記念写真を撮られる。俺は大はしゃぎで甘い香りがする麗ちゃんの肩に右腕を回してピース! 麗ちゃんは恥ずかしいのか控えめにピースをした。にゃん♪ はオタク向けのものでじゃなくて、お客さんの笑いを誘うための台詞だろう。


「うほーいっ! 久々だぜこの景色!」


 エレベーターで展望フロアに到着し、絶景に感動して聖なる雄叫びを上げたら、周囲の迷惑そうな視線が一斉に突き刺さった。


「しっ!」


 麗ちゃんは人差し指を鼻に当てるお決まりのポーズを取った。


 うほうほっ!? 何気に可愛いぞ! だが同じポーズを取ってほしくて雄叫びを連発するとオキシドールをぶっ込まれるか気絶させられるかそれとも他に何か恐ろしい制裁を食らうか見当つかねぇ。


 そうそう、麗ちゃんはじめ留萌家では、一家代々で人や動物を気絶させる武術奥義を習得している。これは昔むかし、ご先祖さんがヒグマに襲われて死亡したのを受け、当時の遺族が編み出したのだとか。


「おっとスマンスマン」


 地上約90メートルから眺める360度の絶景は、俺が住むマンションの方角にある札幌駅のJRタワーからヒグマとかシカが居そうな山々まで広範囲だ。俺ん家が見えないのは残念だけど、都市部と山間部の境を曇りなく見渡せる場所はなかなかないだろう。修学旅行で登った東京タワーや横浜のランドマークタワーでは、都市部がメッチャ広くて山間部との境は判らなかった。とにかく広い首都圏と比べると、札幌の街は碁盤みたいにキッチリ四角くまとまってる感じがするな。


「けどアレだな! こんな絶景だとバンジーしたくなるな!」


「やってみる? パラシュートはないけど」


 うほい、麗ちゃん、ニコニコしながら冗談キツいぜ…。


「大丈夫。神威くんは神様だから」


「おっとそうだった! 俺は神だったぜ! 神たる俺の熱きソウルはバンジーくらいじゃ消えたりしない。だがしかーし! この世に君臨せし現在に於いては肉体を以て人々を善のみちへと導いている故、残念ながらそれは出来ないんだ。‘みち’へと‘みち’びいてる、なーんてな! わーはっはっはっ! 札幌の諸君! 今このとき、神は天からソナタらを見守っておるぞー! 神のご加護を存分に享受するが良いー! わーはっはっはっはっはーっ!!」


「ご飯、食べに行こうか」


 彼と大勢の人が居る狭い空間にこれ以上滞在するのは恥ずかしいから、早く外に出たい。


「おう! そろそろ昼時だしな!」


 テレビ塔を出た俺たちは、さっき撮ってもらった麗ちゃんとのツーショット写真を買って外にで出た。デートに打って付けな店を知らないから、取り敢えず学校帰りや休日にクラスとか部活の仲間と利用してる行きつけのファミレスに入り、ドリンクバーを二つ、俺はチーズハンバーグ、麗ちゃんはオムライスを注文した。続いて、荷物をパクられないように順番でドリンクサーバーへ向かった。先に麗ちゃんがストレートティーを、次に俺がメロンソーダと烏龍茶をミックスした『メーロン茶』を氷たっぷりのグラスに注いで席に戻った。俺がドリンクを持って戻ってくると、同伴者は大体寒い目で俺を見る。麗ちゃんも例外ではない。


「飲むか?」


「うーん、試してみようかな」


 だが、麗ちゃんは他のヤツらと違って俺のオリジナルドリンクを一応飲んでくれるんだ。麗ちゃんはストローに口をつけ、一口啜った。


「うん、ワンタンコーラよりはいいかも」


「おっ! そうかそうか! それは良かった!」


 麗ちゃんが言った『ワンタンコーラ』とは、醤油味の茶色いワンタンスープと、シュワシュワ茶色いコーラをミックスした俺のオリジナルブラウンドリンク。脂が浮いてパサパサして生ぬるい、寒い季節に打って付けな一品だ。


「お待たせいたしました! オムライスでございます!」


 先に麗ちゃんが注文したオムライスが到着した。


「って、‘うららかみさま’ペアじゃんかー! デート?」


「おう! 萌香じゃねぇか! 今日シフト入ってたのか! そうさ! デートさ!」


「こんにちは」


 隣のクラスの萌香は、このファミレスでバイトをしている。知り合いがオムライスを頼むと、ケチャップでオリジナルの絵を描いて出してくれるんだけど、何故か俺には鼻をビンビンにしたゾウさんが水をドピュッと噴出してる絵だった。神様だから、自由の女神とか、神社の鳥居が相応しいと思うんだけどな…。


「こんにちわーお! 夜が楽しみだ! チーズハンバーグもうすぐだから、ねっぷくんはちょっと待っててねー」


「おう!」


 萌香はひらひらと手を振り、厨房へ戻った。


 さて、麗ちゃんはどんな絵かな?


 あわわわわっ!? なにこれなにこれ!? なんなのなんなの!? なんで『さぁ?』みたいな感じで両手を広げたR18マークなの!? 私は慌ててスプーンでケチャップを伸ばして絵を消した。


「あれ? 麗ちゃんはケチャップになんかかれてなかった?」


「ん!? うん! 特に何も…」


「そうかー、萌香のヤツ、まだ麗ちゃんの特徴を掴めてないんだな」


「ははは…」


 なんで、なんで留寿都るすつさんが…。もしかしてアニ〇イトで大人のコーナーをまじまじと眺めてたの、見られた? ああっ、どうしよどうしよう!?


 動揺しながら食事をしていたら、いつの間にかオムライスを食べ終えていた。神威くんも食べ終え『ごちそうさま!』と大きな声を出したところでハッとした。


「さてさて、エネルギー補給をしたところで、俺ん家で少し休憩するか!」


「うん、そうさせてもらおうかな」


 13時、帰るにはまだまだ早い。かといって、特に行きたい所もない。うーん、なんだろう、観たい映画とかウインドウショッピングとか、何かないかなぁ。駅の地下街に気になる洋服屋さんがあって、通行がてらショーケースを気にするのだけれど、正面のマッサージ屋さんの人の目が気になってよく見れていない。


「おおっ! そうかそうか! じゃあレッツゴー!」


 うほーいっ! 麗ちゃんとあんなコトこんなコトするチャンスだぜ!


「うん」


 でも今は行為に及ぶ気分じゃないから、何かされそうになったら神威くんには眠ってもらおう。



 



 ご覧いただき本当にありがとうございます!


 次回、神威の家でまさかの展開!

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