逆三角形の建物でエロ本を買うぜ!
うほーい! うほいうほいうほーい! 朝6時だってのに逆三角のビルの周りは凄い列だぜー! 俺たちが並んでる場所からビルまでの距離は500メートルくらい。大体2、3万人くらいが並んでるっていうけど、な、ななんと並んでる連中の半数以上はエロ本とかエログッズが目当ての欲望に正直なヤツだ! そうだぞ、誰かを傷付けない欲望には正直でなくっちゃな! スカートめくりにパイタッチ、エロ本漁りも紳士の嗜みさ!
朝の陽射しがジリジリジワジワ照りつけるぜ! 左横の街路樹で鳴くアブラゼミもパートナーを求めて絶好調だ!
「おうおう! お前もアンアンうふふんしたくて雄叫びを上げてるのか!」
ブシャアアア!!
「うほーい! ロケット噴射で飛び立つセミにションベンぶっかけられたぜ! ちょうどいい、汗でベタつく顔面をウォッシュできたぜ!」
「列移動しまーす!」
蛍光イエローのキャップを被ったアンチャンの合図で歩き出す何列もの集団。あれ? いつの間にか集団とはぐれちまった。まあいい。歩いてる最中の追い抜きは正義。一刻も早く目当てのアイテムを入手したいヤツはモタモタ歩いてるヤツをどんどん追い抜いてる。きっと麗ちゃんと見知さんもそうなんだな。新史さんはまだホテルで寝てるぜ。
しっかしあっちいなあ東京。新幹線乗ってて北海道からそんな遠い印象なかったけど、やっぱ海の向こうの別の国だぜ。せっかく洗った顔もまた汗でベッタリだぜ。
さてさて、何時間並んだかわかんねえけどやっとブースの買い物待ち列に並べた。マンガにはあんま詳しくねえけど、プラカードのイラストでイイ感じだと思ったところに並んでみた。
だけどアレだな。なんか色んなヤツがいるな。ぶっちゃけクラスの隅っこにいそうなヤツらばっかだと思ったけど、ヤンキーもセーラー服を着た白髪のオッサンもいるぜ!
ん? なんか目の前に並んでるセーラー服のオッサン、見覚えあるぞ。あ、思い出した。いつも俺に声をかけてくるマッポーだ!
「おうおうオッサンじゃねえか!」
俺は背後から肩を叩いて声をかけた。
「な、なんで君がこんなところにいるんだ!?」
オッサン、暑さのせいかデコから汗をダラダラ流してやがるぜ。直射日光うほい!
「なんでって、部活の手伝いだよ。オッサンこそなんで東京にいんだよ」
「ここからは四列で並んでくださーい!」
蛍光イエローの指示で俺とオッサンは横並びになった。
「き、今日は人が多く集まるイベントだからってここに派遣されてだなっ! 私は私服警官としてここにいるんだ。決して欲望という名の私腹を肥やしに来たわけではないぞ!」
「そうか。ってかよ、さっきより汗だっくだくだぞ。ダイジョブか?」
「ああ、大丈夫だ。日頃から命懸けの厳しい職務に従事している私が暑さ程度にやられるわけがなかろう」
「そっか! まあ列が進む度に表情がイキイキしてきてるからダイジョブそうだな!」
「そ、そうか? ま、まあ大丈夫だ」
そしてやっとエロ本購入! いやあ、千円もするとは思わなかったぜ!
よし、ちょっと隅っこの邪魔にならないところに寄って紳士の閲覧タイムだ!




