やっぱりこの人、よくわからない
「しまった!」
「どうしたの?」
長万部くんと七飯さんを見送った神威くんは慌てふためいていた。私も長万部くんについて思うことはある。
「ノリで夏海に勇を蘇生してやれとか言っちまったけど、このままイッたら水菜ちゃんの恋路がかなり危ないぞ!」
私もそう思う。まず長万部くんに元カノさんがいることに驚いたし、ふたりの関係も良好なようだ。この状況下で不入斗さんの恋を成就させるのはなかなか難しいと思う。
「そうだね。でも、どうしよう? 私たちが口を挟んでいいのかな 。それ以前に長万部くんから七飯さんを引き離して不入斗さんとくっ付けるのって、いいのかな」
「そうなんだよあ。麗ちゃんの言う通りっ。夏海が勇とくっ付いちゃいけねぇ訳じゃねぇし。これは成り行きに任せるしかねぇのかな」
ベッドの上であぐらをかき、親指と人差し指で顎を囲いながら何時になく真剣に考え込む神威くん。こうして他の人のことと真摯に向き合える彼だからこそ、私はなんだかんだで好きなのだと思う。
「あああっ! ダメだ! 考えてもわかんねぇ! 麗ちゃん、とりあえずエッチしようぜ!」
「うーん、そういう気分じゃないかな」
だけど発想が短絡的過ぎて、どうしてこの流れでエッチしようという話に辿り着くのか、私には理解しかねる。そのような行為に及ぶにはそれなりのムードが必要だと思う。
「そっか! じゃあしょうがねぇな!」
エッチしてスッキリすれば冷静になって何か閃くと思ったんだけどな! あ、わかったぞ! 麗ちゃんは結局アイツらのことはアイツらで結論を出すべきだって言いたいんだな! だから俺をモヤモヤさせたままにするんだ! きっと俺がスッキリしたら神懸ったアンサーが出ちまうからな! それを見越す麗ちゃんはさすが女神! 頭イイぜ!
「よっしゃ、じゃあベストアンサーが出るよう渦中の三人にエールを送る! 気合いだ! 恋だ! 幸福っ、だああっ! 」
「だ、だぁ…?」
うーん、やっぱりこの人、よくわからない。まぁいっか♪
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今回は台風接近に伴う電波障害を危惧し、深夜0時の更新といたしました。




