勇の日常
夏海と夢を見て過ごし帰宅した夜9時。現実が戻り殺気立つ。
玄関の向こうは暗く、外の光が差し込む。足元にはビールや日本酒などの酒瓶とそこから発する刺激臭。奥のリビングからはテレビの音がガヤガヤ聞こえる。勇はそれを無視して洗面所へ向かう。
「おいこら! こんな時間まで出歩くなら酒の一本でも買ってこいや!」
いつものことだと勇は無職の父を無視して手を洗い、嗽をする。洗面所を出てリビングの前を通るとビール瓶が飛んできたので避ける。
「無視してんじゃねぇよ」
5メートルほどの距離から降りかかる罵声を無視して二階へ上がると、声の主はずかずかと勇に詰め寄り殴り掛かってきた。これもいつものことだ。暴力沙汰にも拘わらず静かな時が流れる。勇は事務的に父を突き放し、右手で米噛みを握り潰すように掴み、壁に叩き付けて止めに腹と股間を蹴り動きを封じた。
このままだと殺され兼ねないし、下手すりゃ俺が殺人犯だ。早く家を出たい。どのみち母親の収入だけじゃ、差し押さえも時間の問題だろう。
部屋に戻った勇はいつも通りPCを立ち上げ、バイト探しを始めた。
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今回は短いお話となりましたが、これが勇の日常です。
次回、神威の部屋で勇の暴力がヒートアップ!?




