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さつこいNEXT!  作者: おじぃ
勇編

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17/57

1+1

 勇と万希葉が黙々とカレーを食べている頃、札幌の街外れ、発寒はっさむに住む幼児体型の新聞部長であり、受験生でもある見知は、壁に貼ってあるアニメキャラクターのポスターが世界地図のモザイクアートを成す自室で勉強など一切せずに考え込んでいた。尤も、日頃より勉強などしていないが。


 うむむ、水菜っちの女垂らしのヘタレ男に絡む行動にはどのような意図があるのであろうか。いや、それは考える間でもなくあのツンデレ男を嫉妬させて気を引くためであろう。


 しかしそれは同時に私の心をも曇らせる。何故だ、それは一体何故なのだ? 全くもって解明の気配が窺えない。否、それは自らの自らに対する隠蔽工作であり、自らの最重要機密事項である。


 それは何故か?


 答えは簡単。それが実を結ばなかった場合の先の長き人生への懸念と、いつも傍に在る存在の、非常に裕福でありながら、しかし誰も選ばず純潔を貫く清き生きざまに漫然とし、さも私に気があるような傲慢な錯覚を引き起こしているからであろう。


 だがそれを根底から覆しる懸念事項として、彼奴の理想が神の領域に達するほどの高みにあるとしたら、これまでの純潔の貫徹には容易に納得できる。当然、私など中身も外見そとみもそれには到底及ばない。外見のみで論ずるならば、いかなる努力も報われぬ宿命を背負っている。だからそれはなるべく考えたくない。隠蔽する最大の理由である。


 ツンデレ男よ、もしやそなたはそれなりの容姿に恵まれていながら、私と同じような懸念を抱えているのかい? それとも中身のみであろうか。


 改めて思うよ。1+1=2という計算式を解く難しさを。1と1の間に、どれだけの少数があるのか、そんなもの、ヒトの一生どころか宇宙の誕生から滅亡に至るまでも、計り知れないのである。ならばどうすべきか、そんなこと、とうに解っているのに。私は無駄な計算を繰り返すばかりの愚者である。


 

 ご覧いただき本当にありがとうございます!


 勇と誰かの電話、今回投稿ではなく恐縮です。週連載に囚われずなるべく早く書き上げたいです。

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