伐採!?
マッポーが出て俺とごきぶりんだけのマンションの一室。俺はレイン棒を取り外すため、便所に篭り根元のシリコンを爪で少しずつ剥がすが、ゴールが見えない。
「うおおおっ!! オチンがギラギラまぶしいぜ!! つーかやべぇ!! 漏れそうなのに物理的に漏らせねぇ!!」
「ただいま帰りました」
斜め左すぐの玄関あたりから純玲の声が聞こえた。
「おおっ! ちょうど良かった! 純玲! こっち来てくれ!」
呼ぶと、純玲ははいと返事してすぐに便所に来た。
「あらまぁ神威、神々しくて、神を名乗る貴方にとてもお似合いですわ」
「そうだ、神の象徴ともいえるんだがちと神水を流さなきゃいけなくてな。だがこのレイン棒にはそのための管がないから取り外してくれないか?」
「かしこまりました。暫しお待ちを」
すると純玲は玄関に戻り、とんでもないものを持ってきた。
「実は私、さきほどホームセンターでこのようなものを買い求めましたの」
「おいおい待て待て。これはなんだ?」
純玲は赤いボディーにやたらデカイ物騒なものが付いた道具を両手で抱えている。
「見ての通り、チェーンソーですが、何か?」
「そうだよな、チェーンソーくらいバカな俺でも知ってるし、用途もちゃんと知ってるぞ?」
「左様でございますか。でしたらお話は早いですわね」
言って、純玲はチェーンソーのエンジンをかけた。ウィーンウィーン! と唸りを上げるチェーンソーは、純玲によって徐々にレイン棒に近付いてくる。
「おいおいおいおい!! どういうつもりだ!?」
「どうもなにも、棒を取り外そうとしているのみですわぁ」
ヤバイヤバイヤバイヤバイ!! 純玲の目元に影ができて死んだ魚の目になってるぞ!!
「さあさあさあ!! 大人しくなさい!! でないと大事なところまで斬り倒してしまいますわぁ!!」
コイツ狂ってやがるぜ!! 史上最狂だぜ!! これが俺が純玲を恐れてる理由さ!! 麗ちゃんどころじゃねぇだろ!?
「あ!! わかったぞ!! レイン棒取り付けたの純玲だろ!!」
「ふふふ、今更気付きましたの? こうして神威を嬲るのはこの上ない悦楽ですわ!! はははははは!! あーはっはっはっ!! 嗚呼素晴らしい!! 素晴らしいですわぁ!! これほどの快楽、これまでございませんでしたの!!」
「くそっ!! 本性出しやがったな!!」
どうする俺!? 便所だから逃げ場ねぇし、正面突破したらオチンどころか胴体真っ二つだぞ!!
「私はいつでも裏表ございませんわ。相手と場合によって態度を変えているのみですのよ? ほらほら大人しくなさい。早く取り外さないと病気になってしまいますわよ?」
「ひいいいいいいっ!! ひゃあ、ひゃあ、ひゃあ、ひゃめてくれ…」
「問答無用!!」
ウィーン!! メリメリッ!!
チェーンソーが竿の根元に当たる。
「うおおおおおお!!」
「これに懲りて、二度とお恥ずかしい格好で外を歩いたり、奇声を上げたりしないことですわね。恋人の麗さまの名誉を守るためにも」
そうか、純玲は麗ちゃんのために俺を戒めたのか。そうだな、俺がバカやると麗ちゃんの悪い噂まで流れちまう。自覚足らずだったぜ…。
「す、すんませんでしたあああ!!」
ドバドバドバドバ…。
この日、神を名乗るただの少年は恐怖のあまり気絶し、神水をトイレいっぱいにぶちまけたが、純玲は先読みして噴射直前に撤退したため無事だった。めでたしめでたし。
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近日中に『勇編』へ移行できそうです!