表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/11

プロローグ

だるい。

今は授業中で僕の席窓側後方3番目というなかなかのポジションにある。当然暖かい日差しをほわほわと受けたのだから、睡魔に敗北してしまうのは誰も責めれないはずだ。多分。

朦朧とした意識でノートにミミズ文字を写すのももはや苦行のなにものでもないので安らかに仮眠をとることにした。

天国だ。


うぜぇ、すげーうぜぇ。


2日間、学校サボってまでやった生まれて初めてのバイト。

張り切り過ぎてあまりに疲れ過ぎたので、日が沈むころには爆睡し、気が付いたら学校に遅刻するまで完璧なアナザーワールドに旅立っていた俺は国語教教師のあまりに退屈な授業を拷問の如く受けている。俺の席は窓側後方2番目というかなりいい場所で、ポカポカした日差しで本来なら機能停止してるはずだった。

がそれができねー。

当たり前だが理由は昨日寝過ぎたからだ!なのに、俺の前席のクソ野郎は気持ち良さそうに頭カクカク漕いでやがる。あっ!普通に寝やがった。うぜぇアァうぜぇ。


殴ろうかな?


徐々に殺意が湧いてくる。気がけっこう短いほうだからすぐ限界値に達した。


よし殴ろ!


教師にみつからないように最速かつ消音で椅子の柱を蹴ってやった。まぁいきなり殴るのは可哀想だからせめてもの慈悲だ。我ながら寛大だな。

ガコッ

椅子を蹴る。野郎は起きない。

ガコッ

もう一度椅子を蹴る。全然奴は起きねぇ!

なんかムニャムニャしてる。

ボコッ

すごく腹が立ったので腰を蹴ってやった。浅く座っていた奴は見事に椅子から滑り落ちて生徒全てが寝てるような静寂な教室に無様な姿と音を立てた。

「…うわぁぁ!」

ガシャン!


どしっ!


「あだっ!」



僕は何も感じてなかった。真っ暗い闇の中でスヤスヤ寝てた。熟睡してる。夢は見てなくて、ただ寝てる。誰にでもあるだろう。うまく表現出来ない、ただ寝てる感じだ。

!!!?


急にものすごい浮遊感におそわれた!本当に落ちてるみたいだ。平衡感覚がなくて、居眠りしてると時々なる。ガタンッて音立ててさ、態勢持ち直そうとしたら、イスに座ってて、それですっかり目が覚めてしまう。

あぁ今日もそれか、嫌だよなぁ〜音立つし、目ぇ覚めるし、感覚的にそう思いながら、浮遊感の中を0.数秒さまよった。しかし

、予想通りにはならなかった。

気付いた時にはなんか叫び声をあげた気がした。あと腰あたりから何かに押された気がした。僕が確信したのはあの墜ちてた感じは本当で、僕は落ちてたのだった。半分開かれた目がみたのは上に上がっていく教室=下に滑り落ちる僕だった。


ドサッ


尻餅をつく…痛い


ガシャン


イスが倒れる、


「あだっ!」


誰かの無様な声がこだまする。


愚かにもそれは僕だった。



あはははっ…マジおもしれぇ!俺の前の無様な男は無様なまま呆けてる。

クラスの奴らは状況を確認すると、クスクス笑うか、盛大に笑っていた。もちろん後者なので、俺は腹を抱えて笑った。

「あっははははははっ!」

2〜3分ぐらい笑ってやった。ぁ〜腹イてぇ。

その時、そのバカと目があった。

下らない授業を楽しませくれた…ってか俺が悪いんだけど。その礼に親指立てて向けてやる。

面白いなお前。

これがこのバカと俺の出会いだった。


なんだ?何だ!?

床に尻餅をついたまんまの僕の視界には笑いながら僕を見るクラスメート、呆れた国語教師の顔、それと後ろの席の女子が大笑いしてる。

やっと思考が動き出して、自分がイスから滑り落ちてることに気が付いた。

恥ずかしい。

顔が熱くなる。

ケツが痛くなる。

このままじゃまずい!せっかくの高校生活に変なあだ名がつく!そう僕が考えてたのは今が4月で、新しい人生がスタートしたばかりだったからだ。今までの経験から初っぱな何らかの事を起こした奴はそれがバカなニックネームになってしまうことがある。だから今の僕、つまりイスから落ちて尻餅がついてる人というのがまさしくそれなのである。

まずい!非常にまずい!なんか手を打たなくては!とりあえず立ち上がる。

「はははっ」

苦笑い。

策無し。笑うしかない!

その時、笑い疲れていた後ろの子と目があった。なんか目があったら親指立てて笑ってくれた。なんか嬉しくなるね。


これが僕とその子の最初の出来事だった。

あれから、なんとなく、そう、ほんのちょっとだけど彼女と僕は仲良くなった。といっても休み時間やSHR前に話す程度だが、

授業前の彼女と僕の会話

「今だから言えんだけどさぁあんたイスから滑り落ちたじゃん?」

と彼女

「あぁ〜んなこともあったような…」

と濁す僕

忘れたくとも忘れられない。ほんの1週間前だ。僕は居眠りをしてイスから落ちた。変なあだ名はついた。予想通りについた。誰も彼もが僕のことを

「イスから落ちた人、通称イス男」と呼んでいる。ダサいし、まんまだし。おかげで入学したばかりだが友達は一気に増えた。そんなトロイことをやったから、とっつき易かったのかな?まぁいわゆる災い転じて福と成すというヤツだ。いや、ケガの功名かな。

「それさぁ!やったの俺何だよね!後ろから蹴ってさ!いやマジ爆笑だったね。」

なんの悪びれる様子もなく彼女が言った。

「…え?…マジかよ!!何で!?」

「お前気持ち良さそうに寝てただろ?あれになんか腹立っちゃってさぁ〜つい、な!」

「な!じゃあねえだろ!俺はあれからイス男だぜ?」

あははっ気にすんな!と彼女が僕の肩を叩く、まったくすごいよな。そう、僕が今話してるのは女の子だ。なのに平気で男言葉を使う。もはや男だった。かと言っても外見は立派な女子だ。なんか男みたいで気が強い性格と裏腹に容姿はすごい優しそう本当に優しそうで本当に大人しそうな、地の黒の長い髪が目立つ子だった。

まぁそれはともかくこの女が元凶だったのか…少しは腹が立つけどそれでもいいか。

先程も言ったが友人関係も本来より1ヶ月早く確立できたし、こいつとも仲良くなれた、はっきり言って可愛い。もし何も知らないで会ってたらおとなしい子だと思い、間違いなく一目惚れしてただろう。けれど幸いにも彼女は入学式以来学校に来ていなかったからだ。休んだといってもたった2日だから、いきなり風邪引いたんだろとか考えてて男か女の子かもわからなっかった。理由を聞いたら

「16歳になっただろ?バイトできんじゃん?」

「……バイトしたのか?」

「いいだろ!」

よくない。呆れてため息をつく

「……誕生日いつだよ?」

「4月3日!」

一応16、僕よりちょっと年上だ。

「あのな…この学校バイト禁止だぞ」

「わかってるようっさいなぁ〜喋るなよ?」

と笑いながらいってきた。

バイトは1日目はファミレスやらなんたらで、2日目は引っ越しの手伝いらしい。

花高らかに2万稼いだと断言していた。

分けてくれたらいいのに、ちなみにこの学校はちょっとした進学校で頭が悪いとまず入れない。もちろん校則はレベルを下げないためとんでもなく厳しいので、バイトのなどやったら即刻停学である。なんでこんな子が入れたのかはちょっとした疑問だ。今年は志願率が過去最低だったのでまぁ僕も奇跡的に入れたようなものなのだがね。

3分前なのに国語の教師が入ってきて授業を始める。

中途半端だがこれで会話終了だ。

僕は前を向き直る。

後ろでブツブツ聞こえるが無視をする。なんたって唯一教師で僕の事をイス男というニックネームで呼ぶ奴だからだ。奴が場を盛り上げようとその度に僕は笑われる。少しでもいい態度をしてサッサともとの名でよんで貰うために、奴がいくら早く授業を始めようと、僕は健気に真面目に取り組む振りをした。

ガスっガスっガスっ

イスを後ろから蹴る女子がいる。

やめてくれ!こっちを奴が見てる!

「おぃ!イス男ぉ〜ここ読んでみろ。」

ほらねほらね?みんなと奴がニヤツキこちらを見る。後ろから押し殺した笑い声がきこえる。

このアマ…いつか……


「あははっ気にすんな!」

俺はイスの肩をバシバシ叩いた。

いや椅子に肩があるんじゃなくてさ…あだ名がイスって言う奴の肩を叩いたんだ。

イスというあだ名は俺のせいで、それがきっかけでコイツは俺専属のパシリだ。まぁやらせるのはジュース買わせたり、パン買わせたり色々だけど。今俺はイスのきっかけを暴露した。怒ってきたのをからかうつもりだったけど怒ってこなかったし、なんかふけってたし。意味分かんねえし。突然切り出してきた

「なぁ」

「なんだよ?」

「お前いきなり学校休んだじゃん?」

「だから何だよ!」

「何で?風邪?」

俺は意地悪く笑ってやった。

「16歳になっただろ?バイトできんじゃん?」

「……バイトしたのか?」

「いいだろ!」

呆れた顔してるなイスのくせに

「……誕生日いつだよ?」

「4月3日!」

16才だから文句はいわせねぇ

「あのな…この学校バイト禁止だぞ」

「わかってるようっさいなぁ〜喋るなよ?」

「いくら稼いだ?」

「1日目にティッシュ分けて、2日目引っ越しでえ〜とふふん…2万だ!」

「分けて。」

とびきり意地悪く笑ってやる。

「ダ〜レがやるか!」

?今度はイスが意地悪くニヤツく。

「バラしちまうぞ!バイト。」

俺が反論しようとしたら、国語教師が入ってきた。確かイスのことイスって呼ぶ唯一の教師だったっけ?

また後でとか言ってイスが前を向き直した。コイツ国語だけいつも熱心に授業を受ける。そんな好きか国語?バカだなコイツ。後ろから言ってやる。国語そんな好きか?国オタめ!おい!イスっ!イスっ!……完璧にシカト決めこんでやがる。生意気な野郎。

ガスっガスっガスっ

椅子の柱を蹴ってやる。周りからわ自分で椅子をガタガタ揺らしてるようにしか見えないだろう。

「おぃ!イス男ぉ〜ここ読んでみろ。」

ほらね?ご指名だぜ?イスぅ〜。俺はただひたすら笑いをかみ殺して後ろで笑ってやった。

ざまみやがれ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ