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recognized me 3

「おはようございまーす」

 駅から会社に向かう途中、龍太郎の背に声がかかった。と、挨拶を返す間もなく、声の主は早足で抜き去っていった。

 あれ?あの子だった?

交差点の雑踏を走るように進む女の子は、やけにパワフルに見えた。遅刻間際なのかも知れない。セミロングの髪が揺れる。

 なんていうか、身体に気合いが詰まってる感じ。

同じビルへの道を歩きながら、龍太郎はなんとなく浮き立つ気分になった。


 美緒がお茶当番のため、給湯室で部内全員分のお茶を入れていると、同期の鈴森がロッカー室に行く前にひょいっと顔を出した。

「おはよ。この間の小さい彼、本館の五階の会社だね。本館から入ったら、誰かとエレベーターに乗ってった」

「止まる階見てたの?朝からヒマだね。自分より背が低い男はヤダとか言ってなかった?」

鈴森は長い巻き毛をひとふりして言う。

「え?つきあうんなら背が高い方がいいけど、観賞用にいいじゃない。この会社、顔面レベルの高い男はいないし」

「人間に対して観賞用って失礼な」

 つきあうのはイヤだけど観賞用、なんて言われたらいやだろうなあ。

美緒はうろ覚えの顔を思い出して、気の毒になった。本人の責任じゃないのに。


 同じビルの中にいても、他の会社の人間と顔をあわせることは、意外に少ない。職種が違えば時間帯も違う。龍太郎は朝、駅から会社へ向かう道でキョロキョロする。

 実際のところ、どんな子なんだろ。

顔が好みだと言っても、即座に恋愛に結びつくほど子供ではない。ただ、興味は惹かれる。

 きょとんとした悪びれない顔してて、やけにパワフルな子。

龍太郎の美緒の評価は、今のところそんな感じだ。そして、それ以外の評価もしてみたいなーなんて、思っているのだ。


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