表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/76

evolving relation 5

 あっという間に時間はすぎて、九時近くになる。「駅まで送るから」と龍太郎はMA-1に袖を通す。

 もう一回、キスが欲しい。

 皺だらけになった龍太郎のカットソーを見ながら、美緒もコートを羽織る。そんなことを頭に思い浮かべる自分と、それを恥ずかしいと非難する自分がいて、どちらにしろ口になんか出せっこない。床からバッグを拾い上げると、龍太郎が驚くほど近くにいた。ボタンを留めていないコートのウエストから腕が入る。

 息継ぎに余裕ができた。美緒の手はそろそろと龍太郎の背に回り、気がつくと指に力が入っている。

「こんなことしてると、キリないね。土曜日はバスの本数、少ないんでしょ?」


 駅まで手を繋いで送ってもらい、改札で手を振る。空いた電車の座席に座った美緒は、目を閉じて一日を反芻する。そして、唐突に気がつく。

 ・・・なんか、すっごく慣れていたような気がする。

 やっぱり今まで考えたことはなかったのだが、龍太郎はその経験があるのだということに思い至る。今まで恋愛をしたことのない人だと思っていたわけではなく、ただ結びついていなかっただけだ。そして、聞いた時にはピンと来なかった「ストップが効かなくなる」は、何に係った言葉か。つまり、あのキスっていうのは。

 きゃーっ!

 顔色が弾けたところで、電車は乗り換え駅に停まった。

 ああっ!あたしって本当に鈍い!


 胸の部分が握られた形になったカットソーを見下ろしながら、スウェットに穿き替えた龍太郎は、冷蔵庫からビールを取り出した。

 ぜんっぜん物慣れてなくて、だけど一生懸命で。

 洗ったまま伏せてある鍋を見る。目玉焼き用のフライパンとアルミの鍋で、あれだけの料理ができるものかと妙に感心する。胃袋でも、結構掴まれちゃったかも。普段の動きだけを考えれば手際の良さに頷くこともできるし、実際骨惜しみしない性質だろう。おそらく仕事も早いんだろうな、と予測はつく。すべて引き受けてしまうあぶなっかしさと紙一重だが。

 ゆっくり大切になっていくといい。焦って台無しにはしたくない。

 ビールのを口に運びながら、中途半端に見たDVDをセットしなおす。抱きしめた時、良い匂いがしたのを思い出した。充分女の子らしくて、かわいいじゃないか。

何をしたら、もっと笑う?何をしたら、揺るぎなく俺のものになる?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ