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girl meets boy 2

「そんなだから彼氏ができないのよ。せっかく悪くない素材なのにぃ」

何度それを聞いたことだろう。女の子をアピールすることが恋愛に結びつくわけじゃない、と美緒は思う。出会いのチャンスが遅いだけだ。

 二十二の処女の、どこが悪い。

高校生の頃に、彼氏らしきモノは居た。卒業と同時に終わってしまったけれど。短大時代には彼氏らしい彼氏はいなかった。会社の中に若い男がいないわけでもないが、好ましく思う男はいない。結婚退職が当たり前の会社って、今時珍しい。


 経理への報告がようやく終わると、十三時半になっていた。

「お昼休み、三十分ください」

財布だけ持って部長に申告すると、会社を飛び出す。会社の近所でランチができるところは、夜に居酒屋へとシフトするので、十四時を過ぎると休憩に入ってしまう。

 お茶入れろじゃなくて、昼休み返上で仕事したあたしを労え!

美緒の部署にはもう一人、同じ営業事務がいるのだが、彼女は自分の仕事が終わっても美緒の仕事に手を出さない。ある意味気楽ではあるが、自分の持ち分の仕事が多い時には不公平な気がしてしまう。


「鮪丼お願いします」

昼の混雑の終わった『たぬきや』には、客が数人しかいない。

 あ、ほらっ!あたしじゃなくても、ひとりの女の子いるじゃない!同志!

美緒の視線の先には、ボーイッシュなショートカットの、白いシャツに作業着を羽織ったパンツ姿の一人の姿があった。女の子でも技術職に就ける会社っていいな、なんてぼんやりと見ていると、目が合った。彼女は戸惑ったような顔で軽く会釈をする。

 知ってる人だった?

「お勘定お願いしまーす」

レジに立って店の人にかけた声は意外に低くハスキーで、ポケットから無造作に出した財布は黒だ。

 えーっ!もしかして、男?

そういえば腰がやけに細い・・・後ろ姿を思わず確認して、パンツがメンズ仕立だと気がつく。顔をあげると、肩越しに振り向いたその人と、もう一度目があった。

 ・・・どこかで、会った?


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