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for the time being 4

 えーっと、夕食?向かい合って食事する。いや、最初に会った時は確かに向い合せで食事した。だけどあれは、成り行きっていうか。

美緒が携帯を覗き込んでジタバタし始めたところに、鈴森が顔を見せた。

「松坊、そろそろ残業終わる?・・・って何赤い顔してんの」

「えっと夕食!じゃなくって!残業、終わるっ!待っててっ!」

「別に慌てなくても」

そう言いながら、美緒の握りしめた物に目を留めた。

「デートのお誘い?」

隣の席で、大木が顔をあげたのが見えた。

「今行くから、ロッカールームで待ってて!」

美緒は慌てて机の上を片付けて、PCの電源を落とした。


「別に、いきなりホテルに誘われたわけじゃなし。やだやだ、年齢不相応女は」

「いや、だって、この前緊張しすぎて、なんかヘンな人だったし」

「彼のどこに緊張する?顔は良いけどさ、この前飲みに行った時も、普通の人だよ?却って優しいくらいじゃない?」

 うん、水族館を出た後も、居心地が悪くならないように話を繋げてくれたのは理解してる。

「言っちゃ悪いけど、男の匂い薄いし。そういう意味でも緊張は薄いと思うんだけど」

 あ、なんか違和感。なんだろう。

 事務服をロッカーに入れながら、美緒は違和感の正体を探る。鈴森が今言ったこと。男の匂い薄い、だ。


「男の人だよ?」

「そりゃ、性別は男だろうけど。あの体格とあの顔じゃ、スカート穿いても違和感ないでしょ」

「女には見えないと思う。歩き方とか喋り方が女じゃないもん」

 美緒がそう言うのを鈴森は驚いた顔で聞き、しばらく考えてから断固とした口調で言った。

「松坊、緊張してもいいから、篠田さんと一緒に食事でも何でもしておいで」

「なんで?」

「なんででも。今、ここで返信しちゃいな。ロビーで待ってるから」


あの考えた時間はなんなのよ。断る理由はないから、行くけどさ。行くけど。

―木曜に会議があるので、できれば金曜がいいです。

 返信をしばらく待つ。

―忘年会シーズンだから、金曜日は無理でしょう。土曜はこちらが仕事ですから、日曜のランチでどうですか。

 コートのボタンを留めながら、鈴森の待つロビーに向かって歩く。

 うわ、2週連続で待ち合わせって、なんだか・・・


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