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Encounters you 5

「おっ!篠ちゃん、どうした?きょろきょろして」

「頭に手ぇ乗せんなっ!」

「ちょうどいい高さにあるんだもーん」

「今、『殺人が罪にならなかったら殺す奴リスト』のトップ、おまえ」

「大丈夫。返り討ちにするから」

 駅から会社に向かう道で、身長差約20センチのハイテンションな会話を後ろで聞いていたのは、龍太郎の「きょろきょろしている原因」だった。

 挨拶、したほうがいいかな。でもなんだか楽しそうだし、声かけたら悪いかも。

スクランブル交差点の赤信号で前が立ち止まった時、美緒はやっと龍太郎に声をかけた。

「篠田さん、おはようございます。先日はどうも」


 振り向いたのは龍太郎の連れ、すなわち藤原のほうが先だった。おっきい人!美緒がそう思ったのは一瞬で、比較対象が小さいのである。

「あ、おはよう。同じビルなのに、案外と会わないね」

「あたしの会社別館だし、フロアも違うじゃないですか」

話を聞いているような聞いていないような藤原は、隣に黙って立っている。信号が青に変わると、美緒は「お先に」と歩き出した。やはり早足だ。普段からそのスピードで歩いているらしい。

「今の、誰?」

藤原に聞かれ、龍太郎は簡単に「別館の三階にある会社の子」と説明した。

「ああいう色気のないのが好み?」

「知り合い程度だし」

「どうせ知り合うんなら、タイプの女の子がいいなあ」


 だから、見た目はタイプなんだってば。あの邪気のなさそうな目とか、よく笑いそうな口元とか。

それを口に出して協力を仰ぐほど、学生じみてはいない。

「俺の場合、身長分ハンディだしなあ」

「そうか?頭も小さいし、バランスいいじゃん。俺は全方向かっこいいけど」

「じゃ、その腹をどうにかしろ。おまえも今日から階段使え」

「やだ。朝から疲れる」

 女と間違われるのがどれだけ屈辱かなんて、フジには絶対わからない。


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